2020年4月27日 (月)

朝のバスに乗るのは私ひとり 深夜のタクシーも私ひとり

朝,いつものバス停で数分バスを待ちます。目の前を車が数台過ぎていきますが,人通りはほとんどありません。いつもは近所の小学生,中学生が歩いているのに,休校になっているのでしょう。そして普段は高校生を満載しているバスもガラガラの状態で通り過ぎていきます。

週に数回,私とバスに一緒に乗るカコさんも,まったく見なくなりました。カコさんは20代の女性。2週間ほど前,私の隣に座るように誘うように声をかけたところOKの返事。その数日後もバスで一緒だったとき,特に迷うこともなく私の隣に座った彼女。しかし,鹿児島県が休業要請を発表した頃からまったく見かけなくなりました。どうしているのかしら?

バスの車内もスカスカの状態です。2人掛けの椅子に1人いるかどうか。おかげでゆっくり座れるといえばそうなのですが,換気のために窓は開けっぱなし。幸い,桜島の火山灰が降っていないのですが,朝の冷たい風を長時間受け続けると鼻水が垂れてきます。感染症予防のために風邪をひくなんて笑い話ですね。

仕事帰りは今もタクシーに乗ります。バスの運行がない時間帯。もう,こんな生活が3ヶ月続いています。いつものタクシー乗り場に行くと,最近は何も言わなくても私の家まで送ってくれるようになりました。タクシーの運転手は日によって違いますが,同じタクシー乗り場。運転手仲間で情報を共有しているのでしょう。

先日はタクシーに乗り込むなり,運転手から「昨夜は深夜1時のお帰りだったそうですね」と話しかけてきました。彼らにとっては超常連のお客さんになってしまったようです。いつも3千円近く支払ってますからね。うれしいような,悲しいような。

家と会社の往復。バスとタクシーに乗りっぱなし。それ以外の場所を訪れることはほとんどなくなりました。新型コロナウイルスに感染するおそれもないでしょう。人混みに行くなんてできっこありませんから。

数年前,私は仕事帰りにあちこちのバーや居酒屋に寄りました。千円程度のちょい飲みですが,週に1,2回は立ち寄り,アルバイトの店員達との会話を楽しんでいました。なんだか遠い昔のようです。

あの頃のお店はまだ営業を続けているんだろうか? お店でアルバイトをしていた女の子たちはどうしているんだろう? こんなに世界が変わってしまうなんて誰が想像できたでしょう。私はあのときの日常に戻りたい。私の力ではどうすることもできないけれど,私自身の力であの頃の日常を取り戻したい。周囲からは白眼視されようとも,自分の姿を取り戻したい。

ラルースのことばを愛す「わたしはあらゆる風に載(の)りて種播(ま)く」(篠弘)

2020年4月26日 (日)

鹿児島県の休業要請 飲食店は営業時間の短縮だけだったはずなのに

朝,目が覚めると午前6時をまわっていました。ゆうべは仕事のことが気になってなかなか寝付けませんでした。土曜日をまるまる休むとこんなことになるなんて。ちょっとまずいな。仕事中毒みたいじゃないの。

布団をでてさっそく着替えるとそのまま朝食も取らずに会社に行きました。ほかの社員が出勤する前に仕事を持ち帰り,静かな自宅でパソコン作業をするつもりでした。

会社に到着するや,ひととおり書類に目を通し,必要なファイルはカバンの中にしまい,データはメールで送信するなどして机の上も,パソコンのデスクトップもきれいになったところで退散しようとしたとき,携帯に着信がありました。

この日,当番だった社員が別の緊急案件の対処をしなければならなくなったので,代わりに出社してもらえないか,という相談でした。げげっ,私はもう会社に来てるんだけど。

困った彼の相談をむげに断るわけにもいかないので申し出を了承。近くのコンビニで朝食用のサンドイッチを買いました。ああ,家で静かに仕事ができると思ったのに,今日も苦情対応で一日が終わるのかよ,とがっかり。

