2020年1月24日 (金)

おにぎりってどうして思い出深いんでしょう 思わず涙が・・・

映画「かもめ食堂」を見たことがあります。主人公の女性(小林聡美)がフィンランドのヘルシンキで日本食の食堂を開設。異境の地の日本食はなじみがないため,お客さんが一人も来ない日々が続きます。それでも毎日真摯に仕事に向き合い,営業を続けた結果,ぽつぽつお客が集まり始めます。やがて日本人の変人達(片桐はいり,もたいまさこ)が助っ人で登場したりして,最後は食堂が満員になるシーンで映画は終わります。

この映画の中で,従業員の片桐はいりが「どうして食堂のメニューにおにぎりがあるのか?」と小林聡美にたずねるシーンがあります。小林は「私には母親がいなかった。運動会の日,父が私のためにおにぎりを握ってくれた。普段料理なんてまったくしないのに。おにぎりは不格好だったけど,とても美味しかった」と静かに思い出を語り,それを聞いていた片桐はいりは涙を流します。(だぶん,そういうストーリーだったと思いますが,映画を見たのはもう10年ぐらい昔のことなので記憶が変容しているかもしれません)

NHKの人気番組「プロジェクトX」でもおにぎりのエピソードが盛り込まれていました。連合赤軍のメンバーが厳冬期の「あさま山荘」に立て籠もり,警察隊と銃撃戦を繰り広げたとき,地元の女性達が警察隊のために熱いご飯をにぎっておにぎを提供したことです。田口トモロヲのナレーションが耳に残りました。

おにぎりって日本人の生活の中で重要な「メニュー」として存在しているんですね。おにぎりをにぎるという行為に愛情があふれているとも言えます。

先週,たまたま,ハンセン病の元患者の講演記録を読みました。鹿児島県鹿屋市のハンセン病療養所,星塚敬愛園に入所されている元患者の講演です。この講演を聴いた小学生の感想文をたまたま目にすることがありました。

「講師は子どもの頃,ハンセン病に感染しているとして施設(ハンセン病の療養所)に入所させられました。しかし,事前に施設に行くという話はなく,両親からは遊びに行くと言われていました。入所する日の朝,母親が涙を流しながらおにぎりをにぎっていたそうです。施設に入所してからは自分の家に戻ることはできず,両親と一緒に暮らすことはできなくなりました。もし,私が同じ境遇に置かれたら,私は泣きじゃくるしかできないでしょう」

私はこの感想文を読みながら,息子のために最後のおにぎりを握る母親の気持ちを思い,思わず目頭が熱くなりました。もし,この文章を読んだのが職場でなかったら,私はボロボロと泣いていたでしょう。

注)ハンセン病は極めて感染力の弱い病気です。しかし,皮膚が崩れるようになることから懶病(らいびょう)として古来恐れられてきました。かつてはハンセン病に感染すると,患者は療養所に強制的に入れられ,その患者の家は真っ白になるまで消毒されました。周囲の偏見や差別意識もずっと残っていました。今では国が政策の誤りを認め,差別を受けた患者やその家族に謝罪・補償しています。

物言わぬ民の無数の死の上に解放戦の一つ今やむ(近藤芳美)

2020年1月23日 (木)

締めは漬物 おばちゃんに言わせれば「あなたって通(つう)ね」

久しぶりに,なじみの小料理屋に顔を出してみました。ところが店内はまっくら。玄関は開けっぱなし。「二階の電気は付いているのに変だなあ」と思いつつ,玄関脇のインターホンを押しました。

「こんばんわ」「あっ,ちょっと待っててくださいね。今降りていきますから」 私のことだと気付いた様子でした。ところがなかなか降りてこない。暗闇の店内で5分ほど待ってようやく灯りがつきました。

「今日は家を片付けをしていたのよ。しばらく椅子に座っていたらそのまま寝ちゃってね。いつもは夕方の5時半になれば開店の準備を始めるんだけれど,ついさっきまで寝てたから間に合わなかったのよ」

そういうおばちゃんの横顔をみると,左の頬が赤くなっています。その原因をたずねていいものか思案していると

「先週は階段を降りてから転んじゃってね。両手に荷物をもっていたから,体を支えることができなくて膝を顔を床にぶつけたのよ。あまりにも痛くてその日は倒れたままじっとしていてね。翌日なんとか歩けるようになったから病院に行ってきた」

