2019年11月10日 (日)

お客のいない店にはそれなりの理由がある

夜にくつろいでテレビをつけていると「坂上指原つぶれない店」(MBC:TBS系)の赤字飲食店を有名社長が建て直すというコーナーがありました。有名社長は富士そばの丹社長。素性は隠してまずこの店を偵察,それから店長にアドバイス。

そもそもこのお店。乗降客が1日4万5千人もいる都心の駅から歩いて1分以内。メニューもフレンチトーストはあるわ,ジントニックはあるわ,麻婆豆腐はあるわと何でもござれ。店長も真面目そう。だけどお客は一日に3,4人しかいない。なぜ?

最初に指摘したのは「看板(店名)」。ボクシング選手との共同経営ということで,この店の看板はこのボクシング選手を前面に押し出したもの。だから,通行客は看板を見ても飲食店とは思わない。一見したらスポーツジムみたい。

そしてもっとも大事なことと指摘されたことがボクシング色の一掃。この店の共同経営者はなんとボクシングの世界チャンピオン。チャンピオンベルトをはじめ,ボクシング関連グッズが店内に飾られています。丹社長がいうには仕事帰りのサラリーマンは癒やしを求めている。そこにボクシングのチャンピオンベルトなど権威的なものがあるとお客のサラリーマンはくつろげないとか。

皮肉なことに,この店の経営者はボクシングの魅力がお客さんを引き寄せると考えていたけれど,この店の前を通るお客さんは仕事帰りのサラリーマン。疲れたおじさん達にはボクシングなんて無縁のもの。それどころか逆に彼らを疲れさせる存在になっていたんですね。なるほど,勉強になります。

話は全然違いますが,今日のお昼はアミュの5階の飲食店街にしました。牛タンの「利休」です。ここはいつ見てもお客さんがいない。今日は私一人だし,時間も空いていたので入ってみました。お昼時なのに本当にガラガラ。メニューも牛タン中心で,値段も安くて1400円。ちょっと高すぎる。

味はまあまあでしたが,よほどの牛タン好きでないとこの店で食べようなんて思わないでしょう。鹿児島では牛タンが好きな人が多いとは思えません。誰をターゲットに考えているのか疑問。しかもこの値段設定。全国チェーンなのでしょうが,アミュの飲食店街の割高な価格設定のなかでもさらに高い。しかも定食が品数が少なくてしょぼい。これじゃあ閑古鳥(かんこどり)が鳴いて当然かも。

昨日は「はらら温泉」に浸かりました。午後2時頃に行ったのですがここもお客はまったくいない(おそらく女湯もガラガラ)。ぬるめのお湯でゆっくりくつろげましたが,洗い場の床タイルはあちこち緑色になっています。指先でこすると簡単に剥がれました。青のりがくっついていたんですね。毎日ブラシで掃除をしないのでしょう。銭湯を利用するのは近所の人。西田は再開発で新しい家がじゃんじゃん建っていますけど,そんな家に住む人たちはこんな温泉では行こうとは思わないでしょうね。こちらも閑古鳥が鳴いて当然かも。

経営努力って大事ですね。でも,お客のいないお店の経営者は,どのように努力していいのか分からないのかも。そこに気付くことができるのかどうかが「才能」なんでしょうね。

目を閉じてジョッキに顔を埋める君吾を見ず君何の渇きぞ(俵万智)

柏レイソルに完敗したユナイテッド 次のホーム戦で残留を決めろ!

今朝は市民農園で大根を一本,スティックブロッコリーを1茎収穫しました。大根葉には青虫が2匹ついていて洗うのが面倒だったので,根元からもぎ取り,畑にまいておきました。かぼちゃはソフトボール大の大きさが1個ありましたが,まだ自宅に残っているので放置。先週播いたマメの種が地表に3個残っていました。水色に着色しているので目立ちます。鎌で数センチ堀り,地中に埋めました。

それにしても冷たい。私の畑にはクローバーが茂っているのですが,すべて朝露に濡れています。畑仕事をするときは常に軍手をはめているのですが,この朝露に濡れて指先が冷たくなります。ようやく太陽が昇る時刻。これからは日中の暖かい時間帯に来た方が良さそうです。