遅れて出社した彼から引き継ぎを受け,本日出勤の若い女性ばかりの社員に対して朝礼を行いました。みんな緊張感が漂っています。そりゃそうだよね。先週は間をおかずに苦情の電話が鳴り響いていたんだから。

肝心の私の担当業務はというと,相手方(苦情主)が不在で電話がつながらない,こちらにもかかってこない,というわけで心配した事態に陥ることなくお昼になりました。

お天気がよかったので近くの定食屋に歩いて行ってみると,今日から5月6日まで「臨時休業」の張り紙が。その次の店も。そしてその次の店も。鹿児島県が出した休業要請の影響なのでしょう。でも,飲食店は午後8時までの営業という「営業短縮」だったはず。それが休業だなんて過剰反応では? と思ってしまいます。

15分ほど歩いてようやく定食屋を見つけました。ここは普段は居酒屋(ダイニングキッチン)。新型コロナウイルスの影響でお弁当やランチを始めたらしく,チラシや立て看がにぎやかに置いてありました。

カウンター席には男性客が一人だけ。私は3席ほど離れて座り,日替わり定食(650円)を注文しました。まず出てきたのはサラダ。細長いカレー皿のような器に盛られています。前菜にしては量が多い。そして次にでてきたのは,冷や奴,スパサラダ,高菜漬の3種盛り。居酒屋の突き出しが2つもでてきたよって感じです。そしてメインに,大きな唐揚げ2個,フィッシュフライのタルタルソースがけにサラダを添えてあります。もちろんご飯とみそ汁がついています。これで650円!! 驚きの安さ。さらに,ご飯のおかわりまですすめられましたが断りました。もうお腹いっぱい。

店内ではNHKの歌番組が生放送されていました。のど自慢の代わりみたいです。リトル・グリー・モンスターの女の子達が,別々の場所で歌い,それがひとつのハーモニーになっていました。その後も高校の合唱部がそれぞれの部員の自宅からインターネットで集合画面に現れ,「足跡」というテーマ曲を歌い上げていました。その声がまたすばらしい。すごい時代になったよなあ。

いい気分転換になりました。こんな日があるから,また頑張れるんですよね。

花札の絵柄のような春よ来い なんてことない日も悪くない(俵万智)

2020年4月25日 (土)

妻との静かな一日を過ごす 私に必要なこと 妻に必要なこと 

昨夜は午後8時に退社しました。新型コロナウイルスの件で鹿児島県が休業要請。多忙な私もその対応に追われましたが,もう体がいうことをききません。ちょっと疲れました。

そういうこともあって,今日は出勤しませんでした。仕事はあるのですが気分がのりません。午前8時過ぎに布団から抜け出して遅い朝食をとりました。妻はすでに仕事に出かけています。朝日がまぶしく感じられました。窓を開けると冷ややかだけど爽やかな風が入ってきます。しばらくの間,ひとりでぼんやりした後,掃除機がけをすることにしました。

それが終わると本棚の片付けに取りかかりました。私の本棚は前後二重になっていて手前の書棚がスライドする形式になっています。その本を全部外に出し,空いている別の棚などに移しました。二重本棚だと奥の本が見えないので,この機会に廃棄(あるいはリサイクルショップに売却)することにしました。もう20年以上使ってきましたが,家具のリストラですね。

昼過ぎに妻が仕事から帰ってきました。昼食は茹でたうどんにめんつゆとゴマペーストを混ぜたもので簡単に済ませると,私はブログをひとつ書き,夫婦でケーキを買いにヤナギムラに向かいました。

先日は私の誕生日。しかし,平日も土日も深夜まで残業。とてもお祝いできる状況ではありませんでした。思い切って仕事を休み,ようやくお祝いができました。ヤナギムラの店内はレイアウトが変わっていました。以前(といっても20年くらい前ですが)はシュークリームが有名で,たくさん置いてあったのですが,今はマシューというもちもちした生地のシュークリームになっていました。知らなかったなあ。