「そりゃ,大変だったですね。もう年なんだから転ばないように気をつけないと」

「病院に行ったら先生はなんと言ったと思うね。『なんで痛みが一番ひどいときに来なかったのか』だよ。痛みがひどくて動けなかったのにどうやって病院にこれるかっていうの。そう言い返したら看護婦さん達は笑ってたよ。医者はそういう経験がないから平気でそんなことを言うのね」

「この間は認知症の権威だった先生が,自分が認知症になった体験をテレビで話していたけど,『自分が認知症になって,自分の言っていたことが間違いだったとわかった』っていうからね。ほんとそのとおりだと思うよ。・・・」

トークが続くよどこまでも。話がなかなか途切れない。おばちゃんの手は止まったままなので,最初のお通しがでるまで1時間かかりました。私はそれまで焼酎を空飲み。ここの常連客が先週開けた焼酎を,私も飲んでいいよと言付(ことづ)かっているということで,最初はストレートで,次はお湯割りでいただきました。銘柄は「侍士の門(さむらいのもん)」。大久保酒造です。芋くささはないものの,すっきりと飲める,非常に美味しい焼酎でした。お湯割りよりもストレートがお薦めです。

さて,ようやくでてきたお通しは,刺身こんにゃく,鮭の昆布巻き,白豆,手羽元のビリ辛炒めなど。その後は野菜の煮物などが2品。お腹いっぱいになったので料理はそれぐらいにしてお漬物をお願いしたら,生姜の甘酢漬け,高菜漬け,きゅうりのぬか漬けがでました。デザートはキウイフルーツ。どれも少量づつですが,いろんな味が楽しめて満足。特にぬか漬けはいい香りがして久しぶりにおいしい漬物って感じました。

締めて1700円。お勘定までの2時間は,ひたすらおばちゃんトークを聞き続けました。久しぶりのお客さんということで,よっぽど誰かに語りたかったんでしょうね。

うとうとと生死(しょうじ)の外(ほか)や日向(ひなた)ぼこ (村上鬼城)

2020年1月22日 (水)

NHKニュースはいつになったら武漢から現地リポートをするのか?

中国・武漢の市場が発生源と言われている新型コロナウイルス(肺炎)について,連日大きく報道されています。最初はヒトからヒトへの感染は確認されていない,との発表がヒトからヒトへの感染があると変更されました。昨年12月に発表されてから次第に感染者数は増えています。

今見ているNHKのニュース9によると死者は9人,感染者は400人,重症者も100人を超えているようです。武漢の様子を伝えてる日本語学校に勤務している中国人への電話取材の映像が流れています。でも,なぜ電話なんでしょう?

新型肺炎が発生してからもう1ヶ月になりますが,NHKのニュースに出てくる武漢の映像は閉鎖された市場の様子ばかり。たまに中国人への街頭インタビューやマスクが品切れという店舗の映像がありますが,すべて上海や北京の様子で武漢市民へのインタビューは一度もありません。

武漢の情報で最もひどかったのが,SNSに関係の情報が掲載されて間もなく当局によって削除されたという報道でした。誰の投稿かも不明,削除された事実関係も不明,現地の裏付け報道もなし。こういうのってフェイクニュースだとは思わないんでしょうか? これってジャーナリストの取材って言うんでしょうか?

昨日は武漢の病院などの映像がながれましたが,もともとは中国の現地メディアの映像。NHKはそれを借りて放送しているだけです。

ひょっとしたらと民放の番組もあれこれチェックしましたが,結局,一度も武漢に日本のマスコミがいることを確認できる映像はありませんでした。

日本のマスコミはこの1ヶ月間,いったい何をしているんでしょうか? これだけトップニュースで連日報道しているのに,その中身は現地マスコミの映像を借りるか,外国の医療関係者の推測や中国当局の発表を垂れ流すだけ。取材したといえるのは北京と上海市民の声と,限られた情報しかもっていない日本の医療関係者のコメントだけです。あっ,今日は日本政府の関係閣僚会議のこともでてました。

そして,今日。武漢市は市民の移動制限措置を発表しました。これで日本のマスコミが現地取材をすることは事実上困難となりました(と対外的に正当と思ってもらえる理由ができました)。そもそも現地に行く気がないからマスコミにとっては痛くもかゆくもないんでしょうけど,これってジャーナリストとしてどうなんでしょうか?