さて,昨日は鹿児島ユナイテッド対柏レイソルの試合をダゾーンで観戦しました。

試合は今シーズンの成績がそのまま内容に現れました。レイソルは一対一で圧倒的に強い。ルーズボールの取り合いでも体の使い方がレイソルが1枚も2枚も上。ユナイテッドの選手に自由にプレーをさせません。そしてパスの正確さは遙かに上。終わってみれば0-3の完敗でした。

ユナイテッドは強敵相手に引いて守るのではなく,普段どおり攻めているときはディフェンスラインがハーフウェイラインまで押し上げます。再三再四レイソルのカウンター攻撃を受けますが,その都度ユナイテッドのDFが柏のFWについていって突破スピードを遅らせ,最後のアンジュンスが好セーブを連発。いい守備ができていました。

ユナイテッドのシュートが決まらなかったのが今回の敗戦の直接的な原因ですが,ノーゴールも無理はありません。レイソルはDFが完全にスペースを消していましたから。それよりも2点気になることがありました。

ひとつはニウドのパス。ボランチのニウド,中原秀人が攻撃的パスの起点となるのがユナイテッドのスタイル。しかしこの試合ではニウドのパスの精度が低すぎ。特に前半はレイソルに奪われるシーンが頻出。攻撃のリズムが悪かった最大の原因です。

もうひとつは左サイドバックの砂森のセンタリング。後半,フリーの状態でセンタリングをあげているのに,ボールはユナイテッドのアタッカー陣の頭上を越え,誰もいない逆サイドに流れていくシーンがありました。

残念ですが,これこそユナイテッドのキックの精度の低さ,得点力の低さを象徴しています。どうしてフリーで蹴るのにペナリティエリア内に放り込めないんでしょうか? ゴールキーパーがキャッチできる範囲を除くエリアには複数味方がいるのだから焦る必要もない。ましてやこのときは長身で当たりの強いルカオまでいたのに。

シュートを打たなきゃゴールはない。ペナルティエリアにパスを出さなきゃシュートは打てない。ユナイテッドは攻撃的なチームスタイルを標榜しながら,ポゼッションばかり優先していて,肝心なことを忘れているようです。もっと泥臭くゴールを狙え!

レイソルに比較するのはおこがましいのですが,実力差が明白で完敗。試合後,悔しいという気持ちすら起きませんでした。ユナイテッドはここ6試合で失点は3。しかし,得点も2しかないという現実を直視しなければならないでしょう。

次は白波スタジアムで水戸ホーリーホックと対戦します。ホームの最終戦。私はこの日は同窓会がありますが,もちろん最後までスタジアムで観戦します。スーツ姿でネクタイを締めてですが,勝利を願って声を張り上げて応援します。ユナイテッドは降格の危機感,必勝の信念,そして,この試合は俺が決めるという覚悟で試合に臨んでほしい。チームスタイルの問題はその次です。

「勝ち負けの問題じゃない」と諭(さと)されぬ問題じゃないなら勝たせてほしい(俵万智)

2019年11月 9日 (土)

どうして女ってホラー映画が好きなのか? 映画「IT」を見る娘

今日は妻が外出。自宅には私と高校3年の娘だけです。お昼ご飯を食べているときに娘が昨日録画した映画「IT」を見始めました。

娘は数年前に映画館で友だちと一度見ているとのこと。怖いよっと私に最初のさわりを教えてくれました。ぞっとする内容。でもなぜ,一度見た映画でしかもホラーを録画してまで見るのか,その神経がよくわかりません。ホラー映画って引き寄せる何かがあるんでしょうね。

以前飲みに行っていたバーでアルバイトの女性と話をしたときのこと。同じアルバイト先の友人宅にお泊まりするときは,いつもホラー映画をレンタルして見ている。特にゾンビ映画が好きなんだとか。そしてその子の母親もホラー映画が好きで,レンタルする映画のあらすじを既に知っているらしい。すごいなあ,と妙に感心したものです。

ところで映画「IT」の冒頭。カッパを着た子どもがピエロにかみつかれて排水溝に引きこまれるシーン。「ここは本当に怖かった~。だってR15だから。でもテレビ放送用だからカットしてあるね」とのこと。なるほどよくご存じで。しばらく一緒に見ていると,女の子がバスタブでハガキを読んでいるときに洗面所の排水口から声が聞こえるシーンに。娘がここで「ここから赤い血がでてきてバスタブが真っ赤になるんだよ」。聞けば聞くほど怖くなるので私は散歩に出かけることにしました。

