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2020年1月13日 (月)

マダガスカル温泉は廃業していた 安心・安全な社会を追い求める果て

温泉ソムリエ六三四(むさし)を知っていますか? 鹿児島銀行のシンクタンク,九州地域経済研究所が発行している月刊誌に,この六三四が鹿児島県内(ときどき宮崎県)の温泉遺産を紹介するコーナーがあります。

ひなびた,泉質がいい,などなど独自の観点と,ユーモアあふれる文章で,隠れた名湯(迷湯?)(めいとう)を取り上げます。

私が最も印象に残ったのは「マダガスカル温泉」。このネーミングのインパクトは半端ない。しかも料金100円。しかも管理人など関係者は常時不在。しかも脱衣場にはピアノや壊れたミシンが置いてある。しかも青のり,茶のり,など得体の知れない汚れが目立つ。しかも温泉の効用は木材の外壁にマジックで書いてある。おそろしい,おそろしずぎる。でも,一度行ってみたい!

今日は実家に行くために国道328号線を北上。途中,入来町の麓武家屋敷の入り口で車を停めました。マダガスカル温泉はこの国道沿いにあるのです。しかし,入り口は荒れ果てています。

建物は残っているので近づいてみると,ガラス戸に張り紙がしてありました。「平成30年12月18日をもって廃業しました。温泉法により常時管理人を置かなければなりませんが,めどが立たないため許可がもらえません」

オーッ,なんてこったい。確かにこの妖しさでは商売っ気があるとは思えませんが,だからといって廃業するなんて。

実家に戻り,お昼を両親と一緒に食べたとき,マダガスカル温泉の話をしました。母は「行政がいろんな規制をするから私たちの暮らしは窮屈になっていくわ。近くの飲食店も下水道につながってないから汚水を流すことができないってことで営業をやめたし」

下水道代の負担もできないような飲食店が営業することがおかしい,と真面目な人はいうでしょうが,衰退する商店街では設備投資に消極的になりがち。かくいう私の実家も消防法の規制がかかるため,消防署の指摘によって営業面積が半分になりました。弱り目にたたり目とはこのことです。

最近は何かにつけて「安心・安全」と口にします。簡単に口にするほど「安心・安全」は安くありません。それ相応のコストがかかります。コストを負担できない零細企業はどんどん市場から退出していきます。ゾンビ企業,ゾンビ商店を潰すにはいい口実ですけどね。

これからの社会はどんな社会になるんでしょう。安心・安全のための法令を守るために十分な資力のある企業のみが営業を続けることができる世の中です。消費者にとってはいいでしょうね。でも,この世界は消費者だけで成立しているわけではないんですよ。

ここまでして,安心・安全な社会を求めているのは誰なんでしょうか? 本当にこんな世界を望んでいるんでしょうか? 私ではないのは確かです。

メリーゴーランドを止めるスイッチはどこですかそれともありませんか(中澤系)

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