ケーキを二人で食べると園芸。余っていた鉢にチンゲンサイと小松菜の種をまきました。その後はアイロンがけ。ラジオを聞きながら,ハンカチと私のワイシャツにアイロンをあてます。

午後5時を過ぎ,妻と近くのスーパーに買い物に出かけました。目当ては缶ビールとナッツと鳥刺し。帰宅するや私はビールで喉を潤し,鳥刺しをつまみました。いつになく妻がサービスしてくれました。

たぶん,久しぶりに夫婦一緒にいるのがうれしいんでしょうね。

潮風に君のにおいがふいに舞う 抱き寄せられて貝殻になる(俵万智)

赤塚学園看護専門学校の生徒さんへ 私はあなたたちを応援しています。

シナプスのニュースに,赤塚学園看護専門学校(鹿児島市)に対して,批判や脅迫の電話等が毎日100件ほど寄せられていると紹介されていました。赤塚学園の生徒が新型コロナウイルスに感染したことが公表されたことがきっかけです。

私がいうまでもなく,感染は誰にでもあり得ることです。志村けんや岡江久美子が新型コロナウイルスに感染して亡くなったことが報じられていますが,赤塚学園に非難や脅迫の電話をする人たちは,志村けんを批判するんでしょうか。岡江久美子を批判するんでしょうか?

芸能人の感染は他人事で,鹿児島市民にとっては赤塚学園のことがよほど関心が高いのはわかります。だからといって,氏名や顔写真を公表しろという脅迫は何の意味があるんでしょうか?

こういう人たちはただのエゴイストでありながら,自分を正義の味方だと思っています。だから堂々と電話をかけて非難するのです。

そういう非難をした人は,自分が感染したとき,自分の氏名と顔写真を公表してくれるんでしょうか。しませんよね。だって自分本位だから。こういうのをダブルスタンダードといいます。正義感の強い人なら絶対に許せないことですよね。でも,こういう人は平気でそれができます。

だって,彼らは匿名ですから。偉そうなことを言っても,しょせん,常に安全なところにいるただの臆病者です。

4月21日の朝日新聞に医師で作家の鎌田實(かまたみのる)氏のコメントが出ていました。「感染した人に厳しい社会は感染症には弱い。感染して抗体ができた人には第二波,第三波が来たときに,医療などを担ってももらわないといけません。だからこそ,周囲は感染者に対して「ご苦労様」という姿勢でいる。そうすれば「退院したら地域のために頑張ろう」という気持ちになってくれます」

赤塚学園の卒業生の多くは鹿児島の医療機関で働いています。彼女たちが自信をもって鹿児島のために働いてくれるからこそ,鹿児島の医療が守られます。赤塚学園のみなさん,周囲の非難や脅迫に負けないでがんばってください。感染した生徒さんも早く陰性になって研修に励み,立派な看護師になってください。私はこういう形でしか応援できないけれど,あなた方の味方です。

麦の穂が出る出る喧嘩やめなさい(宮林菫哉:みやばやしきんさい)

2020年4月19日 (日)

開花から1週間でもう葉桜に 長い1日が続いても確実に時は過ぎている

我が家の庭の桜は花びらが散り始めました。すでに葉が吹きだしています。先週ようやく桜が満開になったかと思いきや、もう葉桜の時期に移るようです。

ここ最近は1日1日が長い。勤務時間が長いのももちろんですが、その内容が激動に満ちています。苦情の電話で時間をとられて不愉快な気分になったり、社長の理不尽な指示に激怒したり、私の指示に従わない部下であったり、仕事を抱えるばかりで処理が滞っていたり。非常にストレスフルな毎日が続きます。

私の超過勤務時間が毎月100時間を超えているのですが、部下も同様。以前は担当と班長だけが仕事をしていたのですが、当然回らない。そこで私がチーム全員に業務を割り振った過去があります。先日は土日出勤した時には平日に休みをとるようにチームで調整するようにとその班長に話をしたのですが、まったく動こうとしません。逆にその班長が土日に出勤して対応するからと言い出す始末。