私は映画が好きですがホラー映画は本当に苦手です。大ヒットした「リング」は20年以上前に映画版よりも前に作成された版(高橋克典が主人公でした)を見ましたが,怖かったなあ。それからしばらくの間は貞子の姿が思い浮かび,夜中になるとぞっとした気持ちになって眠れなかった。そういうわけで「うーうー,きっとくるー,きっとくるー」の方の映画は見ていません。

私が子どもの頃,ホラー映画(洋画)が大流行。有名なのは「エクソシスト」。ホラー映画の金字塔です。怖がりの私ですが,この映画だけはレンタルビデオで何回も一人で見ました。そして人生について深く考えさせられました。単に恐ろしいだけではないストーリー性に富んだすばらしい映画だと思います。なお,「オーメン」「13日の金曜日」「エイリアン」などのシリーズものも,なぜかほとんど見ています(矛盾していますね。でも積極的に見たわけではないんですよ)。ただこちらは全然面白くない。淡々と残酷に人を殺すシーンが続くだけ,怖いけどちょっとねえ。

ホラー映画って,最後にボスキャラを倒した後に,また復活を予感させるシーンで終わることが多いのですが,エクソシストはそんなシーンはありません。そういう意味でも怖がらせるだけの映画ではなかったと思います(エクソシストには第2,第3の続編がありますが,ストーリーは全く別物。まあそうせざるをえないでしょう)。

ちなみに私は「エクソシスト」のサウンドトラックとテーマ曲「チューブラーベルズ」(マイク・オールドフィールド)のCDを持っています。このテーマ曲は映画音楽の名作中の名作だと思います。しかし,残念ながらめったにテレビやラジオで放送されません。なにしろチューブラーベルズはパート1とパート2の2部構成なのですが,テーマ曲に使用されたのパート1だけでも演奏時間25分の大作です。一度聞けば,この曲の壮大な構想にきっと感動しますよ。

それにしても「IT」。不思議な映画ですね。結末を見ていないのにコメントするのも変ですが,謎が多すぎます。これは「続編を待て」ということなんでしょうか。結論。スティーブン・キングのホラーは怖い。これにつきます。

不眠のわれに夜が用意しくるもの蟇(ひき),黒犬,水死人のたぐひ(中条かな子)

素直な子どもたちと,自分の心を素直に伝えることが難しくなっていく大人

昨日の朝の通勤バスでのこと。いつものように附属小学校の児童が2人乗車してきました。私の前の席に座るやいなや爆睡。子どもも疲れているだなあ。付属小と言えば宿題がたくさん出ることで有名。おまけに小学生がバスで学校に通うんだから大変。よその子ながら気の毒です。

小学校前のバス停がもうすぐ。ところが2人とも降車ボタンを押さない。このままだと通過してしまいそうだったので,一人の子の肩をたたいて「次で降りないの?」を声をかけ,私がボタンを押しました。寝ぼけながらも今の状況がわかったらしく,重い瞼(まぶた)をこすりながらあわてて首を振ってお礼の気持ちを伝え,ランドセルをからって急いで降車口にむかいました。なんだか微笑ましい光景でした。

その日の仕事帰り。アミュ地下のフードコートでいつものように缶ビールを開けて飲んでいると,突然私の席のテーブルにビニール袋がどさっと置かれました。見上げると女子高生が「ごめんなさい」と無邪気な笑顔で謝っています。どうやら友だちにゴミ袋を渡そうとしたときに,すべって落としたようです。悪意は感じなかったので私は彼女たちに微笑みを返しました。しばらくして,連れの女子高生がまた私の席に来て「さきほどはすみませんでした」と声をかけ,帰って行きました。礼儀正しいですね。

自分の心を素直に伝えることができるってすばらしいなあと思います。特に子ども達は余計なことを考えない分,受け入れる私もすんなりと受け入れることができます。でも,大人になるとちょっと難しい。いろいろな考え,たてまえ,プライドが邪魔をしてしまうんでしょうね。

