2019年11月 3日 (日)

ユナイテッドはファジアーノ岡山と静かにドロー まずは体調回復を

昨日の午後は,鹿児島ユナイテッド対ファジアーノ岡山の試合を白波スタジアムで観戦しました。島美人の勝利の女神にも出会いました。私の顔を見るなり「黒」をカップに注いでくれました。最近はアウェイ側のコーナーにいたので会えなかったとのこと。今シーズンのホームゲームは今日と2週間後の2回だけになりましたが,次も彼女がここにいてほしい。

さて,ユナイテッドは先週の日曜日から中2日で3試合目。負けられない試合が続いているので,選手達も疲労もたまっていることが予想されます。今日のスターティングラインアップに注目しました。が,驚いたことに3日前のFC岐阜戦と同じメンバー。調子のいい選手をその都度起用していた金監督ですが,この3試合は完全に固定しているようです。疲労度も問題ないってこと?

結果から言うと,今日の試合は凡戦でした。ユナイテッドの特徴である両サイドバックの上がりが少なく,明らかに守備重視。岡山もがっちりとラインを敷いていましたので中盤はユナイテッドがボールを保持できるのですが,サイドの崩しが前節から激減。攻撃の幅が非常に狭かった。シュートシーンもありましたが,得点できる雰囲気は一度も感じないまま。やっぱり選手は疲れているんじゃないかな?

ディフェンスではゴールキーパーのアンジュンスと岡山の選手が一対一になる場面がありましたが,アンジュンスが飛び出して好セーブ。見せ場らしい見せ場はここぐらい。

後半は中盤でのボール回しに時間をかけるばかり。岐阜戦のように攻守がめまぐるしく入れ替わるような展開にならず,静かなままでタイムアップ。0-0のドローでした。ユナイテッドにしては非常にめずらしい。こんなにがっちりと守り切るなんて。

この結果,最近5試合は1勝4引分で勝ち点7をゲット。特にこの1週間の過密日程を無敗で乗り切ったことは大きな成果。

同じく残留争いをしているFC岐阜は昨日は0-7の大敗。前節の鹿児島に負けたショックを引きずっているのか,心が折れてしまったのか,残留争いからの脱落を印象づけました。もうひとつの栃木SCは今日が試合。やっぱり気になります。

鹿児島ユナイテッドは来週はアウェイで柏レイソル,その次はホームで水戸ホーリック,そして最終戦はアウェイで福岡アビスパ。厳しい戦いが続きますが,残留決定にはあと1勝が必要。がんばれユナイテッド。

ところで,前節の応援でハリセンを力一杯叩き続けた影響か,私の右腕は力が入らず,試合の翌日から腕が肩より上にあがりません。情けない。また,昨日の試合では島美人の振る舞い酒を2杯飲みましたが,自宅に戻る頃には気分が悪くなり,夜はそのまま寝てしまいました。私も疲れているのかな。情けない。やっぱり体調を整えることが一番大切ですね。そうじゃないと楽しめない。

一つ一つ花梨(かりん)は癒(い)やすもののかたち(川崎展宏)

2019年11月 1日 (金)

「地元チームがある幸福 スポーツと地方分権」を読む

「地元チームがある幸福 スポーツと地方分権」(橘木俊詔)を読みました。

私はサッカーJ2の鹿児島ユナイテッドFCとバスケットボールB3の鹿児島レブナイズの試合を欠かさず見に行っています。もともとのきっかけは会社で「試合を見に行こう,応援しよう」とのお知らせがあったから。

サッカーもバスケットボールも観戦するようになったのは2年前。どちらもファンクラブに加入しました。J3時代のユナイテッドは強かった。雨の日は観戦を見送ることはありましたが,基本的にはいつもバックスタンドで声を張り上げていました。鹿児島レブナイズは土日に連戦なので,どちらか1日には必ず鹿児島アリーナで応援しています。