すでに戦場のような修羅場が3か月続いています。毎日、担当チームは全員が24時まで残業しています。新型コロナウイルスの終息の兆しが見えない今、こんな臨戦態勢が長続きするはずがありません。

班長はお人よしで部下に命令ができないタイプです。おそらく、思考停止状態に陥っているのでしょう。そのチームだけでは対応できないため、他の部署から多数応援をもらっている状態であるのに。おそらく、自分が頑張ることが彼の精神安定剤なのでしょう。私からすればいい迷惑です。

日本人の美徳として、率先垂範(そっせんすいはん)があります。まずはリーダーがお手本となるべきということです。私もそれに異論は唱えません。しかし、長時間労働の率先垂範は大きな勘違いです。

精神力(ストレス耐性)、体力は個人差があります。そして社会人であれば当然ながら家庭を持ち、妻子がいます。さまざまな事情を抱えた部下がいるにも関わらず、上司が長時間労働のお手本を見せつけられたら、その部下たちは「もっと残業しろ」というメッセージしか受け取りません。精神力、体力に劣る部下や、家庭をもつ部下にとっては悲劇です。

上司の最大の役割はマネジメントです。上司が数時間の残業で部下の成果の不足分を補えるのであれば、それは美徳として周囲は受け止めるでしょう。しかし、数十人分の成果が不足しているのに、それを一人の長時間労働で補おうなんて、私に言わせればポーズ(自己満足)であり、無責任としか思えません。きっと班長は申し訳ないという気持ちをもっているから働き続けるのかもしれませんが、反省は自分の心の中でとどめてもらいたい。

どうやら指揮権を私が奪わなければならない段階に近づいているようです。越権行為と批判されるでしょうが、部下がバタバタと倒れる姿を見たくはありません。

事故死を出した会社というは静かにて電話の音が時おりひびく(松村正直)

君はダンデライオン いやされる原田知世の歌声

木曜日は残業で翌朝の5時まで。金曜日は通常どおり出勤するも事件が発生して帰宅は午前0時。土曜日の午前は家の中の片付けなどをして,お昼を食べたら会社から緊急出勤の要請。またもや事件発生で帰宅は午前0時を過ぎていました。

そして日曜日の今日も午後から会社に出勤です。新型コロナウイルス騒動に振り回されています。

こんな日が続くと体がもつのか心配です。金曜日は勤務時間の途中,医師の診察を受けました。結果は夜10時以降の就業制限。

確かにここ最近は布団に入っている時間は6時間ほどありますが,仕事の夢を見て目が覚めたり,なかなか寝付けなかったりで,実質の睡眠時間は4~5時間程度。ひどい目眩(めまい)が現れたり,寝ているときに左足のすねの外側の筋肉がつったりと,体にも変調をきたしています。仕事をしていても集中力に欠けるようになってきました。限界が近づいているようです。

日曜日の午前,久しぶりに届いたポストクロッシングのハガキを読み,システムに登録しました。いい息抜きになります。

ドイツのSabinから届いたのは黄色いチューリップの絵はがき。お礼のメールを書いて彼女のサイトを閲覧すると,4月19日は彼女の誕生日でした。こんな偶然もあるもんですね。さっそく誕生日おめでとうのメールを送りました。

もう一通はカナダからの絵はがき。こちらはおいしそうなパンケーキの2段重ねにバターとシロップがたっぷりかけてあり,いちごがひとつ乗っかっています。サイドには,目玉焼きと薄いハンバーグが2枚ずつ。おいしい食卓をみると幸せが伝わってきます。

そして3通目がオランダから届いた花のイラストに英語表記がついたハガキ。チューリップの絵の隣にはtulip,水仙の絵の隣にはnarcisusと表示されています。

思わず目がとまったのがたんぽぽ。dandelionと表示されていました。ダンデライオンってたんぽぽって意味だったんだと初めて知りました。

数週間前にアマゾンミュージックで聞いていた「春うた」プログラムに,原田知世の「ダンデライオン 遅咲きのタンポポ」という曲がありました。聞いたことのある歌詞とメロディ。でも,ちょっと違う。妻に「この曲,誰の曲だったっけ?」と訊ねると「ユーミンの曲じゃない。あなたいつも聞いていたでしょ」