メンタルを病んでいる部下がいます。この日に面談を行いました。「職場にいることが苦痛。同僚の顔をみることもできない。もうダメだ」。何がダメなのか尋ねるとうまく答えられず黙ったまま。私の顔をみることもなく,本人も自分自身の心のうちを伝えられないことを非常にもどかしく感じているようでした。私はそれ以上答えを求めず,自分の経験を話しました。

数年前,私も仕事が多忙,かつ本意ではない仕事をやらねばならず,周囲の同僚も気が合わないので会話もしない,そんな時期がありました。家に帰っても億劫(おっくう)で,家族とは話しもせず,視線も合わせない。

当時,中学生の娘がそんな私を映画に誘ってくれました。映画は「謎解きはディナーの後で」(櫻井翔が執事で探偵,仕えるお嬢様が北川景子,映画のヒロインが桜庭ななみ)。アイドル映画とあって観客は女子中高生ばかり。映画の内容は結構笑えて面白かった。でも映画をみた後も,私の態度は変わりませんでした。

このときの私は娘の気持ちに気付かなかったけど,今になってわかります。気遣ってくれる人が一人でもいるって素晴らしいことだと。

そんなことを30分ほど話をし,来週も今日と同じように二人でおしゃべりをすることを約束しました。これがメンタルの問題解決になるのか分かりません。部下が私を必要としているのか,毛嫌いしているのかも分かりません。ただ,部下の気持ちをあれこれ詮索(せんさく)するよりも,部下から感じた気持ちを素直に受け止めて,そのときに私の心に浮かんだ物語を伝えたいと思いました。

缶ビールなんかじゃ酔えない夜のなか一人は寂しい二人は苦しい(俵万智)

2019年11月 7日 (木)

アミュ地下フードコートの奇妙な人々 信仰に意味があるのか? 

私の家は仏教徒です。といっても葬式仏教。祖先のお墓が曹洞宗のお寺の敷地にあるからというのがその理由で,積極的な動機があるわけではありません。

曹洞宗は只管打坐(しかんたざ)と,ただひらすら座禅を組みます。私の父は,私が小学生の頃から週に1回はこのお寺で座禅を組んでいました。私も実家で1年働いていたとき,父と一緒に1時間弱座禅を組み,般若心経(はんにゃしんぎょう)を唱えていました。

だからといって,何か悟りを開いたわけでもなく,精神的に成長したなんて実感もありません。ただ父に連れられてまねごとをしていたという認識です。

日本人は特段の宗教をもたないのが一般的。お正月には神社に初詣。お葬式は仏教。クリスマスはキリスト教。お彼岸やお盆は仏教。滝に打たれる修験道(しゅげんどう)などなど。神様もお地蔵さん,お釈迦様,天神様と多様です。

そんな私ですが,宗教をしっかりと自分の中心に据えている人をみると,清々しさと力強さを感じてしまいます。

大学生の時は少林寺拳法部に所属していました。私が幹部の時,1年下の後輩が練習にでてこない時期がありました。話を聞くと彼は創価学会の信者。その活動で休みがちということだったので,「お前は少林寺と宗教活動とどっちが大事なんな?」と聞いたことがあります。返事は「私は学会の活動を大事にしています」。遠慮がちないいぶりでしたが,揺るぎない決意を感じました。それを聞いた幹部連中は私も含めて,沈黙しました。「そりゃ,そうだろうな」。結局,黙認することとし,都合のいいときに練習にでてくるようにと忠告して終わりました。

私の大学時代の友人は,就職してから体調を崩し,仕事を続けるか悩んでいた時期がありました。彼が休憩室で悩んでいるとき,近くにいた女性社員がJリーグのチケットが取れなかったので泣き出さんばかりに悔しがっていたそうです。それを見て「この人たちは俺がくだらないと思っていることにも真剣に考えている。俺が悩んでいることって他人からみたら同じようにくだらないことなんじゃないか」と気付いたそうです。そのまま彼はキリスト教福音派に入信し,本場アメリカで2年修行。今では関西の教会で活動しています。数年前に会いましたが,大学時代と変わらない純真さを持ち続けていました。

