2020年1月14日 (火)

冠婚葬祭の「冠」とは成人式のことだと初めて知りました

朝食を終えて片付けをしていると,娘が「センター試験まであと4日だよ。私って気分は小学6年生なのに。早くない?」と脳天気に笑っていました。確かに娘が精神的にどれだけ成長したかと思うと心許(こころもと)ない。

さて,昨日は成人の日。たまたま車を運転しているときにカーラジオをつけると,デイパートナーという番組のなかで成人式のことを取り上げていました。「冠婚葬祭の冠は成人式のことです」とのこと。へーっ,そうだったんだ。

「婚」は結婚。「葬」は葬儀。「祭」はよくわからなかったのでネットで調べてみると「祖先の祭祀」と出ていました。法事とかの意味です。

確かに古来から日本では,人生の節目として元服(げんぷく),婚礼,葬式を大事にしてきました。また,祖先の命日にはお墓参り,8月にはお盆など,祖先を祀ることを大事にしてきたので,ラジオを聞いて冠婚葬祭という言葉がようやく腑(ふ)に落ちました。

それにしても二十歳の成人式って,本当に大人になるための儀式なんでしょうか? 私は30年近く前に成人式に参加しました。このときは儀式というより,小学校,中学校の同級生との再会の場でした。小学校でタイムカプセルを開けたり,一緒にお酒を飲んで騒いだり。大人としての自覚をもったとは到底言えない日でした。

テレビのニュースを見ると成人式を18歳に引き下げるかで市町村が決めかねているといっていました。しかし,18歳と言えば,大学・専門学校への進学や就職を控えて忙しい時期。私の娘のようにセンター試験の直前で成人式どころじゃないという若者も多いのでは? という問題があります。

成人式はやめればいいと思うのは私だけでしょうか? そもそも18歳には高校の卒業式があります。卒業式こそ,今や成人式と同等の意味を持つのではありませんか? 高校卒業が,子どもだった自分とのお別れの儀式だと感じる人は多いはず。

こう言うと「高校に進学していない人はどうするんだ」と反論する人がいます。私に言わせればふざけんじゃない。成人式に参加する人がどれだけいると思っているんでしょう。卒業式に参加する人と,成人式に参加する人を比べれば,卒業式に参加する人の方が圧倒的に多い。

現在の市町村が実施主体の成人式は20歳にするのか,18歳にするのか悩むのではなく,即刻中止すべきだというのが私の考えです。ついでに「半成人式」という意味のよく分からないイベントも中止してください。小学校4年生に親への感謝を無理矢理いわせるのは正直なところ素直に聞くことができませんでした。親から暴力を受けている子ども,親が嫌いな子どもだっているでしょうに。話がそれました。

ところで高校3年の娘が成人式の年齢のニュースを見て「18歳に選挙権があるのに,なぜ再来年から18歳なんて言っているの?」と私に質問しました。「18歳から投票できるという規定は公職選挙法。大人の年齢を20歳から18歳にするのは民法。改正民法が施行されるのが再来年だから」と答えておきました。ちなみに娘がセンター試験で選択した科目は「政治経済」です。

卒業式の前の日に知る千円でバラは三本買えないことを(俵万智)

2020年1月13日 (月)

マダガスカル温泉は廃業していた 安心・安全な社会を追い求める果て

温泉ソムリエ六三四(むさし)を知っていますか? 鹿児島銀行のシンクタンク,九州地域経済研究所が発行している月刊誌に,この六三四が鹿児島県内(ときどき宮崎県)の温泉遺産を紹介するコーナーがあります。

ひなびた,泉質がいい,などなど独自の観点と,ユーモアあふれる文章で,隠れた名湯(迷湯?)(めいとう)を取り上げます。

私が最も印象に残ったのは「マダガスカル温泉」。このネーミングのインパクトは半端ない。しかも料金100円。しかも管理人など関係者は常時不在。しかも脱衣場にはピアノや壊れたミシンが置いてある。しかも青のり,茶のり,など得体の知れない汚れが目立つ。しかも温泉の効用は木材の外壁にマジックで書いてある。おそろしい,おそろしずぎる。でも,一度行ってみたい!