そう,私はこの曲が収められたユーミンのCDを20年ぐらい車の中で聞いていたのに,曲の題名を知らないままできたのです。「君はためらいの・・・」と私には聞こえていたのですが,「ためらいの」は「ダンデライオン」だったんですね。そして「ダンデライオン」て動物のライオンではなくて「たんぽぽ」だったんだ。いや,恥ずかしい。

静かで心にしみるような原田知世の歌はユーミンの歌と違って聞こえてきます。ユーミンだと恋に破れた女性の恨み節「ライオンの叫び」のように聞こえるのですが,原田知世の声だとこの人と一緒に生きていこうという,おおげさではないけど,心に秘めた強い意思と前向きさ「たんぽぽの種が空を飛んで静かに知らない場所に根を下ろす」を感じます。

原田知世主演の「時をかける少女」が上映されたのは私が中学生のときでした。彼女は私より少し年上のはず。だとするともう50歳を過ぎたかどうか。最近はテレビや映画で見かけませんが元気にしているのかしら。

人間が人間として生きているブドウがブドウの木であるように(俵万智)

2020年4月12日 (日)

我が家の桜が満開になりました。仕事の合間に窓からのぞくのもまた一興

私の家の庭には桜の木が一本植えてあります。周りの桜よりも2~3日開花が遅れるし,花の数も少ないのですが,やっぱり自宅の窓から見えるのはいいものですね。

ほかにもカシの木がいくつか植えてあるのですが,これらも産毛がたくさんの小鳥の雛のように,やわらなか新芽が伸びてきて,若葉をひろげようとしています。

新型コロナウイルス騒ぎで多忙な私ですが,土曜日は午前中は自宅でしばらく横になり,10時過ぎから家の掃除をしました。昼食はシリアル。それを済ますと会社に出勤し,こまごました仕事を片付けながら,資料をまとめて持ち帰りました。会社で仕事をしているといろんな仕事を押しつけられるので,家で集中して資料を作成するためです。

夕方,自宅に戻るとアイロンがけをしたりしてゆったりと過ごし,関西に引っ越した娘たちと電話しました。ひととおり話をしたら,突然めまいが私を襲いました。

1時間ほど横になっても世界がぐるぐるまわっている感覚。脂汗が止まらないので,思わず妻を呼び「トラベルミンを買ってきてくれ」と叫びました。慌てて妻は薬を買いに出かけました。何分経ったでしょうか。妻が帰ってきて私にカプセル薬を飲ませてくれました。強力な薬だったようでしばらくしたら汗が引き,安堵したとたん,私は眠りに落ちました。

こんなにひどい目眩(めまい)は10年ぶりぐらいでしょうか。あのときも仕事のストレスが非常に高い仕事をしていました。週末に家族で夕食を楽しんでいるときに突然,私を目眩が襲いました。メニエール病というのがあるのを知っていたので,私はその病気にかかったのかと観念したものです。3,4日経過してようやく歩けるようになったので,近くのかかりつけ医で診察を受けたのですが原因不明でした。

それが土曜日の夜に再び訪れたのです。ああ,今回の仕事もストレスが高いからな。ほっとしたときにこういうことになるんだよな。つくづく嫌になります。

幸い,今は薬があることをしっているのでそれほど怖さは感じません。成長したのか,病気に詳しくなったってことは歳をとったということなんでしょうね。

ちなみに今回飲んだ薬は,エスエス製薬の「アネロン(ニスキャップ)」です。3カプセルで600円。1日1回1カプセルとしても高いですね。でも効果があるから助かりました。

今日は日曜日,2時間仕事をして2時間休み,2時間仕事をして2時間休みを繰り返し,午後10時になってようやく片付きました。仕事の時間は合計8時間。持ち帰り残業では最長記録です。こんなことをしていて体がもつのか,本当に心配です。勤務態勢をなんとかしないと大変なことになりますよ。