宗教にはそういう憧れと同時に,困った面もあります。「ものみの塔」などのキリスト教系の新興宗教です。休日に家族を引き連れて戸別訪問,聖書への関心を尋ねてきます。一度はアミュ地下のフードコートでビールを飲んでいるときも,おばちゃんグループが「聖書は・・・」と話しかけてきました。

こういうとき,「私は仏教徒です」と言って断ることにしています。通常は,勧誘者もこれを聞くと簡単にあきらめてくれますが,アミュ地下のときは私の返事を聞いて「仏教徒だってよ」と仲間内でせせら笑っていました。

私の上司にはもっと上手がいます。宗教の勧誘がくると「私はオウムです」と断言するとか。たいていの人はそれを聞いて顔が引きつるそうです。そういう話を聞くと,宗教の勧誘活動をする信者って,本当に信仰をもっているのか疑問です。

私は般若心経は諳(そら)んじて言えますが,意味は知りません。神社の御札は10枚以上集めましたが祈願はひとつも成就しないため,すべて飾り棚から取り外しました。それでも神社に寄れば参拝し,実家に戻ればお墓によって手をあわせます。

私の宗教的な行動ってありきたりでとっても地味ですが,まあ,いいじゃないですか。少なくともアミュ地下のおばちゃんたちよりも,私の信仰心の方が厚いと思います。

青嵐神社があったので拝む(池田澄子)

2019年11月 6日 (水)

アミュ地下フードコートの奇妙な人々 ラグビーを語る高校生たち

仕事帰り。いつものようにアミュ地下のフードコートに立ち寄り,缶ビールを開けてミックスナッツをかじりながら本を読んでいると,後ろの席に陣取っていた高校生のグループの声が聞こえてきました。

「花園いってる?」「南アフリカの9番やばいよね」「味方にいたらホントに頼りになるけど,敵に回したらこれ以上怖い選手はないって感じ」など女子高生らがコメント。男子高校生は相づちをうって話を盛り上げています。

ラグビーの話をしている高校生なんて,いままで遭遇したことがありませんでした。ラグビーワールドカップの影響なのか。うれしいことです。このとき私が読んでいた本は「ラグビー 知的観戦のすすめ」(廣瀬俊朗)。ラグビーワールドカップの開幕前に,にわかファンのために出版されたことが見え見えの入門本です。入門本なのに,決勝のイングランド対南アフリカ戦が終わった翌日に書店で買いました。

「白波スタジアムにリーチマイケルが来る」と話しているところでは思わずびっくり。はて,そんな試合が予定されていたっけ?

入門書を読んでいる私ですが,ラグビーを観戦するようになったのは小学生のときから。正月2日は大学選手権の準決勝が2試合連続で開催されます。1月15日(当時は成人の日で休日)の決勝戦。2月14日(建国記念の日)の社会人対大学の日本選手権。この4試合は必ずテレビで見ていました。

しかし,社会人になってからは,なかなか見ることはありませんでした。ラグビーワールドカップが始まったのもこのころですが,当時はほとんど試合をテレビで見た記憶がありません。人気がなかったんでしょうね。

あの頃はワールドカップでは日本は本当に弱かった。特にニュージーランドには100点以上差がついての敗戦もありました。これじゃあ人気がないのも無理はない。

それが4年前のワールドカップイングランド大会からファンの視線が変わりました。特に「スポーツ史上最大の番狂わせ」と報じられた日本対南アフリカ戦。私はライブ中継を見ていましたが最高に興奮しました。

先週,ネットで久しぶりにこの試合を見ましたが,観客席にいる日本人は高齢の男性がほとんど。オールドファンばかりだったんですね。おそらくこのときのファンは長い年月,日本のラグビーを見捨てることなく根強く応援し続けてきた人たち。だからこそラグビーの神様は,あの奇跡をブライトンのスタジアムで見る幸せをもたらしたのでしょう。

ちなみに私はリーチマイケルが所属する東芝と7人制ラグビーの日本代表だった桑水流のいるコカコーラの試合を,それこそ白波スタジアムで観戦したことがあります。観客のほとんどは鹿児島市出身の桑水流を応援。試合もコカコーラが勝利。あの試合もよかったなあ。

ところで「ラグビー 知的観戦のすすめ」。とてもいい本です。ラグビー観戦歴40年の私が太鼓判を押します。にわかファンのみなさん,ぜひ読んでみて。あの試合のあのシーンはこうだったのか,と納得すること間違いなし。

雨のなかエゴン・シーレを見に来れば共犯者めく人の連なり(俵万智)

2019年11月 5日 (火)

心の問題を解決するために必要なのは,理屈ではない物語の力?