今日は実家に行くために国道328号線を北上。途中,入来町の麓武家屋敷の入り口で車を停めました。マダガスカル温泉はこの国道沿いにあるのです。しかし,入り口は荒れ果てています。

建物は残っているので近づいてみると,ガラス戸に張り紙がしてありました。「平成30年12月18日をもって廃業しました。温泉法により常時管理人を置かなければなりませんが,めどが立たないため許可がもらえません」

オーッ,なんてこったい。確かにこの妖しさでは商売っ気があるとは思えませんが,だからといって廃業するなんて。

実家に戻り,お昼を両親と一緒に食べたとき,マダガスカル温泉の話をしました。母は「行政がいろんな規制をするから私たちの暮らしは窮屈になっていくわ。近くの飲食店も下水道につながってないから汚水を流すことができないってことで営業をやめたし」

下水道代の負担もできないような飲食店が営業することがおかしい,と真面目な人はいうでしょうが,衰退する商店街では設備投資に消極的になりがち。かくいう私の実家も消防法の規制がかかるため,消防署の指摘によって営業面積が半分になりました。弱り目にたたり目とはこのことです。

最近は何かにつけて「安心・安全」と口にします。簡単に口にするほど「安心・安全」は安くありません。それ相応のコストがかかります。コストを負担できない零細企業はどんどん市場から退出していきます。ゾンビ企業,ゾンビ商店を潰すにはいい口実ですけどね。

これからの社会はどんな社会になるんでしょう。安心・安全のための法令を守るために十分な資力のある企業のみが営業を続けることができる世の中です。消費者にとってはいいでしょうね。でも,この世界は消費者だけで成立しているわけではないんですよ。

ここまでして,安心・安全な社会を求めているのは誰なんでしょうか? 本当にこんな世界を望んでいるんでしょうか? 私ではないのは確かです。

メリーゴーランドを止めるスイッチはどこですかそれともありませんか(中澤系)

2020年1月12日 (日)

鹿児島市内のリサイクルショップめぐり リサイクルマートはどこに消えた

なじみの小料理屋のおばちゃんからすき焼き用の鉄鍋をいただきました。しかし,我が家ですき焼きはフライパンでつくります。鍋が増えると収納に困る。ということでリサイクルショップに持って行くことにしました。

与次郎ヶ浜にリサイクルマートがあったはず・・と思ってやってきたものの店が見当たらない。思い出を手繰りつつ周辺を2周しましたがやっぱり姿がありません。店をたたんで駐車場になってしまったようです。

ネットで検索すると宇宿店が表示されました。車での移動ならたいしたことないやと,早速移動。混雑する国道225号線を南に,ラーメンチェーン店の天下一品のところを左に入ったのですが,ここもだだっ広い駐車場。パチンコ屋や回転寿司のチェーン店しかない。これってどういうこと?

100mほど南側に黒く塗られた建物があり,「買取」の文字が見えます。カーナビの位置情報がずれていたのかよ,と思って行ってみると別の店「マンガ倉庫」でした。

入り口から入るとゲームセンター。ゲーム機のけたたましい音楽や電子音が鳴り響く中,レジのところでたずねると「ここは売り場。買取用のレジは一度出ていただいて右手になります」とのこと。いったん店を出てようやく買取用のレジを見つけました。

持ち込んだ鉄鍋は未使用品で使用上の注意書きがついています。箱はないもののお店で買ったときのビニール袋に包まれたまま。店員に査定をお願いし,しばらく店内を見学しました。

店内には古着や楽器,家電製品,CDなどすごい品数。しかもお客さんが多い。子どもも多い。そして店の外ではタバコをふかしている人が多い。ガラの悪そうな人たちが多い。ゲームセンターや店内のBGMの音楽がうるさくて動悸がする。あちこちの商品?から匂いがして胸が悪くなる。10分ほど店内を歩いているうちに頭が痛くなってきました。

店内放送で私の番号が呼ばれました。レジで金額を見ると50円。そうですか,未使用品でもすき焼き鍋は50円の値段しかしないんですか。でも廃棄するよりはまし。ゴミが増えるよりは使ってもらった方が精神的に楽です。

帰り道,やはり産業道路沿いで近くにある「エコタウン」に寄ってみました。こちらも同じようなリサイクルショップなのですが,清潔感にあふれていて「マンガ倉庫」のような気分の悪さはありませんでした。経営者の考え方なのか,店員の質の問題なのか,この違いはどこから来るんでしょう?