そんな私は,思わずこの本を手に取りました。ファンの幸福感をどのように分析しているか興味を惹かれたから。

しかし,内容はプロスポーツが地方に展開していく事実の指摘と発展のための提言ばかり。他には経済学的な観点で,ホームスタジアムの建設費,スポーツグッズの販売などの影響が取り上げてある程度。完全にプロスポーツ会社からの視点で書かれていて,そこには地元ファンの「幸福」なんて切り口はありません。

「地方分権」もオリンピックが東京開催であることに異議を申し立て,競技会場を日本全体で分散しようと主張している程度。これは図らずもマラソンと競歩で実現しましたが,地方分権とは無関係だと断言できます。

プロ野球が地方に移転したことを著者は評価していますが,これは観客動員が増えたという事実を指摘しているだけであり,ファン目線の分析はありません。

羊頭狗肉(ようとうくにく)と言いたいぐらいの看板倒れ。そもそも「幸福」を感じているはずの観客に対するアンケート調査がこの本にはまったくなく,引用されるデータもあちこちのホームページが出典というお手軽さ。調査が浅いから内容も浅い。

本の帯に「遠くのオリンピックより近くのチームのほうが大切だ!」と大きく表示されていますが,その理由は本書を読んでもわかりません。これはひどい。

J2で苦戦している鹿児島ユナイテッド。10月30日のホームゲームではFC岐阜を相手に試合終了直前のルカオのゴールで1-0と劇的勝利。5千人の観衆が総立ちで歓声を上げました。あの震えるような感動を味わうことができるのは地元ならでは。テレビで一人で見ているのと,生であの場所で選手達と一緒にいるのとでは,感動の度合いがまったく違います。

B3で負け続ける鹿児島レブナイズもそうです。負け試合であっても,ダンクシュートを決める,スリーポイントを決める,ドリブルで切り込む。そんな迫力あるプレーを間近で見ることができるなんて,本当に幸せです。でも,そんな記述はまったく見当たりません。

思うにこの著者(橘木俊詔)は,生で地元チームの試合を観戦したことがないのでしょう。タイトルはファン目線なのに内容はプロスポーツ経営者目線。もしこの著者が観戦経験が豊富だとしたら,彼の精神構造がひねくれているとしか思えない。

この本の内容なら「地方で生き残るプロスポーツの条件 地元チームの経営戦略」というタイトルがぴったり。売れないと思いますけど。

花嫁の生花のブーケ褒(ほ)めやれば3万5000円也と言う(俵万智)

2019年10月30日 (水)

勝ちにいけーっ ルカオ! ルカオ! ルカオ! やっぱりルカオ!

今夜は鹿児島ユナイテッドFC対FC岐阜の試合があります。私は仕事帰りに白波スタジアムに立ち寄りました。島美人の振る舞い酒のコーナーにはいつもの勝利の女神が待っていました。挨拶をしてミニカップを手にしてメインスタンドへ。ここで同僚の女性を見かけました。が,ここはこれまで。私は今夜は飲み会があるのです。滞在時間は5分。ああ。

鹿児島中央駅近くの飲み屋で1時間ほど過ごして中座したのは午後7時30分を回っていました。店を出るとすぐそこにタクシーがスタンバイ。白波スタジアムへGO!

スタジアム前でタクシーを降り,スタジアムにむかうともう1人の島美人のお姉さんが友達と歩いているのを見かけました。服装から見てプライベート。会えただけでもラッキー。今日は勝利の女神の3人とも会えたのだから勝利への期待が高まります。

メインスタジアムはちょうどハーフタイム。チアリーダーのダンスタイム。メインスタンドはあちこちに空席があり,席には困りません。着席は後回しにして同僚の女性のところに言って声をかけました。

「前半はどんな感じ?」「ええっと,どうだろう。ちょっとした隙に点を取られるかも。前半終了間際は押してたんですけどね」「じゃあ,まだ0-0なんだね。私は飲み会に行ってて今駆けつけたところなんだ。じゃあね」突然話しかけてきたので彼女は驚いた顔をしていましたが,そんなことは気にしないのが私です。

彼女とは別のブロックの空席が目立つところに席をとり,ハリセンを手に取りました。このハリセンは縁起がいいんです。柏レイソルに勝利したときもハリセンがありました。今日はついてる!