こんなことをテレビにむかってしゃべっていると,家族から「うるさい。だったら行動しろよ。NHKに電話すればいいじゃん」「えっ,じゃあ,お父さんがそういう行動をしてもいいの」「・・・ほんとうに面倒な人だわ」

それはともかく,過去に大騒ぎになったSARSの致死率は10%弱。MARSの致死率は30%。それからすると今回の新型コロナウイルスによる致死率は9/400として3%弱というところでしょうか。インフルエンザの致死率が0.1%と言われているので,インフルエンザよりは死ぬ可能性が高いようです。

医学に詳しい知り合いに訊いてみました。「新型インフルエンザの備蓄薬があるわけでしょ。タミフルとかリレンザとか。新型コロナウイルスもあれで大丈夫なんじゃないの?」 「違うんですよ。インフルエンザとコロナウイルスは違うウイルスなので全然効果がないんです。今のところ新型コロナウイルスに効く薬はないです。対症療法だけですね」

馬鹿につける薬はない,新型コロナウイルスに効く薬もない,こうして平和な一日が終わります。

死にたれば人来て大根(だいこ)煮(た)きはじむ(下村 槐太)

2020年1月21日 (火)

温かくて停滞前線まで現れる大寒 地球温暖化の影響で大雪が降るはず 

今年の冬は暖かいですね。先週からやや冷え込みましたが,ここ鹿児島市内では氷を張るようなことはありません。それどころか吐く息が白くなる日は1,2日あったでしょうか? こんなに温かい冬は経験したことがありません。

2年前,鹿児島市内はもちろん,日本全国に寒波が押し寄せ,日本海側では大雪となりました。島根,鳥取の国道では大雪の影響で車が動けず,救出作業が行われたことを覚えているでしょうか? このとき,NHKの天気予報では「大雪は地球温暖化の影響です」と説明していました。

そして昨年の12月には,東北大学が地球温暖化の影響で日本海側は大雪になるというシミュレーションを公表。グレタ・トゥーンベリが眉間にしわを寄せてアジテーションを繰り返しているように,地球温暖化は進行しつづけていて,大人達は未来に対して無責任のはず。となると,日本では毎年のように大雪が降って当然のはずです。

ところが今年は大寒を過ぎてこの暖かさ。雪どころではありません。日本各地のスキー場では雪不足が深刻化して営業休止に追い込まれているところもあります。ましてや鹿児島市の私の家の庭では,沈丁花(じんちょうげ)のつぼみがふくらんできて,ひょっとしたら立春前に開花するかもしれません。まだ水仙が葉も広げていないのにですよ。これは暖冬の影響としか思えない。

明日からは九州地方に停滞前線が延びてくると天気予報が解説をしていました。停滞前線ができるのは菜種梅雨(3月),梅雨(6~7月),秋雨前線(9月)の3回が通常です。今の時期は西高東低の冬型の気圧は配置。大陸からの高気圧が大きく張り出し,日本海側に大雪を降らせるのがお約束のはず。

ところがこの時期に停滞前線ができるなんて50年近い私の人生では初めてのことです。豪雨や強烈な台風がくると「こんな経験はなかった」と街頭インタビューがありますが,こういうことのインタビューはしない(放送しない)ですね。すみません,ちょっと脱線しました。

この暖冬・雪不足に対して,私が見ている限り,テレビの天気予報では「地球温暖化の影響だから」と一度も言っていません。東京で雪がこのまま降らなければ,気象観測開始以降初めてことだそうです。これが異常気象でないならば,何を異常気象というのでしょうか。異常気象は地球温暖化が引き起こしたのではないのでしょうか? テレビの気象ニュースでは,誰も暖冬の原因を解説しないのは謎です。

都合のいいときだけ「異常気象は地球温暖化が原因」とするのは一種の洗脳ではないでしょうか?