フォローするとすれば「マンガ倉庫」の買取で来店した人には「お茶・コーヒー」のサービスがありました。だからどうだって言われるとそれまでなんですが・・・

ところで古本は高値で買い取られるんですね。この日,ブックオフに38冊もっていったのですが,全部で3400円で買取。一番安いのはナショナルジオグラフィック(雑誌)で40円。新書類は100円前後。一番高くで買い取られたのはファクトフルネスの500円でした。

本は捨てるより早めに売った方がいい,物品(未使用品)はバザーに出した方がいい,ってつくづく思いました。

文明とはすなわちゴミの異称にてコーラの缶を投げる青空(俵万智)

ラグビートップリーグ開幕 ど・れ・に・し・よ・う・か・な

今朝の新聞のテレビ欄。地上波ではNHK総合で都道府県退行全国女子駅伝,大相撲初場所,教育では全日本バスケットボール選手権決勝。MBCでは全日本高校女子サッカー選手権決勝「藤枝順心×神村学園」,KTSでは春の高校バレー2020男子・女子決勝,KYTではスキージャンプ女子ワールドカップ札幌,夜になるとKKBではサッカー東京五輪アジア予選「日本×シリア」。すごい,すごすぎるスポーツ中継の数。

一方,スポーツ中継が普段でも多いBSでは,NHKが全日本バスケットボール選手権女子決勝,ラグビートップリーグ「東芝×サントリー」,サッカーアジア予選「サウジアラビア×カタール」,同「日本×シリア」,深夜にNFL,ラグビートップリーグは他にもBS日テレが「神戸製鋼×キャノン」,BSテレ東が「パナソニック×クボタ」。すごい,すごすぎるスポーツ中継の数。

ラグビーブームがまだ続いているようで,BSでは3局がトップリーグを生中継。すごい,すごすぎるラグビー中継の数。プロ野球でも同時にこれだけの試合を放送しないでしょう。

昨日のミューエフエムの番組「サタスポ!」では大畑大介氏がパナソニックを押していたので関心はあったのですが迷った末,結局NHKーBSが放送する「東芝×サントリー」を選びました。民放のスポーツ中継は余計なコメントや余計なゲストが出演しているのが煩(わずら)わしい。それからするとNHKはやはり純度が高い中継になることが決め手でした。

この試合,フォワードで押しまくる東芝が前半は圧倒的優位。サントリーは反則が続発。しかもフランカーが前半で退場。そういうことで東芝のボール保持率が7割。

しかしサントリーも粘る。特にサントリーのバックス陣がすばらしい。松島幸太郎のトリッキーな股下パス,オーストラリア代表のサム・ケレビのステップとパワーで東芝のディフェンスをぶち抜くプレーは興奮しました。

結局1トライ差で東芝が勝利。サントリーは退場が痛かった。でも,いい試合でした。

夏はJリーグの鹿児島ユナイテッドを観戦し,冬はBリーグの鹿児島レブナイズ戦を観戦するのが私の週末の過ごし方でした。しかし,今シーズンはレブナイズの試合は地方開催ばかりで観戦できず。その隙間をラグビー中継が毎週見られるのなら,楽しみがまたひとつ増えることになりそうです。

冬菊のまとふはおのがひかりのみ(水原秋桜子)

菜の花マラソンの日 ランニング大好き人間の不思議

今日は指宿市の菜の花マラソンが実施されます。20数年前,私も当時の会社のメンバーと出場したことがあります。このときは6時間30分かけて完走しました。完走は嘘です。20キロぐらいから足が動かなくなって歩いていましたから,完歩というのが現実に近い。