今朝他の部署の人から,私の部下が仕事中に執務室を出て,一日に何度も涙を流しているという話を聞かされました。そしてまた,この部下は上司の私には泣いていたことを伝えてもいいと話していたとのことも聞かされました。どうやらうつ傾向。メンタルヘルスに問題があるようです。

このままではいけないと思い,さっそくこの部下と面談をすることに。もっとも,私にとってはメンタルの問題で面談するのは初めて。管理者研修では,本人の話を聞くことが何より大事,原因を無理に究明しない,解決策を示さない,などがあったなあと思い出しながら面談に臨みました。

個室に2人きりになり,面談のきっかけを説明した上で話を向けてみると,自分の仕事が捗(はかど)らない,周囲の人に迷惑をかけている,家にいるときは普通だが会社に行くとつらくなる,ということをたどたどしく口にしました。

最近,この部下の残業が目立っていたので,このチームの業務を再編成して過度の負担がかからないようにしたばかりでした。私はそのことが部下のプライドを傷つけたと思い,私が説明なく勝手に判断して悪かったと謝ったのですが,部下は特に反応がなく,逆に困ったような曖昧な態度。

「私にこうしてほしいということがある? 仕事のことで,あるいはそれ以外のことでもいいんだけど」とたずねても「思いつかない」とのこと。私は無口なタイプで,この部下も無表情なので,今年の4月からこの部下と話をしたことは数える程度。部下を叱ることもなく,一緒に笑うこともなく,仕事上の指示をするぐらい。私と部下の間にそもそも信頼関係がないと言ってしまえばそれまでですが。

30分程度あれこれ尋ねたり,私の体験などを伝えたりして,部下が自ら話し出すのを待ちましたが,それ以上の話はありませんでした。このままで面談を終えるのもどうかと思い,今後は週に1回,10分程度でいいので面談を続けることを提案し,月曜日と金曜日とどちらがいいかと尋ねました。「金曜日」とか細い声で答えてくれたので助かりました。

ひょっとしたら私のことが嫌なのかもしれないと思い,私以外の人と同席して話を聞くことなども提案したのですが,部下は「このことを他の誰にも知られたくない」というので,次回も私が一人で面談をすることを約束しました。

もう20年以上前に「昔話の深層」(河合隼雄)を読みました。著者の言いたいことは,グリム童話のような理屈の通らない物語が人口に膾炙(かいしゃ)されてきたのは,人の心の糧としてこれらの物語が必要だったから。著者は精神科医として臨床中心に研究をしてきました。人の心を癒やすのは理屈ではない何かの存在であると。そんなことをふと思い出しました。

会社からの帰り道,これからのことをあれこれ考えました。私はシェーラザードのように,また話を聞きたいと思わせるほどの語り手ではありませんし,この部下にとって必要な話が何かも分かりません。それに物語が問題の解決になるのかしら?

それでも次の金曜日,相対して私の心に自然と物語が浮かんだら,そのまま話してみたいと思います。そういうときこそ,お互いの心がつながる物語,必要としている物語だと信じたい。でも,浮かばないときは? うーん,そうであっても私は自然体で臨(のぞ)みます。

「たすけて」と言えばあなたは会いに来てくれるだろうかくれぬだろうか(俵万智)

2019年11月 4日 (月)

柿も冷凍 大根も冷凍 なんでも冷凍やってみないと

朝から天高く晴れ上がりました。快晴です。今日は妻と一緒に私の実家に行くことにしました。

途中,妻のご先祖様のお墓に。幸い墓前のスプレー菊は生き生きとしていました。おそらく妻の両親が午前中に来ていたのでしょう。妻と一緒に線香をあげて手を合わせました。

お昼がまだだったので近くのコンビニで私はいなり寿司と巻き寿司の詰め合わせを,妻はサンドイッチを買い求め,ドリンクは350mlのお茶を1本。せっかくの好天。阿久根市の西方海岸にある四阿(あずまや)でランチにしました。

