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2020年1月24日 (金)

おにぎりってどうして思い出深いんでしょう 思わず涙が・・・

映画「かもめ食堂」を見たことがあります。主人公の女性(小林聡美)がフィンランドのヘルシンキで日本食の食堂を開設。異境の地の日本食はなじみがないため,お客さんが一人も来ない日々が続きます。それでも毎日真摯に仕事に向き合い,営業を続けた結果,ぽつぽつお客が集まり始めます。やがて日本人の変人達(片桐はいり,もたいまさこ)が助っ人で登場したりして,最後は食堂が満員になるシーンで映画は終わります。

この映画の中で,従業員の片桐はいりが「どうして食堂のメニューにおにぎりがあるのか?」と小林聡美にたずねるシーンがあります。小林は「私には母親がいなかった。運動会の日,父が私のためにおにぎりを握ってくれた。普段料理なんてまったくしないのに。おにぎりは不格好だったけど,とても美味しかった」と静かに思い出を語り,それを聞いていた片桐はいりは涙を流します。(だぶん,そういうストーリーだったと思いますが,映画を見たのはもう10年ぐらい昔のことなので記憶が変容しているかもしれません)

NHKの人気番組「プロジェクトX」でもおにぎりのエピソードが盛り込まれていました。連合赤軍のメンバーが厳冬期の「あさま山荘」に立て籠もり,警察隊と銃撃戦を繰り広げたとき,地元の女性達が警察隊のために熱いご飯をにぎっておにぎを提供したことです。田口トモロヲのナレーションが耳に残りました。

おにぎりって日本人の生活の中で重要な「メニュー」として存在しているんですね。おにぎりをにぎるという行為に愛情があふれているとも言えます。

先週,たまたま,ハンセン病の元患者の講演記録を読みました。鹿児島県鹿屋市のハンセン病療養所,星塚敬愛園に入所されている元患者の講演です。この講演を聴いた小学生の感想文をたまたま目にすることがありました。

「講師は子どもの頃,ハンセン病に感染しているとして施設(ハンセン病の療養所)に入所させられました。しかし,事前に施設に行くという話はなく,両親からは遊びに行くと言われていました。入所する日の朝,母親が涙を流しながらおにぎりをにぎっていたそうです。施設に入所してからは自分の家に戻ることはできず,両親と一緒に暮らすことはできなくなりました。もし,私が同じ境遇に置かれたら,私は泣きじゃくるしかできないでしょう」

私はこの感想文を読みながら,息子のために最後のおにぎりを握る母親の気持ちを思い,思わず目頭が熱くなりました。もし,この文章を読んだのが職場でなかったら,私はボロボロと泣いていたでしょう。

注)ハンセン病は極めて感染力の弱い病気です。しかし,皮膚が崩れるようになることから懶病(らいびょう)として古来恐れられてきました。かつてはハンセン病に感染すると,患者は療養所に強制的に入れられ,その患者の家は真っ白になるまで消毒されました。周囲の偏見や差別意識もずっと残っていました。今では国が政策の誤りを認め,差別を受けた患者やその家族に謝罪・補償しています。

物言わぬ民の無数の死の上に解放戦の一つ今やむ(近藤芳美)

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