花影を身にふりかむる月夜かな(日野草城)

2020年4月11日 (土)

思い切って声をかけた・・・ OKの返事をもらえたけれど。

朝はバスで通勤します。週に数日ですが,20代の女性が私と同じバス停から私と同じバスに乗ります。もう2年も同じことが続くので,バスを待つ間ときどき話をすることもあります。天気のことだったり,イベントのことだったり,お互いの勤務先のことだったりと,そのときに思いついたことを一言,二言口にするだけですけれど。名前も知らないので私は彼女を「カコさん」と勝手に思っています。

それが先週木曜日のこと。バスに乗り,途中でうつらうつら居眠りしている私が,ふと目を覚ましたとき,バスの中はお客がいなくてガラガラ状態。ところが,私の2つ前の,一人がけの席に座っている女性の隣に,太った中年男性がピッタリと立っています。ほかの2人掛けの席がいくつも空いているのに,なぜこのおっさんはここに立ってるんだ? と訝(いぶか)しみ出すと目が覚めてしまいました。

席に座っている女性は気付かないはずはないのですが,特に嫌がる素振りは見せずに顔を伏せていました。立っている男性はずっと俯(うつむ)いて彼女を見つめています。

あるバス停でその中年男性と,席に座っていた女性は一緒に降りました。しかし,降りる様子を見るとどうも他人のようです。そしてその女性は「カコさん」でした。

金曜日の朝,バスを待っているときに,いつものように「カコさん」がやってきました。私のそばにきたときに「ひとつお願いがあるんですが」と私が切り出すと彼女は「いいですよ,なんですか」と応じてくれました。

「今日バスに乗るときに私の隣に座ってくれませんか」彼女は少々驚いたようですがOKしてくれました。「でもどうしてなんですか」

私は木曜日の出来事を話し,どうもおっさんの様子が変だったのでと付け加えました。彼女も変だなとは思ったとのこと。そのおっさんは全く知らない人だが,これまでも行きや帰りのバスで一緒になることもあったと教えてくれました。

バスが来ました。私は彼女を誘い,私と2人掛けの席に座りました。私は窓辺でいつものように居眠りし,彼女は私の隣でスマホをいじったり手帳に書き込みなどをしていました。バスに乗っている間,二人で話をすることはありませんでした。

結局,あのおっさんは現れず。バスを降りるとき彼女は「今日はありがとうございました」とお礼を言って席を離れました。

彼女が私のことをどう思ったのか,よく分かりません。まあ,あれこれ考えてもしょうがない。私のことが嫌だったらバスを変えるだろうし,気にしなかったなら,これまで同様,同じバスに乗るでしょう。でも,私の隣に座るかな?

春めきてものの果てなる空の色(飯田蛇笏)

2020年4月10日 (金)

PCR検査を受けたがる人ほど感染の可能性が低い?

仕事が終わり,私はタクシーに乗りました。まだバスが運行している時間なのですが,残業が続くので少しでも早く帰宅したい。

60代を過ぎているタクシーの運転手は名探偵コナンをみていました。今夜は9時から劇場版の名探偵コナンが放送されていたのです。「どの番組を見てもコロナばっかり。コナンでも見ないとね」と私が尋ねてもいないのに言い訳を始めました。よほどきまりが悪かったのでしょうね。

運転手はコロナウイルスの話を始めました。「検査を受けようとしても保健所が断るらしいですよ。私が乗せたお客だけでも何人もいますよ。本当に酷い話だ」

話半分に聞きながら,私は車内の名探偵コナンをずっと見ていました。運転手はよほど話をしたかったのか,コロナ関係の話はまだまだ続きます。

「ラ・サールの感染した生徒がタクシーに乗ってるでしょう。ところがその乗ったタクシーが3日経ってもわからない。タクシー無線でも毎日呼びかけとるんですよ」

「確かに福岡から来た高校生が鹿児島のタクシーをいちいち覚えていませんよね」

「確かに高校生はそうだけれど,乗せた運転手の方は絶対覚えてるよ。中央駅で乗せるお客のほとんどは天文館に行く。それが谷山方面だとすごく珍しい。しかも今は新幹線の利用客が少ないから運転手が稼ぎよかった客を忘れるはずがない」