後半が始まりました。岐阜は圧倒的に引いています。4-4-2のフォーメーションで4-4がほぼ自陣ゴール前に密集しています。ユナイテッドは左サイドを切り崩しては何本もセンタリングを上げるのですがシュートに至りません。後半30分を過ぎたとき,センタリングにニウドがドンピシャのヘディングシュートを放ちますがポストの横。観客席は沸きましたがノーゴール。

後半のアディショナルタイム。残りは3分。こうなってから,ユナイテッドはゴールキーパーとDFがショートパスを回し始めます。何やってんだよ。私は「勝ちにいけー,勝ちにいけー」と大声で怒鳴りつけました。

相手ボールに対して積極的にボールを奪いにいき,右サイドで五領がスライディング,途中出場のFWルカオがこぼれたボールをキープ。岐阜のDFが詰めてきますがひるまずドリブルで前進。私は「うてーっ,うてーっ」と大声を上げました。するとルカオが角度のないところから強引にシュート。ボールがファーサイドのゴールネットを揺らしているのがはっきりと見えました。

「うぉーっっっ」スタジアム全体が沸き立ちました。総立ちでハリセンをたたいて喜びます。ピッチでは岐阜の選手全員が座り込みました。どうやら先制ゴールと同時に試合終了。歓声で主審のホイッスルの音がかき消されていたんですね。劇的な勝利でした。

私の周囲にいた観客達は「ラグビーの試合より感動した」「今日は試合を見に来てよかった」と喜びを口にしていました。私はこの感動を伝える人が周りにいなかったので,グランドに向かって「ルカオ! ルカオ! ルカオ!」と叫び続けました。最高の夜です。

飲み会を抜け出してよかった。ルカオのシュートを生で見ることができてよかった。勝利の女神達に会えてよかった。次の試合は3日後の11月2日。次も勝て! ユナイテッド!

審笛(ふえ)なりて手をとりあえりぬれし手を(横山白虹)

2019年10月29日 (火)

アダムズファーミリーを見る コメディ映画はやっぱりアメリカ?

NHK-BSでアダムズファミリーの1作目,2作目が立て続けに放送されました。まだ見たことがなかったので録画して今夜は鑑賞しました。

アダムズファミリーといえば,テーマ曲とあの家族のキャラクターがそのまま登場するホンダオデッセイのコマーシャルが有名でした(20年ぐらい前のことですが)。♪ ジャラララ,ジャ,ジャ,ジャラララ,ジャ,ジャ・・・ と少女ウエンズデーの不気味な無表情が印象的。

娘が途中で見に来たのですが,いろいろ尋ねられて困りました。一番困った質問が「この人たちは人間なの?」確かに人間離れした能力を持っているのに,相続と所有とかの話が出てくる以上,人間として権利が保障されているみたい。でも「人間」と答えるにはためらいがありますよね。

特に2作目は面白かった。父親譲りの口ひげがついた赤ちゃんが誕生。赤ちゃんを殺そうとする子ども達をアメリカのサマーキャンプに預けたときのハプニングが最高。キャンプで友達を作ろうとしないウェンズデーらの心を入れ替えようと,小さな小屋に閉じ込めてディズニー映画を見せ続けて洗脳しようとするシーンには笑えました。小屋から出たときのひきつったようなウェンズデーの冷たい笑顔。周りがドン引きする様が見事に決まっていました。