これごっほ ごっほのみみよ これごっほ ごっほのみみよ がかのごっほの(笹井宏之) 

2020年1月20日 (月)

ガス給湯器の取り替え工事をしたけれど メンテナンスの大事さ

最近はお風呂にお湯を貯めようとすると,ガス給湯器からゴーっと大きな音が響き渡るようになっていました。

心配になって正月早々,日本ガスに電話をして調べてもらったのですが,それが災いしたらしく,この日の夜からは燃焼サインがついたり消えたりして冷たい水がでるようになりました。これはかなわんと思い,翌日ハウスメーカーに電話をしてガス給湯器メーカーの人に来てもらいました。

調査の結果,危険なエラー表示が出ていて「もう交換する時期かも」とのこと。そもそもこの給湯器の標準耐久年数が10年。この給湯器を使って10年になりますのでもう交換の時期です。

見積書をとったところ,同機能の給湯器だと15万円ぐらい。エコ型だと22万円ぐらいでした。エコ型は燃費が15%抑制されるとか。年間のガス代が10万円ぐらいなので1年で1万5千円の節約になります。5年もすれば十分もとが取れるので,エコ型をお願いしました。

家を建てて10年。家の中もあちこち傷んできます。先日は天窓を交換しました。こちらも耐用年数が10年。「今交換するとあと10年保証が効きます」ということだったので,こちらも迷わず交換しました。

このほか,我が家はあちこちメンテナンスにお金をかけています。3年に1回は床にワックスを塗ります。外壁にも同じように3年に1回はペンキを塗ります。

「7つの習慣」(スティーブン・R・コヴィー)では,自分の役割を自覚し,その役割を果たす上で重要なことを優先して行うべきだと訴えると同時に,「刃を研(と)ぐ」ことの大切さも述べています。「刃を研ぐ」とは簡単に言えば自己研鑽(じこけんさん)。自分の能力を磨き上げることです。

この大切さを「エンジンオイルの交換」の例をあげて分かりやすく説いています。車を走り続けるだけでエンジンオイルを交換しなければ,やがてエンジンが傷み,車は走れなくなります。エンジンオイルを適切に交換し,メンテナンスをしっかりすれば車は長持ちします。エンジンオイルを交換するには時間とお金がかかりますが,長い目で見れば十分ペイできます。

私の家も同じです。これらのメンテナンスをしつづけた結果,ハウスメーカーの10年目点検では我が家の家の消耗度はずいぶん押さえられていることがわかりました。メンテナンスの地道な努力は一見わかりませんが,長い年月を経てこそ真価を発揮します。

私は革製のカバンや革靴も長く使い続けています。最も長持ちした革靴は15年履き続けました。手入れをすればするほど味がでて気持ちよく利用することができます。

修理するよりも買った方が安い,スマホを使えば何でも簡単に検索できる,そういう手間いらずの世の中。こういう時代ではメンテナンスはおろそかになりがちです。でも,私はそういうことこそ大事にしたい。こうして大事にするからこそ,愛着がわき,唯一無二の物がつくられていくと思います。

ブライダル・ベールという名の植物を窓辺につるす我が青春忌(俵万智)

2020年1月19日 (日)

「不便益という価値」を読む

「不便益という価値」(川上浩司)を読みました。

不便益とは,不便ならではの効用を意味します。この著者は不便益を持つ事例をコレクションしながら,それらを分析して「不便」と「益」の関係を明らかにしようとしています。興味をもって読み進めました。

著者は様々な事例をコレクションした結果,表面的には「劣化させよ,大型化せよ,操作数を多くせよ,アナログにせよ,危険にせよ(失敗の可能性を与えよ),限定せよ」などの不便にデザインする方策と,「発見できる,(能動的に)工夫できる,上達できる,対象系を理解できる,能力低下を防ぐ,主体性が持てる,安心・信頼できる,俺だけ感がある」という不便から得られる利益が得られたとしています。

インダストリアルデザイナの全国組織「JIDA」の関西ブロックが主催する学生コンペのテーマとして,この「不便益」が採用されたそうです。しかも2017年から3年連続で。デザインのプロ達がこれからのデザイン界を背負う学生達に,「不便益」をテーマにしたコンペを開催したところが非常に興味深い。

このコンペの優秀作品のひとつに「ReminDoor」という玄関ドアの鍵があります。審査員達に「もうひとひねりで最優秀だったけど」と言わせた作品です。コンペの後,もうひとひねりした結果,次のような鍵が誕生しました。

まず,ドアには鍵穴が二つあり,そのうちの一つはダミー。そしてダミーか本物かはランダムに入れ替わります。ユーザーにはどちらが本物か分かりません。鍵をかけようとして運悪くダミーの鍵穴に差し込んでしまうと,鍵をひねってもスカッと力が抜けてしまう。仕方なしに他方の鍵穴にさし直すという手間をかけなければならなくなります。一方,運のいい日は,最初に差した鍵穴が本物だとちょっと嬉しくなります。この,ちょっと嬉しかったり逆にちょっと手間取ったりすることが,鍵をかけたことを記憶に残す(Remindする)というアイデアです。

