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2019年10月25日 (金)

「ケーキの切れない非行少年たち」と頭にきた私の部下と知恵遅れの同級生

「ケーキの切れない非行少年」(宮口幸治)を読みました。

朝日新聞の広告で,デコレーションケーキを3分割しようとしたときに,どうみても3等分には見えない切り方をした図が掲載されていたのが読もうと思ったきっかけです。

本書の主旨としては,少年院に入ってくる少年達の多くは知的障害を持っている。だから認知能力が低く,小学校低学年のときから学校の授業についていけなくなる。他人が何を言っているのか理解できないからコミュニケーションも苦手,犯罪を犯すと逮捕される(刑務所に入る)という当たり前のことも分かっていないから犯罪を繰り返す,ということです。

少年院でいくら矯正教育をしようとも,そもそも教官の言っていることが理解できていないので「わかりました」と返事をしてもまったくわかっていない。まずは認知のゆがみを正すことから始めないといけないとして,本書の最後の章では認知能力を高める方法(トレーニング)を紹介して結んでいました。

私もしばしば仕事で「どうしてこんなことが分からないんだ」と腹を立てることがあります。そういう人って「自尊感情が低い」「キレやすい」「人のいうことを素直に聞かない」という特徴があります。利害関係がなければそのままスルーできますが,部下にそういう人がいると大変です。

かつて私にそういう部下がいました。日頃,私が仕事を教えようとすると「あー,はいはい」といってそっぽを向いて話を打ち切り,指導しても言うことを聞かない。ある日,出張先でミスをした彼が「どうして他の人には親切に教えるのに俺にはちゃんと教えてくれないんだ」を怒鳴りだしたので,私も堪忍袋の緒が切れて衆人環視の中であることもかまわず罵倒したこともありました。幸いこのとき手を出すことはしませんでしたが,もし,部下が手を出してきたらこれを機会に半殺しにしてやろうかと思うほどこのときの私は怒りに満ちていました。

大人げないといえばそうなんですが,今考えてみるとこの部下も,本書で取り上げている非行少年のように認知能力が低いことを周囲の人たち気付かれず,放置されて育った人だったのかも知れません。可哀想ですね。だからといって今でも許すことはできませんが。

本書でもうひとつ気になったのが,幼女に猥褻行為をする少年のこと。著者は少年院で教官をしているのですが,その経験上,性犯罪者の95%は子どもの時に壮絶ないじめ体験を有しているとのことでした。知的障害をもっているから馬鹿にされていじめられる。そしていじめのはけ口として自分のことを受け入れてくれる(拒絶できない)幼女に対して関心が高まり,性犯罪を犯す傾向にあるとのこと。

でも,知的障害といじめ体験はイコールなのかな? 私の小中学校には「知的障害」という言葉はありませんでしたが,「知恵遅れ」というか頭が足りない同級生は数人いました。その同級生達は誰もいじめの対象にはなりませんでした。もちろん,からかったり騙したりする悪い奴はいましたが,集団でいじめるという場面は記憶になく,大人になった彼らはそれなりに生活をしています。30年以上時代が違うといじめの対象も違うんでしょうかね? あるいは私の記憶が変容しているのか?

こんな人いたっけと思うクラス写真その人にしんと見られつつ閉づ(川野里子)

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