アメリカの映画は,こういうエスプリやジョークが満載で,コメディ映画ではなくても思わず吹き出すような会話がでてきます。アダムズファミリーは徹底的にブラックジョークで攻めています。それに引き換え,日本の映画はあまり笑うシーンがありません。あえて言えば寅さんシリーズぐらいか? 日本の映画は国民性がよく出ていてシリアス,ホラー系統が得意ですよね。しかしコメディとなると頭をひねっても思い浮かびません。

アメリカ映画だと「ミセス・ダウト」,「ビバリーヒルズ・コップ」などのエディーマーフィーの出演映画,「メジャーリーグ」シリーズなどなど,どんどん笑える映画が思い浮かぶのに。

コメディで忘れてならないのがフランス映画。子どもの頃見た「ピンクパンサー」は面白かったな。一度小学校でクラスの数人と見たことがありました。おそらくこの日は休日だったと思うのですが,みんながテレビでピンクパンサーを見て大笑いしたことが記憶に残っています。

そして「ニコラ」。BS放送を録画しておいたのを私と娘の二人で見たのですが,二人とも腹を抱えて大笑い。この映画の内容は全然知らずに録画していたのですが,思わぬ掘り出し物でした。

それにしてもコメディは観客が多ければ多いほど,笑いの輪が広がって,ますます楽しめるみたいです。高校のとき映画の授業で見た「サウンド・オブ・ミュージック」ですらクラスのみんなで笑ったぐらいだから。しかし,今夜は残念ながら見ているのは私1人。妻と娘はちらっと一瞥(いちべつ)する程度。まあ,しょうがないですね。あのキャラクター達の不気味さでは。

脚光を浴びるこの世のなりゆきのチャーリー浜もさびしからずや(藤原龍一郎)

2019年10月28日 (月)

鳥インフルエンザと豚コレラ この対応の違いはどこからくるのか?

出水平野に今年もナベヅルが飛来しました。最近は1万を超える羽数。現地に行くとギャーギャーとツルが騒いでいて,観光客とあわせて大変な賑わいになります。

この季節,戦々恐々なのが周辺の養鶏農家。出水市にはマルイ養鶏という鹿児島でも大手の養鶏組合があります。出水市では鳥インフルエンザが過去に発生したことがあり,そのときは鶏舎まるごと殺処分。渡り鳥が多数飛来する出水市はそれだけ鳥インフルエンザにかかるリスクも高いのです。

そしてツルが1万羽を越えるようになってからよく言われるのが,感染症によるツル絶滅説。ツルがこれだけ集団で越冬する場所は世界でここしかなく,感染力の強いインフルエンザが発生すると希少なツルが死滅しかねない。だから越冬地を分散させようと努力している人々もいるぐらい。

ところが,これらの善意の人々の多大な努力むなしく,ツルはあいかわらず出水平野で冬を越します。過去に高病原性鳥インフルエンザで死んだツルがみつかったこともありましたが,それでもせいぜい数十羽。百を超えたことはありません。野生はそれだけ病気に強いといえるかもしれませんが,今でも絶滅説を唱えて無駄金を使うひとがいるのはなんだか滑稽です。

話は変わって,豚コレラ。岐阜県から西へ東へ広がっています。野生のイノシシが感染を広げていき,豚舎で豚コレラが発生したら殺処分。こちらも相当大変です。

豚コレラに感染すると子豚の致死率は100%に近いとして,相当恐れられています。イノシシが豚舎に近づかないように物理的に柵を設けたり,豚に予防接種を打ったり,ワクチン入りのエサをまいたりと様々な対策をとっているようです。

でもこの報道で不思議なことがあります。野生イノシシに感染が広がっているということは,イノシシが絶滅する危険性も高いのですが,そういった指摘がありません。まあ,絶滅危惧種のツルと全国あちこちにいるイノシシと一緒にするなってことでしょうけど。