波は凪(な)いでいてここは国道沿いなのに車の音が気になりません。海岸沿いということで風の音が二人の耳を覆っているから。開けた包装が飛ばないよう私のポケットに入れて,それぞれのランチを口に運びました。

前方の砂浜には数組の家族連れが波打ち際にいて,それぞれの4,5歳ぐらいの子どもが波にあわせて楽しそうに動き回っています。人形岩にむかって睦(むつ)まじく歩いて行くカップルも。反対方向の港には,光輝く海面を背景に,テトラポットの上で釣り竿を上下に動かすシルエットがまぶしく見えました。

サンドイッチを先に食べ終えた妻が,ものほしそうに私のお寿司を見つめていたので巻き寿司の最後の一切れを差し出しました。二人で一本のペットボトルのお茶で交互に喉を潤し,強いながらも心地よい風に吹かれて車に乗り込みました。もう少しで私の実家に到着します。

実家に到着すると母が柿を出してくれました。庭の柿の木が今年は鈴なりだとか。あんまりたくさんとれるので冷凍しているとのこと。スライスした柿は半分凍ったまま食べましたが結構おいしい。柿の塊は母が電子レンジで暖めて出してくれました。こちらは熱い。やけどしそうなくらい。母は笑いながら「すまん,すまん」。こちらも斬新でしたがおつな味。

両親は私が持参した大根を見て,旺盛な大根葉の姿に驚いていました。母が言うには,食べきれない大根はスライスして冷凍するとか。聞いたことがないので大丈夫かと尋ねると「なんでも冷凍をやってみないと」とのこと。しゃきしゃきした歯ごたえが残ってこれはこれで食べられるって本当なのかしら? 年老いてもなお好奇心が衰えることはないようです。

帰途,私の実家の墓に寄り,線香をあげて手を合わせました。こちらも花粉がついたピンク色のユリが大輪を咲かせていました。このころには日が傾き,陽光が黄色を帯びていました。カーラジオからはNHKーFMの「今日は一日小田和正三昧」。小田和正のハイトーンの歌が流れる中,妻と二人で2時間弱のドライブを楽しみました。いい一日でした。

濃紺の車すべらせ逢いにくる海より蒼い時間を連れて(俵万智)

苗植えは大成功 種まきはわずかに生き残った 種まきに再度チャレンジ

今朝は市民農園に行ってきました。

大きく育った大根を1本引き抜き,濃い緑色に変色したかぼちゃをひとつ収穫しました。大根は種を10個程度まいたものの発芽したのは5本程度。今日が2本目です。かぼちゃは自宅で種を10個まき,発芽した2個を植えました。7月頃に植えたのですが夏から今日まで連続して花が咲いています。もう11月だというのに。ここまで生命力があるとは思いませんでした。

かぼちゃの葉っぱにはうどんこ病の白い粉のような模様がついています。茶色に変色したのもあります。そろそろかぼちゃも終わりでしょうか。小さな実がいくつかついていましたが,今シーズン中に収穫できるかは微妙。

そのほかに,キャベツをひとつ,ブロッコリーをひとつ,茎ブロッコリーをひとつ収穫しました。これらは苗を買って植え付けたものです。さすがに苗で植えたのは強い。キャベツやブロッコリーはぜんぶで8つ植えたのですが,どれも大きく育っています。すべて葉っぱを虫に喰われていますが,ブロッコリーの食べる部分は影響なし。キャベツは虫食い穴がいくつも空いているので中に青虫が潜んでいるのかもしれませんが気にしません。フンがついていても,よく洗って食べればいいのです。

クローバーがまた緑を増やしているようです。夏には勢いが落ちてきてもうだめかなと感じていたのですが,朝夕涼しくなると元気になるのか? そして畑はふかふかです。土自体が空気を中に含んでいるせいなのかよく分かりませんが,耕したことがないのに不思議なくらい足が土にめり込みます。土の状態がいいってことなんでしょう。

クローバー以外の雑草はほとんど見当たりませんでした。というわけで,畑の境界も雑草がないため珍しく草刈りをしない日になりました。

最後に,昨日買った「絹さやえんどう」「レタス・サラダミックス」「一代交配味まさりほうれん草」「はやどり小松菜」の種をまきました。どれも100円ショップで買った安物です。4種類で200円。種の数もわずかですが,どうせ食べきれないのでこれぐらいで十分。私の畑に無造作にばらまきました。以前もほうれん草や水菜などの軟弱野菜や豆類の種をばらまいたことがありますが,このときは全滅。さて今回はどうなることやら。