言われてみると,玄関に鍵をかけて外出したとき,「あれっ鍵をかけたっけ」と自分の記憶に自信がなくなり,玄関に引き返して鍵がかかっていることを確認したりします。それを防ぐことができるようになるわけです。

便利になればなるほど使わない機能は低下していきます。例えば電話番号。今ではスマホなどに登録して電話番号を諳(そら)んじて言えるなんてことはありませんよね。でも,その結果,スマホが使えないとなると電話番号を思い出せず万事休すとなります。

たまたま,私の娘がスマホや家の鍵など一式をなくしたことがありました。そのとき娘は私や妻の電話番号を知らなかったため,家に入ることができないことがありました。

そのとき,娘は唯一覚えていた妻の両親(娘からすればおじいちゃん,おばあちゃん)の自宅に電話をかけることができました。なぜそこだけの電話番号を覚えていたのか? 

私が妻の両親宅に電話をかけるときは,その電話番号を語呂合わせにして口に出しながらかけていました。娘も知らず知らずのうちに私の語呂合わせを覚えていたのです。私は日頃使う電話番号のほとんどを語呂合わせにして覚えているか常時携帯する手帳に書き留めているのです。

なんでも便利さを追求する昨今(さっこん),アナログを大事にしている私は,なんでもないことでも便利さに身を置いている人たちから馬鹿にされます。でも,無駄と思えることでも役に立つことはあるのです。この小論を読んで,自分の考え方に応援してくれる人がこの日本のどこかにも存在することがわかり,なんだか嬉しくなりました。

はなび花火そこに光を見る人と闇を見る人いて並びおり(俵万智)

2020年1月18日 (土)

ナマイキVOICEを見たら「やっぱり,お寿司が食べたい」

今日の夕方6時30分から放送されたKTSの「ナマイキVOICE」。特集はお寿司でした。

私は焼肉や高級料理よりもお寿司が大好き。年に数回は家族でお寿司を食べます。娘もお寿司が大好き(わさび抜きというところがまだ子どもですが)。

最近は「寿司まどか」か「だるま寿司」のどちらか。手軽に食べたいときは「寿司まどか」,出前をとったり親戚が集まったりするときは「だるま寿司」,と使い分けています。

私はオーソドックスな寿司が好き。最近のにぎり寿司はネタが大きいのが一般的になりましたが,私はあまり好きではありません。昔,喜入町にあった「錦海寿司」はネタが極端に大きいので有名でしたが私は一度も行かず,回転寿司でもネタが大きいと遠慮します。

今日放送の「ナマイキVOICE」では,一度は行ってみたい高級寿司店も出てました。こちらは「おまかせメニュー」が「8000円~」と目玉が飛び出る金額。やはり高いところは高いですよね。

社会人になって1,2年目の頃,友人にお寿司をおごるといって天文館の寿司屋の暖簾をくぐったことがありました。にぎりの他に日本酒(冷酒)一合と焼き魚(きんき)を注文。とても美味しくいただきました。最後にお勘定を聞いたときにびっくり。請求額は1万7千円。私の財布には1万円しかなく,7千円は誘った友人に出してもらいました。トホホ,これではおごったとは言えないですね。

やはりまだ独身だった頃,東京に出張したときにひとりで銀座の寿司屋に入ったことがありました。にぎりを注文しようとしたらメニューには「上」と「特上」しかありません。「げげっ,『並』がねえのかよ」と後悔してももう遅い。一番安い(値段は忘れました)「上」のにぎりを注文しました。動揺が激しくて味は覚えていません。

やはりまだ独身だった頃,福岡に出張したときに当時大学生だった弟に寿司をおごったことがありました。このときは兄貴らしく見栄(みえ)を張って「特上」を注文。このときのにぎりのひとつに赤身に白いサシがはいったネタがありました。「牛肉の刺身かな?」と思って食べたらとろりとした味わいで口の中で溶けちゃいそう。トロでした。このとき初めて私はトロを食べました。というかこのときだけかも,トロ(というか「特上」)を食べたのは。値段は覚えていませんが弟に金をださせなかったので,ちゃんと財布にお金をいれておいたのは確かです。