日本全国で過疎化が進展し,野生のイノシシやシカが人家に来るようになり,農業被害が甚大だという報道がこれまでありました。だから駆除した獣畜のジビエ料理も盛んに取り上げられています。こちらへの豚コレラの影響はどうでもいんでしょうか? これまで獣害を受けていた農家にとっては喜ばしいとか,ジビエ料理関係者にとっては大打撃とか。

表があれば裏があるように,物事は一面だけでは把握することはできません。被害者を取り上げることが視聴率を上げる,販売部数を増やすコツだから,どれもこれも被害者が養豚業者になるんでしょうか。ひねくれている私は,こういう金太郎飴型の分析がとても不快です。

もし豚をかくのごとくに詰め込みて電車走らば非難起こるべし(奥村晃作)

2019年10月27日 (日)

ゴール前に3人張り付いていながら,シュートを人任せにするなんて

鹿児島ユナイテッド対ヴァンフォーレ甲府の試合をダゾーンで観戦しました。

前半3分に甲府のMFがゴール正面からミドルシュートを決めて先制。その後も高い位置からプレスをかけてユナイテッドはまったくいいところがありません。

ところが前半20分。甲府のセンターバックにレッドカード。これで流れが変わり,ユナイテッドの攻撃が続きます。左サイドからショートパスが続きFW韓がゴール正面でボールを押し込んで同点。その後も押せ押せで攻め立てますがシュートが正確性を欠いてノーゴール。

後半になると甲府は自陣ゴールを4-3のフォーメーションで固めます。トップに2人が残ってカウンターねらいという戦術を選択。そうなると中盤が大きく空くために,ユナイテッドのボランチの八反田とニウドがフリーでボールを扱えます。

ところが,そこから右サイドにボールを送るもクロスを上げないでまたボランチにボールを返す。ゴール正面に3人張り付いているのでそこに縦パスを前に出すも,パスを受けた選手がそのまま縦にパスを後ろに返すのでまったくこちらも状況は変わらない。おいおい,人数が優位なのになんで時間稼ぎなんかするんだよ!

ニウドがミドルシュートを放つシーンや韓や八反田が走り込むシーンもありましたがほんの数回だけ。ボールを持たない選手のほとんどはボールが来るのを待って突っ立ってるだけ。ボールを持っている選手に任せっきりの傍観者ばかり。これじゃあゴールなんて奪えるはずがない。

前でボールをもらえないならポジションを下げる,前線に張り付いた選手同士がクロスして敵ディフェンスを混乱させてスペースをつくる,ワンツーができないならポストプレーでボールを横に流す。そういったプレーを見せないのは練習したことがないからか?

試合終了間際,あわや甲府のMFのミドルシュートが決まるかと思われるシーンがありましたが,前に出ていたゴールキーパーアンジュンスのハンドまがいの好ディフェンスで失点を防ぐことができました。「ラッキー」以外の言葉が見つかりません。結局1-1の引き分け。ユナイテッドが勝てなかった原因は明らか。「俺がシュートを決めてやる」という意識の欠如です。残りは5試合しかないのはわかっているはずなのに。その運命を決めるのはお前達しかいないだろう!!!!

30日(水)は現在最下位のFC岐阜との対戦があります。勝ち点の差は3しかありません。もしこの試合に負けたら勝ち点で並ぶことになります。今のユナイテッドの戦い方では岐阜に負ける可能性が非常に高い。私が白波スタジアムに駆けつけるのは後半のキックオフぐらいだと思いますが,そのときにはすでにゲームが壊れていたら承知しないぞ。

その後の運命いかに 結ばれて「凶」の文字(もんじ)をさらすおみくじ(俵万智)

2019年10月26日 (土)

サッカールヴァン杯の大熱戦とイングランドのパーフェクトゲーム

サッカーのルヴァン杯,北海道コンサドーレ札幌対川崎フロンターレの試合をテレビで観戦しました。テレビ解説の清水氏が何度も繰り返しコメントしたとおり,まったく勝敗の行方がわからない手に汗握る大熱戦。