「それじゃあどうして運転手は名乗り出ないんでしょう。不安でしょうに」

「感染したことがわかると仕事ができなくなるでしょう。ましてや法人だと補償もないし。そうなると名乗り出て検査を受けたりしませんよ。ただでさえ最近は稼ぎがない。そして休業となると生活していけませんよ」

運転手の話を聞きながら,私は矛盾に気付きました。「不思議なもんですね。検査を断られたといいながらタクシーに乗って文句をいう人はたくさんいる。逆に,感染のおそれが高いのに検査を受けようとしない人がいる。検査を断れた,保健所はけしからんという話はよく聞きますが,検査を断られた結果,亡くなった人がどんどん出ているなんて聞いたことがありません」

続けてこう言いました。「結局,検査を受けたがるのは自分が感染している可能性が思い浮かばないような人,検査を受けようとしないのは感染のおそれが高い人,ってことなんじゃないですか?」

そこまでいうと,タクシーの運転手はちょっと考え込み,私の意見にしぶしぶ同意しました。別にこの運転手を責めているわけではありませんが,私はコロナウイルス騒ぎで目にする人間の身勝手さに腹が立つのです。

置きどころなくて風船持ち歩く(中村苑子)

2020年4月 9日 (木)

女性の髪と体が触れるくらい接近すると男は誤解します。

年度末はお別れの時期。今週月曜日に出勤すると私宛にメールが届いていました。送り主は3月まで当社で勤務していた30代の女性社員でした。

「ありがとうございました」というタイトルのメールを開くとこう書いてありました。

「私ができなかったことやわからなかったことを全部ひろっていただいてありがとうございました。私も上司であるあなたのようになりたいと思っていましたが,途中で挫折してしまいました。調整役として頑張っているあなたのお体のことが心配です。活躍を祈念します」

ざっと書くとこんなところでしょうか。

彼女は気に入らないことがあると勤務時間でも周囲に人がいても,かまわず私にくってかかるほど鼻っ柱の強い女性でした。30歳の独身。特に美人というわけでもなく,スタイルもいいわけでもありませんが,その一方でいつも明るい笑い声で職場の雰囲気を和(なご)ませてくれました。

私は寡黙な人間で,職場で雑談をすることはほとんどなく,彼女とは仕事の話しかしたことはありません。ましてやプライベートなことは彼女の体調管理など,管理職の責務として聞くだけ。

ただ,ときどき業務上わからないことがあると,私は専門職である彼女に教えを請いに行きました。そのとき私が持参した資料を見せると,彼女はいつも私の右隣に体を寄せ,私の方に頭を傾け,彼女の長い髪が私の右肩にかかり,彼女の左腕はいつも私の右腕にぴたりと接していました。

最初は驚きましたが,彼女は開けっぴろげな性格なので誰にでもそういう態度をとるのだろうと思い,私はそんな彼女の行為を受け入れて,いつもそのままの姿勢で彼女の話を聞いていました。

私とは20歳ほど歳が離れていて異性を感じさせる要素はまったくなかったのですが,いざ,こんなメールを読み,彼女とはもう会えないのかと思ったとき,なんだか急に寂しさがこみ上げてきました。

だからといってこの気持ちをそのままメールで送るとセクハラ親父みたい。それは嫌だと思い,私の気持ちを簡潔に箇条書きにしたメールを返しました。

「こちらこそお世話になりました。私はあなたともっと一緒に仕事がしたかった。新しい職場での活躍を祈ります。追伸,あなたと話をするとき,あなたの髪と体がよく私に触れていました。男は誤解しますよ(笑)」

私なりの精一杯の愛情表現ですが,彼女はどう受け止めたかしら? 彼女にそれを確かめる機会はもう二度と訪れないでしょうけど。

君を待つことなくなりて快晴の土曜も雨の火曜も同じ(俵万智)