それらに比べると回転寿司は安い。でも,安かろう悪かろうだと思っています。一度「スシロー」に行ったことがありますが,メニューに「担々麺」があってびっくり。しかも娘はそれを注文して美味しいと食べてました。肝心の寿司はシャリもどきのごはんブロックに刺身がのっていると表現した方がふさわしいほどのおもちゃのようなお寿司。カルチャーショックを受けました。これは寿司屋じゃねえよと思い,二度と敷居を跨(また)いでいません。

いろいろと思い出がありますが,食事の思い出となると寿司屋の思い出が一番多いようです。やっぱり値段が高い分,印象に残るんでしょうね。

寿司屋にてひらめくものを持たぬゆえためらいて後いつも「あまえび」(俵万智)

2020年1月17日 (金)

半年後のオリンピック・パラリンピックのニュースはやめてくれ! 

毎日東京オリンピック2020のニュースが続きます。NHKの朝のニュースでは毎日,民放の報道番組でも毎週特集,あるいは特設コーナーを設けています。すごいですね。まだ半年も先の話なのに。

昨年の今頃,どうだったでしょうか。ラグビーワールドカップが開催された2019年。ラグビーの話題が連日のように登場したのは開幕の1ヶ月前でした。主立った国々のチームが日本にキャンプインしたぐらいから。それまで音なしもいいとこ。

それが開幕すると会場の多くが大観衆を集めました。釜石や福岡などでは動員と思(おぼ)しき幼稚園児のグループが陣取ったりしていましたが,それを差し引いても相当チケットは売り上げていたのは間違いありません。

ところが東京オリンピック2020は違う。1年前のチケット販売からニュースになっています。オリンピックだけでなく,パラリンピックの選手もじゃんじゃん取り上げています。聖火リレーも一役買っています。この差は何なんでしょうか?

私はラグビーワールドカップは興味をもって事前に情報を収集し,テレビ放送されたすべての試合を観戦し,放送されなかった試合はすべてダゾーンのハイライトで見ました。それだけ興奮するゲームやプレーが多かった。

それに比べてオリンピックは何がいいのか分からない。少なくとも私は興味がないので,東京オリンピック・パラリンピック関係のニュースになるとテレビから目をそらすかテレビのスイッチを切ります。

オリンピックのファンっているんでしょうか? 私にとってはすごい謎です。ラグビーなり,サッカーなりのファンならまだわかります。競技全般にわたって日本を応援するってことも分かります。でも,オリンピック・パラリンピックの選手を「今」取り上げることに意味があるの? まだ海外の選手と戦っていない選手の報道がどうして日本の応援になるの?

ラグビーのトップリーグの試合をダゾーンで毎晩1試合ずつ見ています。テレビで報道されないし,観客の入りの悪い試合もありますが,試合は面白い! 外国人選手の破壊力あふれる突進。緩急の変化に富んだバックスの展開。思わず正座して見てしまいます。

昨夜はNTTドコモ対三菱重工の試合を見ました。後半出場したNTTドコモのスクラムハーフ秦(はた)のプレーに驚きました。彼の身長は153センチ。体重も53キロ。大柄な選手の中でも一際小さい。それでも果敢にタックルし,スクラムやラックに絡んでいきます。

彼のプレーがマスコミに取り上げられないって本当に残念です。マスコミは視聴率や売り上げにつながらなければ無視します。そんなマスコミは信じずに,自分の目を,自分の興味を信じることです。

東京オリンピックの事前特集なんてつまらない! 黙っている人が多いので,あえて書きました。

憎というほどの濃度を持たぬままとろりと胸に何かたまれる(俵万智)

2020年1月16日 (木)

第1位は「歯の定期検診を受ければよかった」 失ってわかること

仕事で取り扱った健康問題の資料におもしろい記事を見つけました。「第1位 歯の定期検診を受ければよかった,第2位 スポーツなどで体を鍛えればよかった,第3位 日頃からよく歩けばよかった」

何のランキングかというと,高齢者に聞いた,健康の後悔していることランキングです。

最近の多くのテレビ番組では健康問題をテーマにしています。効果的な食品,治療法,運動法など,なかでも「意外性」や「誰でもできる」といった視聴率を稼げるテーマが多い。

しかし,後悔ランキングをみる限り,誰でもできることだけど多くの人は面倒でやらないことが上位を占めていました。もちろんテレビの健康テーマ番組はとりあげませんね。当たり前すぎるから。