先制したのはコンサドーレ。味方のセンタリングにMF菅大輝が鮮やかなゴール。鹿児島ユナイテッドも見習って欲しいポジショニングです。私が再三再四指摘しているファーサイドのポジション取りをコンサドーレはしっかりとできていました。鹿児島ユナイテッドもこれができていれば降格争いなんかしなくて済むのに。このファーサイドのポジションにアタッカーが一人いればと思うシーンは何度あったことか。

それはともかく,コンサドーレは先制してからは5バックで完全に守りを固め,カウンターに徹します。ところが前半終了間際にフロンターレが同点弾。1-1になったことで後半は両チームが激しく攻め合う展開になりました。

後半先に追加点を入れたのはフロンターレ。試合を優位に進めますが後半ロスタイム。コンサドーレはコーナーキックからのヘディングシュートが鮮やかに決まってまたも同点に。延長戦にうつります。

延長戦で先制したのはコンサドーレ。延長前半すぐに鮮やかなフリーキックが決まります。退場で一人少ないフロンターレも反撃。後半早々にまたもや同点に追いつきます。

最後はPKにもつれ込んで6人目。フロンターレのゴールキーパーがコンサドーレのシュートを防いで初優勝となりました。PKは運の勝負。これで優劣を論じません。お互いが死力を尽くした好ゲームでした。

その1時間後はラグビーワールドカップのイングランド対ニュージーランドをテレビ観戦。こちらはキックオフからイングランドが連続攻撃を見せて1分少々で先制のトライ。王者ニュージーランドの選手達が十分体が動いていないうちに不意を突いた攻撃が見事にきまりました。

さらにイングランドのディフェンスは出足が早い。ニュージーランドがバックスに展開しようとするとイングランドはディフェンス陣が素早く前にでてタックル。ニュージーランドの選手達を前に進ませません。

そうしてニュージーランドが反則を犯すとイングランドはすべてペナルティキックを選択。これを次々と決めて点差を広げていきます。

ニュージーランドはこれまで見せていたようなバックスの素早い展開やオフロードパスが姿を消しました。まるで日本が南アフリカで敗れたシーンを再現しているかのように。

終わってみればニュージーランドの得点は,イングランドのラインアウトのミスをスチールしてそのままトライしたときの7点のみ。19-7と一方的な試合でした。この結果を誰が予想したでしょう。イングランド監督のエディ・ジョーンズは本当に天才的指揮官かもしれません。

ラグビーの頬傷ほてる海見ては(寺山修司)

2019年10月25日 (金)

「ケーキの切れない非行少年たち」と頭にきた私の部下と知恵遅れの同級生

「ケーキの切れない非行少年」(宮口幸治)を読みました。

朝日新聞の広告で,デコレーションケーキを3分割しようとしたときに,どうみても3等分には見えない切り方をした図が掲載されていたのが読もうと思ったきっかけです。

本書の主旨としては,少年院に入ってくる少年達の多くは知的障害を持っている。だから認知能力が低く,小学校低学年のときから学校の授業についていけなくなる。他人が何を言っているのか理解できないからコミュニケーションも苦手,犯罪を犯すと逮捕される(刑務所に入る)という当たり前のことも分かっていないから犯罪を繰り返す,ということです。

少年院でいくら矯正教育をしようとも,そもそも教官の言っていることが理解できていないので「わかりました」と返事をしてもまったくわかっていない。まずは認知のゆがみを正すことから始めないといけないとして,本書の最後の章では認知能力を高める方法(トレーニング)を紹介して結んでいました。

私もしばしば仕事で「どうしてこんなことが分からないんだ」と腹を立てることがあります。そういう人って「自尊感情が低い」「キレやすい」「人のいうことを素直に聞かない」という特徴があります。利害関係がなければそのままスルーできますが,部下にそういう人がいると大変です。

