朝のバスに乗るのは私ひとり 深夜のタクシーも私ひとり
朝,いつものバス停で数分バスを待ちます。目の前を車が数台過ぎていきますが,人通りはほとんどありません。いつもは近所の小学生,中学生が歩いているのに,休校になっているのでしょう。そして普段は高校生を満載しているバスもガラガラの状態で通り過ぎていきます。
週に数回,私とバスに一緒に乗るカコさんも,まったく見なくなりました。カコさんは20代の女性。2週間ほど前,私の隣に座るように誘うように声をかけたところOKの返事。その数日後もバスで一緒だったとき,特に迷うこともなく私の隣に座った彼女。しかし,鹿児島県が休業要請を発表した頃からまったく見かけなくなりました。どうしているのかしら?
バスの車内もスカスカの状態です。2人掛けの椅子に1人いるかどうか。おかげでゆっくり座れるといえばそうなのですが,換気のために窓は開けっぱなし。幸い,桜島の火山灰が降っていないのですが,朝の冷たい風を長時間受け続けると鼻水が垂れてきます。感染症予防のために風邪をひくなんて笑い話ですね。
仕事帰りは今もタクシーに乗ります。バスの運行がない時間帯。もう,こんな生活が3ヶ月続いています。いつものタクシー乗り場に行くと,最近は何も言わなくても私の家まで送ってくれるようになりました。タクシーの運転手は日によって違いますが,同じタクシー乗り場。運転手仲間で情報を共有しているのでしょう。
先日はタクシーに乗り込むなり,運転手から「昨夜は深夜1時のお帰りだったそうですね」と話しかけてきました。彼らにとっては超常連のお客さんになってしまったようです。いつも3千円近く支払ってますからね。うれしいような,悲しいような。
家と会社の往復。バスとタクシーに乗りっぱなし。それ以外の場所を訪れることはほとんどなくなりました。新型コロナウイルスに感染するおそれもないでしょう。人混みに行くなんてできっこありませんから。
数年前,私は仕事帰りにあちこちのバーや居酒屋に寄りました。千円程度のちょい飲みですが,週に1,2回は立ち寄り,アルバイトの店員達との会話を楽しんでいました。なんだか遠い昔のようです。
あの頃のお店はまだ営業を続けているんだろうか? お店でアルバイトをしていた女の子たちはどうしているんだろう? こんなに世界が変わってしまうなんて誰が想像できたでしょう。私はあのときの日常に戻りたい。私の力ではどうすることもできないけれど,私自身の力であの頃の日常を取り戻したい。周囲からは白眼視されようとも,自分の姿を取り戻したい。
ラルースのことばを愛す「わたしはあらゆる風に載(の)りて種播(ま)く」(篠弘)
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