翌日からしばらくは足が筋肉痛で歩くのも大変。横断歩道を渡るときにも青信号の間に渡りきれないぐらい足が動かなくなっていました。若かったとは言え,まったくトレーニングをしていない,ぶっつけ本番でしたから無理もありません。これに懲りて走るのは縁がありませんでした。

ただ,10年ぐらい前には週末ゆっくりと1時間ぐらい走っていました。私の認識では「走っていた」ですが,娘達に言わせると早歩きに近いようです。私が走っているときの速度と当時中学生だった娘が歩いている速度とほとんど変わりませんでしたから。

「走り込んでいた」と思っていた私は,この頃ランニング桜島に参加しました。ハーフマラソンなので20キロ。ただ体力に自信がなかったので,「1キロ8分」のペースでゆっくりと最後尾からついていきました。1キロ8分だと制限時間内にゴールできる,ぎりぎりのペースです。

最初の10キロぐらいはダントツのビリ。ところが15キロを過ぎたあたりからリタイアしたランナーがちらほらでてきます。そしてゴール近くの競技場前の登りの坂道になるとランナーが鈴なり状態。みんな走れなくて歩き出していたんです。そんなランナー達を横に見ながら,早歩きのようなジョギングらしき走り方でごぼう抜きするのは快感でした。

結局数百人を追い抜き,制限時間より10分早くゴールできました。それなりに充実感のある「走り」でした。しかし,出場したのはこれが最後。今の私はこのちょぼちょぼ走りさえせず,運動と言えばもっぱら歩くだけです。

会社では私よりも年上の社員が菜の花マラソンに出場します。いわゆるサブ4(フルマラソンを4時間以内に完走)の人たち。どうしてこんなに一生懸命になれるのか,私には不思議でなりません。近所でもよくランニングウェアを着て走っている人たちを見かけます。会社でもマラソンの話題がよくでます。ここまでのめり込めるって凄いですね。

天邪鬼(あまのじゃく)の私は,みんながマラソンに熱中すればするほど興味を失います。というわけで,今日はテレビでラグビーのトップリーグ開幕戦を見ながら,エアロバイクをこぐことにしましょうか?

たっぷりと君に抱かれているようなグリンのセーター着て冬になる(俵万智)

2020年1月11日 (土)

10日間笑い続ける最終兵器 ガキの使いやあらへんでスペシャル!

毎年大晦日の夕方から放送される「ダウンタウンのガキの使いやあらへんでスペシャル!」。我が家では録画して,正月から少しずつ再生して見ていました。

今回の年末年始休暇は娘が大学受験で毎日学校に登校するため,例年のように私の両親の実家に泊まりで帰ることがなく,顔を出すだけ。毎日夕方には自宅に戻り,娘と晩ご飯を食べる生活でした。

晩ご飯を食べる時間にあわせて,録画しておいたこの番組を娘が見ていたのですが,普段はお笑い番組をみない私も思わず見てしまいました。

内容は簡単。ダウンタウン(松本,浜田),ココリコ(遠藤,田中),山崎方正(今では月亭になったんですね)の5人に対し,さまざまな「笑い」の罠が待ち受けます。この5人が笑うと罰として尻(けつ)バット,という仕掛けです。

それにしても出演者が豪華。ラグビーワールドカップの日本代表(稲垣,福岡ら),天海祐希,武田鉄矢,伊東四朗といった実力ある俳優陣,キックボクシング世界チャンピオンの那須川天心,元スマップの稲垣吾郎,草彅剛,香取慎吾。そして昨年の話題となった吉本興業の闇営業のパロディや不倫騒動のお騒がせ芸能人の本人が出演して自虐ネタを披露。

ほかにも飽きさせない工夫として,パーティー用の仮面やゴリラのぬいぐるみなど,ここまでやるかというぐらい小道具もそろえていました。

その一つ一つに私も腹を抱えて見ていました。まさに抱腹絶倒。その中でもやっぱり面白かったのは天海祐希が校長役のあいさつのシーン。天海祐希が真剣な顔で「まーと言って」「森進一の声で」といたぶる様子は,そのギャップが大きすぎて笑いが止まりません。お笑い芸人よりも実力派俳優のほうが笑いをとっていた,少なくとも私はそう思いました。