かつて私にそういう部下がいました。日頃,私が仕事を教えようとすると「あー,はいはい」といってそっぽを向いて話を打ち切り,指導しても言うことを聞かない。ある日,出張先でミスをした彼が「どうして他の人には親切に教えるのに俺にはちゃんと教えてくれないんだ」を怒鳴りだしたので,私も堪忍袋の緒が切れて衆人環視の中であることもかまわず罵倒したこともありました。幸いこのとき手を出すことはしませんでしたが,もし,部下が手を出してきたらこれを機会に半殺しにしてやろうかと思うほどこのときの私は怒りに満ちていました。

大人げないといえばそうなんですが,今考えてみるとこの部下も,本書で取り上げている非行少年のように認知能力が低いことを周囲の人たち気付かれず,放置されて育った人だったのかも知れません。可哀想ですね。だからといって今でも許すことはできませんが。

本書でもうひとつ気になったのが,幼女に猥褻行為をする少年のこと。著者は少年院で教官をしているのですが,その経験上,性犯罪者の95%は子どもの時に壮絶ないじめ体験を有しているとのことでした。知的障害をもっているから馬鹿にされていじめられる。そしていじめのはけ口として自分のことを受け入れてくれる(拒絶できない)幼女に対して関心が高まり,性犯罪を犯す傾向にあるとのこと。

でも,知的障害といじめ体験はイコールなのかな? 私の小中学校には「知的障害」という言葉はありませんでしたが,「知恵遅れ」というか頭が足りない同級生は数人いました。その同級生達は誰もいじめの対象にはなりませんでした。もちろん,からかったり騙したりする悪い奴はいましたが,集団でいじめるという場面は記憶になく,大人になった彼らはそれなりに生活をしています。30年以上時代が違うといじめの対象も違うんでしょうかね? あるいは私の記憶が変容しているのか?

こんな人いたっけと思うクラス写真その人にしんと見られつつ閉づ(川野里子)

2019年10月24日 (木)

福岡ソフトバンクホークス10連勝で日本一 哀れなり巨人・中畑

昨夜はホークス対ジャイアンツの試合をテレビで観戦しました。結果はご存じのとおり,4-3で勝利。ジャイアンツに4連勝とまさしく圧倒しました。

私はパリーグの試合しか見ないので,ジャイアンツのゲームを見るのは本当に久しぶりです。解説者は中畑清。なつかしいなあ。80年代のジャイアンツでは非常に人気のある選手でした。「絶好調」が決めセリフ。

現役を引退してからはテレビ中継の解説者として活躍(?)。解説といっても「あいつはここで打ちそうな気がします」「きっとやってくれる」という,ジャイアンツファンのコメントと変わりません。

私が大学生の時,ジャイアンツ戦のテレビ中継で中畑と江川卓が解説をしていたことがありました。ジャイアンツが攻撃でチャンスを迎えたとき,代打が登場したところで中畑は「あいつはここでやってくれそうな気がしますね」とコメントすると,江川がすかさず「この場面でこのバッターだとダブルプレーが怖いですね」。結果は江川の予想どおりダブルプレーでチェンジ。そのままコマーシャルでした。

昨夜の中畑の解説も,ホークスのプレーが失敗する度に「これで流れは変わる」とジャイアンツファンの心情にあわせたような解説(?)を繰り返しました。しかし,流れは変わることなくジャイアンツはホークスに4連敗。まったくいいところがありませんでした。

私が小さいときから大学生(Jリーグが開幕する)まで,テレビのゴールデンタイムには必ずジャイアンツ戦が放送されていました。ところが今や地上波でジャイアンツ戦が放送されることはないんじゃないかな。読売専属のジャイアンツOBはどうやって生計を立てているんだろう,と余計なことを考えてしまいました。

それはともかく,ホークスはクライマックスシリーズの初戦でイーグルスに負けただけでその後は10連勝と圧倒的な強さを発揮しました。特に打線が大爆発。これは本当に驚きました。

