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2019年11月 9日 (土)

素直な子どもたちと,自分の心を素直に伝えることが難しくなっていく大人

昨日の朝の通勤バスでのこと。いつものように附属小学校の児童が2人乗車してきました。私の前の席に座るやいなや爆睡。子どもも疲れているだなあ。付属小と言えば宿題がたくさん出ることで有名。おまけに小学生がバスで学校に通うんだから大変。よその子ながら気の毒です。

小学校前のバス停がもうすぐ。ところが2人とも降車ボタンを押さない。このままだと通過してしまいそうだったので,一人の子の肩をたたいて「次で降りないの?」を声をかけ,私がボタンを押しました。寝ぼけながらも今の状況がわかったらしく,重い瞼(まぶた)をこすりながらあわてて首を振ってお礼の気持ちを伝え,ランドセルをからって急いで降車口にむかいました。なんだか微笑ましい光景でした。

その日の仕事帰り。アミュ地下のフードコートでいつものように缶ビールを開けて飲んでいると,突然私の席のテーブルにビニール袋がどさっと置かれました。見上げると女子高生が「ごめんなさい」と無邪気な笑顔で謝っています。どうやら友だちにゴミ袋を渡そうとしたときに,すべって落としたようです。悪意は感じなかったので私は彼女たちに微笑みを返しました。しばらくして,連れの女子高生がまた私の席に来て「さきほどはすみませんでした」と声をかけ,帰って行きました。礼儀正しいですね。

自分の心を素直に伝えることができるってすばらしいなあと思います。特に子ども達は余計なことを考えない分,受け入れる私もすんなりと受け入れることができます。でも,大人になるとちょっと難しい。いろいろな考え,たてまえ,プライドが邪魔をしてしまうんでしょうね。

メンタルを病んでいる部下がいます。この日に面談を行いました。「職場にいることが苦痛。同僚の顔をみることもできない。もうダメだ」。何がダメなのか尋ねるとうまく答えられず黙ったまま。私の顔をみることもなく,本人も自分自身の心のうちを伝えられないことを非常にもどかしく感じているようでした。私はそれ以上答えを求めず,自分の経験を話しました。

数年前,私も仕事が多忙,かつ本意ではない仕事をやらねばならず,周囲の同僚も気が合わないので会話もしない,そんな時期がありました。家に帰っても億劫(おっくう)で,家族とは話しもせず,視線も合わせない。

当時,中学生の娘がそんな私を映画に誘ってくれました。映画は「謎解きはディナーの後で」(櫻井翔が執事で探偵,仕えるお嬢様が北川景子,映画のヒロインが桜庭ななみ)。アイドル映画とあって観客は女子中高生ばかり。映画の内容は結構笑えて面白かった。でも映画をみた後も,私の態度は変わりませんでした。

このときの私は娘の気持ちに気付かなかったけど,今になってわかります。気遣ってくれる人が一人でもいるって素晴らしいことだと。

そんなことを30分ほど話をし,来週も今日と同じように二人でおしゃべりをすることを約束しました。これがメンタルの問題解決になるのか分かりません。部下が私を必要としているのか,毛嫌いしているのかも分かりません。ただ,部下の気持ちをあれこれ詮索(せんさく)するよりも,部下から感じた気持ちを素直に受け止めて,そのときに私の心に浮かんだ物語を伝えたいと思いました。

缶ビールなんかじゃ酔えない夜のなか一人は寂しい二人は苦しい(俵万智)

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