ところで今朝播いた「絹さやえんどう」の種は水色に着色してあるので土の上ではすごく目立ちます。見つける度に踏みつけ,種が土に埋もれるようにしておきました。といってもまいた種のほとんどはクローバーの陰に隠れてしまったので踏みつけたのは3個だけですが。

今日はこれから実家に帰ります。収穫した大根は葉を残しています。昨年,同じようにカブを届けたときに父から葉を残して持ってきてと言われたので,今回は大根ですが言われたとおりにしておきました。かぼちゃは2週間前に収穫したソフトボール大のミニかぼちゃにしておきます。夫婦二人ぐらしですから,これぐらいの大きさでも食べきれないぐらいでしょう。

両親は数年前から夕食を配達弁当にしていて,あまり調理はしません。もう歳だからしょうがないけど,少しは畑からとれたばかりの旬の野菜を口にしてもらいたい。私の野菜は自然農法(無肥料,無農薬,無除草,不耕起,水やりもしない)ですからね。安心です。もっとも妻に言わせると「農業をなめてる」ということになるんですけど。

ぐつぐつと水菜の横で煮えている「友だち」という言葉のずるさ(俵万智)

2019年11月 3日 (日)

お祭りの終焉 ラグビーワールドカップの熱気とそれぞれの総括

1ヶ月半もの間,私に興奮をもたらしたラグビーワールドカップ日本大会が,昨日の決勝戦をもって終わりました。決勝はイングランド対南アフリカ。下馬評ではニュージーランドを破ったイングランドが優位かと思われていましたが,南アフリカはイングランドをノートライに押さえ込み32ー12で完勝。3回目の優勝を飾りました。

私は3位決定戦のウェールズ対ニュージーランドだけは仕事の都合で生でみることができませんでしたが,他の試合はすべて生中継でみることができました。地元開催の利点ですね。最高レベルのラグビーをこんなに堪能できるなんて。本当に幸せな時間でした。

特に日本の試合は手に汗握る大興奮の連続でした。日本の大活躍は心から嬉しい。アイルランド戦,スコットランド戦は日本の実力がフロックではないことを世界に印象づけました。どの試合も胸がドキドキするのを感じながらの観戦。もっとも,最後の南アフリカ戦は後半になるとFWで完全に刃が立たず,見るのがつらかったけれど。

私が選ぶ,今大会のベストバウトは,フランスがドロップゴールで逆転勝利を決めた対アルゼンチン戦です。アルゼンチンのドライビングモール,かつて賞賛を浴びたフランスのシャンパンラグビーの再現,どちらも素晴らしかった。試合終了間際,アルゼンチンは50m近い正面からのペナルティゴールを外してフランスが2点差で辛勝。この戦いはフランスにはニュージーランドのようなパス回しも,南アフリカやイングランドのようなパワーもありませんが,フランスのヨーロピアンなキックとステップを交えた攻撃は鮮やかでほれぼれしました。

フランスは決勝トーナメント1回戦の対ウェールズ戦も負けたけどこの試合も大接戦でした。残念ながら前半にフランスの選手にレッドカード。1人少ないフランスは最後にウェールズに押し切られ敗れました。フランスの実力を考えると,予選リーグの対イングランド戦が台風で中止になったのは本当に残念です。フランスがイングランドに対してどういう戦いをするのか,今となっては想像するかありませんが。

今朝の朝日新聞,1面は決勝の結果概要,スポーツ面(13面)には試合の詳細に加えて「黒人主将コリシ」のお涙頂戴話。国際面(7面)には「コリシ主将は希望の星」,社会面(29面)にはテレビ視聴率とジャパンユニフォームの売れ行き,大会の悪影響を心配していた庶民の声などが掲載されていました。最後になって人種問題をクローズアップするところが朝日新聞らしい。そんなの開幕前から分かっていただろうに。それが今大会の総括ですか? 違うんじゃない?

奪い合うことの喜び一身に集めてはずむラグビーボール(俵万智)