ところでこの番組。全部で6時間30分もある超大作。というわけで,毎日30分程度見ても10日かかる計算です(CMを早送りにするため)。我が家では元日から見始め,1月10日にようやく最後まで見終えました。私はところどころしか見ていないのですが,初めてこれだけ長時間見ました。

紅白の裏番組なので視聴率はかなわないようですが,録画しておけば新年の初笑いにはもってこいですね。えてしてお正月のテレビ番組はつまらない。そんな中では秀逸でした。

口あけて腹の底まで初笑(高浜虚子)

2020年1月 9日 (木)

「啓発」の出典は論語 「京都大学は諸君に何も教えません」の衝撃

『「知の体力」と「問う力」』(永田和宏)を読みました。著者は京都大学名誉教授であり,歌人としても有名です。

同氏はノーベル物理学賞を受賞した湯川博士に憧れて京都大学理学部に入学,湯川先生の講義を受けた最後の学年です。その当時の話はすべて忘れたが,湯川先生の講義を受けたことが研究者としての著者の自信になっているといいます。

それに比べ,今の学生が「この先生の講義が聴きたい」という教員への憧れではなく,偏差値で大学を選んでいることに,著者は残念な思いを持っているようです。

そもそも高校までは「いかに正しく答えられるか」が重要でしたが,大学では「いかに問うことができるか」が重要になります。学習から学問に変わると言えます。

論語に「憤(ふん)せずんば啓(けい)せず。悱(ひ)せずんば発せず」という一節があります(述而第七)。「憤す」とは知りたいという意欲が湧き上がってくること。「啓す」「発す」とは教え導くこと。「悱す」とはうまく表現できずにいい悩むことをいいます。

今の大学教育では学生が心底「知りたい」と求める前からどんどん教えています。これは啓発ではありません。大学まで来て「知りたい」と思っていない学生に教えることに意味があるでしょうか? と著者は問題を提起します。

また,文部科学省の方針である「リメディアル教育」に反対しています。これは学力が著しく不足している大学新入生のために,高校までの教育内容を復習するプログラムです。今ではこんなことをしているんですね。何のための大学入試なんでしょう?

著者の話を読みながら私自身のことを思い返しました。私も京都大学の「自由な学風」に憧れました。模試ではいつもD判定(当時はE判定はありませんでした)であっても,京都大学に合格するために勉強しました。

もっとも京都大学が特別なのかも知れません。1966年に著者が京都大学に入学したとき,入学式の式辞で奥田総長(京都大学では学長のことを総長と呼びます)が「京都大学は諸君に何も教えません」と述べて大変やショックを受け,「大学は高校とは全然違う場所。自分で知ろうとしなければ,何も手に入らないのだ」と武者震いしたそうです。こんな学風が残っている大学が他にあるんでしょうか?

きみに逢う以前のぼくに遭いたくて海へのバスに揺られていたり(永田和宏)

2020年1月 8日 (水)

学校の先生に言いたい 授業と宿題が多ければ難関校に合格しますか?

今年の正月休み,高校3年生の娘は冬休み中も毎日登校。特別対策(?)として授業があったそうです。それどころか宿題も。インド人もびっくりの教師達の情熱ですね。

でも,娘の話を聞いてみるとちょっと違います。例えば英語対策のヒアリング。全員が一律でその授業を受けるとのこと。娘が言うにはヒアリングがいつも満点をとるような生徒でもこの授業を「うけなければならない」のだとか。えっ? じゃあいったい何のためにやってるの?