第1位の歯科検診については,「痛い」思い出があります。10年ほど昔,種子島に3年住んでいたときには歯医者に一度も行きませんでした。その後,鹿児島市に引っ越したときに歯医者に行くと「虫歯が11本あります」と診断されて,3ヶ月の間,毎週治療。毎回麻酔を打たれてドリルで歯を削られました。

この歯医者は歯科衛生士を怒鳴り散らかしたり(今でいうパワハラですね),歯を抜こうとするので二度と通いたくないと思い,それからは自宅近くの私はいきつけの歯科医院で年に1回定期検診を受けています。そこで検査をした上で歯石や着色をとったり手入れをします。

その歯科医院から次回の定期検診の案内が届きました。とうとう半年に1回のペースになったようです。おいしいものをおいしく食べるには歯が大事。そしてよく食べることが健康につながる訳ですね。

私の父も80歳に近くなりましたが,歯は1本しか残っていません。「歯医者がどんどん歯を削るからこうなったんだ」と恨み言をいっていますが,私は父が歯磨きをしている光景を見たことがありません。他人のせいにしてはダメですよ。やっぱり自分の健康は自分次第です。

通販の人気商品等身大枕を抱いて眠る東京(俵万智)

2020年1月15日 (水)

開墾作業は重労働 意味はなくても土いじりは私に必要

祖母の家はシロアリが梁を食い散らかしているため,屋根が波打っています。住むことができなくなった母屋はぼろぼろに傷(いた)み,物置も雨漏りというより屋根が抜けています。当然ながら庭も見知らぬ木が大きく伸びて日当たりが悪くなっています。

正月に帰省したときに,両親から庭とひと続きになっている畑を借りる約束をしました。早速,その次の週末に畑に出かけました。

夏には腰の辺りまで草が伸びるような荒れ地。季節は冬で草の背丈は低いとは言え,根を張っているのは間違いない。20年以上も放置されているのですから。

畑に行く前に開墾道具を買いそろえることにしました。ひとつは唐鍬(とうが)。刃が厚くて狭い打ち鍬です。開墾や根切りに使う道具です。そしてもうひとつが三叉。3本の鉤で掘り起こした草の根などをひっかきます。コメリで買い求めたところ2つで1万円余り。そして重いのなんの。力仕事なんて無縁の私には担(かつ)ぐだけでも重労働。

いざ,開墾作業に取りかかりました。唐鍬を振り下ろすと,その重みと刃先の鋭さでぐさりと土に食い込みます。そこまではいいのですが,引き込むのに力が必要。草の根が深く広くて簡単にはいきません。それでも少しずつ掘り起こす範囲を広げていきます。数メートル土を起こしたら三叉で掘り起こした草を引き出します。

作業をしていると隣に住んでいる甥っ子がやってきました。「おじちゃん,今日は何してるの? すごい格好だね」 確かにこの日の私は白い作業服の上下に幅広の麦わら帽子,ゴム長靴を履いています。いかにも土木作業をやってますって感じ。

30分ほどこの作業を続けたのですが,その間,思い出したように話しかけたり,掘り起こした土の中にいる大きなミミズをつまみ上げたり。いつもはニンテンドーDSで遊んでいるのに,こんなに土と親しむなんてちょっとした驚きでした。

握力がなくなってきたので作業終了。全部で1時間も続きませんでした。掘り起こした面積は2m×4mで8平方メートルぐらいかしら。1日でこれだけしかできないとなると,毎週1回通ったにしても,全部を掘り起こすのに3ヶ月ぐらいはかかりそう。

実家に戻って甥っ子がやってきたことを話すと,私の母が「あの子はすぐに癇癪(かんしゃく)を起こすでしょ。だからイライラしたときには『土を掘ってくる』と言って外で穴掘りをするの。心がおちつくのよ」

私の妻は開墾に大反対。無駄なことはやめろといわんばかり。でも「無駄な時間を使った分だけ,その対象が自分にとってとても重要になるんだ」(サン=テグジュペリ)。愛着とはこうして時間をかけて育(はぐく)むものです。甥っ子もそうしてこの土地に愛着を持ってくれることを期待しています。もちろん私も,妻の声を聞き流しながら,時間をかけて少しずつ畑を耕していくつもりです。それが私にとって必要なことだと思います。

故郷とは生地にあらず「家族」という花ことば持つ花咲くところ(俵万智)