シーズン中は柳田など主力が怪我で戦列を離れ打線は振るわず,ピッチャーの頑張りで戦ったのですが,ペナントレースはライオンズの後塵を拝して2位。それがシーズン終盤になって怪我で休んでいた選手達が次々に復帰し,このクライマックスシリーズにおいて打撃陣がピークを迎えたようです。

これでこの20年,日本シリーズはパリーグが14回優勝。ジャイアンツのテレビ中継がなくなったらセリーグは本当に弱くなりましたね。あっ,弱いから中継がないのかな。

球場に作り出される真昼間を近景として我ら華やぐ(俵万智)

2019年10月23日 (水)

パターナリズムとリバタリアニズムの対立 夫婦げんかもたいがいに

数日前の休日。私が本を読んでいると「あんたは自分のことばかり」と妻が怒り出しました。

この日,妻は朝から娘の進学候補の大学の分析をしていました。これはと思う私立の大学案内を取り寄せ,受験日,受験科目,傾斜配点,受験料,入学金と納入日,センター試験の有無などなどの情報を整理しています。その妻の前にいる私はまったく手伝いません。

妻が怒るのももっともなのですが,その言い方にカチンときた私は「勝手なことをやってるのはあんただろ。あんたはこの大学を受験するかどうか娘に聞いたのか。どこを受験するかを決めるのは娘自身だろ。こんなことは娘にさせればいい」と反論。妻は「娘がこんな大変な作業をするくらいなら,英単語のひとつでも覚えた方がまし。娘と話し合うにしても事前に調べておかないと話にならないでしょう」と頑(かたく)なな口調。

これ以上議論してもお互いの感情が高ぶるだけだと思い,私はそれ以上は口を噤(つぐ)み,再び本を読み続けました。その後も妻はぶつくさ私に不満をぶつけてきたので読書をやめ,数時間外出しました。

私の考え方は「自分の人生は自分で決める。自分の決断は自分で責任を取る」につきます。私が高校を受験するときは親が勝手に決めました。私が希望していたのは地元の進学校。しかし両親は鹿児島市内の進学校を薦め,言うことを聞かない私を車で数時間かけてその高校まで連れて行き,承諾しないと帰らないぐらいのプレッシャーで納得させました。

その後,私は親のアドバイスはすべて聞き流しています。

今の私のバックボーンには,リバタリアニズム(自由至上主義)がありますが,子育てについても基本的にその考え方です。

一方妻は真逆。娘のためとして参考書・問題集などの教材を買い与え,部活は禁止,外出するにもいちいち文句をつけます。パターナリズムもいいところです。パターナリズムとは、強い立場にある者が、弱い立場にある者の利益のためだとして、本人の意志は問わずに介入・干渉・支援することをいいます。親が子供のためによかれと思ってすることがその由来です。

よく相手の立場で考えろといいます。私が娘の立場で考えると「こんな家にはいたくない。家出する」となりますが,妻が娘の立場だとどうなるでしょう。おそらく妻は「私は娘のようにだらけたりしない」といって別の話にもっていくことでしょう。

どちらがいいとか,正しいかということではありません。私の考えを極端に推し進めると「ネグレクト(育児放棄)」,妻の考えを極端に推し進めると「共依存」。共依存とは「あなたは本当にダメな人間。だから私が世話をしないと生きていけない」と人間関係を支配・被支配の関係で強化していくことです。どちらもドメスティックバイオレンスの典型です。

私と妻は考え方が大きく異なっていて,よく結婚できたよなといつも思います。でも,だからこそバランスが取れていて,20年以上夫婦でいられるとも言えます。お互い頑固なだけに,完全に一方に引っ張られることはないということですから。それに,子どもで言い争うことがなければ我が家は寂しくなりますしね。考え方の対立があるのもひとつの賑わいかも。

あなたには くつしたなどの干しかたに 愛が足らぬと妻はときにいう(大松達知)