センター試験まであと1ヶ月もないこの時期。受験生は自分の不得意科目に力を入れて,得点を伸ばす努力をする時期です。例えば英数国の普段の模試の点数が150,100,50だった場合,当然国語の勉強をするでしょう。最も伸びしろが大きいのだから。にもかかわらず英語の授業を強制的に受けさせる(しかも,課外で)なんて,その生徒の勉強時間を奪っていることになります。

鹿児島県内の進学校は,昔から朝課外をすることで全国的に有名です。というか,こんなことをやっている都道府県はほとんどないのが実状です。これで進学率が高ければ文句はでないかもしれませんが,実際は旧帝国大学などの偏差値の高い大学への進学率はどんどん低下しているのが鹿児島県の姿です。

私の母校は,私が現役高校生のときまでは東大,京大,あるいは医学部への進学者がかならずいました。それが今やトップレベルでも九大に1人いるかどうか,ほとんどは鹿児島国際大学などの鹿児島大学よりレベルが下と思われるような私立大学に進学していると聞き,腰が砕けそうになりました。それほど上位層の学力は低下しているのです。

確かに強制的に勉強させれば落ちこぼれを防ぐことができます。そうすると全体の進学率は維持できるでしょう。しかし,この締め付けを強めれば強めるほど,自律的で能力の高い学生は時間を奪われ,難関校への進学が不利になっていきます。

娘の話を聞いて驚いたのは,この時期に宿題もあるとのこと。この高校の教師は馬鹿か?

個別に勉強を教えろとは言いません。ですが,生徒の勉強時間を奪っているという認識が欠けている教師の態度に驚きます。なんと独善的な!

希望者だけに授業をしたり,宿題を出すならまだ理解できます。しかし,朝課外と同様,「自主性」という名の下に事実上は強制です。全員がやることに意義があるってこと。なんと画一的な!

働き方改革が叫ばれる今,学校の先生方は時間がプライベートな時間がない,いわゆるブラック企業の従業員と同じでしょ。年末年始休暇も学校で過ごすんだから。なんと時代錯誤!

朝課外をすることで生徒の学力が上昇したという客観的な資料はどこにあるのでしょうか? 私は一度も見たことはありません。宿題の量と学力との相関関係を示した資料があるのでしょうか? 小中学校はともかく,高校生のレベルでこのような資料を見たことはありません。もしあったとしても,最低層のレベルを上げる話であって,難関校への進学者が増加したとする資料は皆無です。

このシナプスブログは学校関係のブログが多数掲載されています。私のブログをみかけることもあるでしょう。このブログを読んで,自分たちがやっていることを科学的に検証してはいかがでしょうか? ぜひ,このブログにその結果をコメントとして掲載してください。

いっておきますが議論をはき違えないでくださいね。底辺レベルではなく,上位レベルの学力アップを私は問題にしているのです。

親は子を育ててきたと言うけれど勝手に赤い畑のトマト(俵万智)

2020年1月 7日 (火)

大学入試センター試験まであと11日 地球滅亡まであと○○○日

高校3年生の娘が「センター試験まであと11日だよ」と突然呟(つぶや)いたので,あわせて私も「地球滅亡まであと365日」と言っておきました。娘は唖然(あぜん)とした表情。

私がまだ小学生(あるいはその前)だった頃,テレビで「宇宙戦艦ヤマト」というアニメ番組が放送されていました。ガミラス星のデスラー総統が地球を滅亡させるために攻撃を続けたため,放射能で汚染された地球。人類は,コスモクリーナーという放射能洗浄装置を持ち帰るためにイスカンダル星へ宇宙戦艦ヤマトをむかわせるというストーリーです。この番組の最後に「地球滅亡まで,あと○○○日」というフレーズが入るのがお約束。これをもじって娘に言ったのですが,もう40年ぐらい昔の話ですから,娘が知っているはずもありません。

私が高校生3年生のときも,「センター試験まであと○○日」と日数を更新する掲示板が学校にありました。寮の同級生達は「おい,センター試験まであと○○日やっど」と焦らせては,「♪ だって~しょうがな~いじゃない」と和田アキ子の歌で切り返すのが流行(はや)っていました。私の切り返し方もこの延長です。

ところで,昨年から大学入試制度改革について大きな問題に発展しています。民間会社に試験をさせるとかマークシートを記述式にするとか,喧々(けんけん)ガクガクの議論が沸き起こっていて,結局,大学入試制度改革は先送りされました。私にとってはずっと前からひとごとなんですけど,こんな騒ぎが起きる理由となるとさっぱり理解できません。

もともと大学入試は大学が実施するものです。どのような試験を実施するかは大学が選択する,主導権をもっています。センター試験(マークシート型)をどのように利用するのか(傾斜配点,足きりなどなど)も大学側が判断することです。

しかし,今回の騒ぎでは,一体「誰が」試験制度の改革を要求しているのか,まったく不明というのがそもそも問題。主体が存在しないから,目的も不明確,そうなると改革の方向性も定まらない。迷走するのは当たり前のことです。

話は戻って私の娘は毎日センター試験の過去問に取り組んでいるようです。どれもオーソドックスで非常にいい問題です。コツコツ解いていれば,それだけである程度の点数はとれるようになるもの。あと11日。全力で頑張って。応援しています。

ちなみに,私の「宇宙戦艦ヤマト」のもじりに対する娘の切り返しは「地球が滅亡することはないけど,太陽がなくなるのは50億年後」でした。私からは「太陽がなくなれば地球も滅亡するんだよ」と教えておきました。娘は地学を選択しています。ちょっと心配。

煤(すす),雪にまじりて降れりわれら生きわれらに似たる子をのこすのみ(塚本邦雄)

2020年1月 6日 (月)

鹿児島市バスの路線を移譲 これからどうなるバス路線

仕事帰り,鹿児島市の交通局によって市バスの定期券の更新手続きを行いました。そのとき,隣の窓口で手続きをしていた人が「15番線は4月から鹿児島交通が運行しますので,定期券の期限は3月31日までです」と案内。これにはびっくり。

帰宅してから鹿児島市交通局のホームページを見ると,紫原方面は今年の4月から鹿児島交通に,吉野方面は今年の4月から南国交通に,明和方面は来年の4月から同じく南国交通に移譲するとなっていました。今後3年間は路線と便数は維持するとの条件が示されていましたが,赤字路線だから民間会社に移譲したことを考えると,3年後に廃止されてもおかしくありません。

過疎化とは無縁と思われていた,鹿児島市内のバス路線でさえこの有様。地方では苦戦するはずです。私の田舎でも路線バスに乗ったら私だけということも珍しくありません。補助金がでているから路線が維持できているってことなんでしょう。

それにしても鹿児島交通は「官より民です。補助金はもらっていません」と大きく車体に書いた路線バスを運行しています。しかし,実態は乖離しています。なにしろ鹿児島交通は鹿児島県内で最もバス路線の運行費補助金をもらっている会社。この主張広告でラッピングしたバスが運行する路線は確かに補助金はもらっていません。黒字だから。でも,赤字路線はちゃんと補助金をもらっています。その路線ではラッピングバスは運行していません。でも,一般の人は補助金をもらっていない「路線」と補助金をもらっていない「会社」を区別することなんてできないでしょうね。

でもまあ,こんな広告を掲載したところで,鹿児島交通を選んで乗る人なんていないでしょう。それよりも市バスより20円安い運賃が魅力に感じるはず。

問題はこれからです。市バスの路線を奪った鹿児島交通は20円安くする必要はなくなったので間違いなく運賃を値上げするでしょう。ライバルの市交通局を葬(ほうむ)って路線を独占してから運賃を値上げする。よくある話です。

かつて,鹿児島と種子島,屋久島を結ぶトッピーもそうでした。トッピーを運行する鹿児島交通は,ライバル会社の運行するロケットと対抗して価格競争。それではお互い赤字が増加するだけなので共同運行に切り替えて運賃を高値安定に切り替えました。こちらは葬ることはできませんでしたけど,値下げ合戦を繰り広げたのは周知の事実です。

わたしはこんな鹿児島交通のやり方が嫌いです。だから,鹿児島市内では鹿児島交通には絶対に乗りません。

ところで私は定年まで働くとしたら,あと12年バスを使うことになります。でも,その前に私が利用するバス路線は廃止になるかも知れません。そうなったら歩いて通勤ってことになるかも。晴れた日はいいけど雨が降ったらどうなる? 雨の日は長靴を踏んで出勤しましょうか。

急流のごとき世なれどおでん酒(百合山羽公)