2020年11月21日 (土)

フルスイングのホークスと待球戦術のジャイアンツ これがセ・パの違いだ

今夜はホークス対ジャイアンツの日本シリーズをテレビで観戦しました。

ホークスは千賀,ジャイアンツは菅野というエース対決。どちらも150キロを越えるストレートを投げ込みます。見応えのある投手戦となりました。が,ホークスの5番バッターの栗原が大活躍。リードを広げていきます。結局は5対1でホークスが第1戦に勝利しました。

ホークスの選手たちは何しろスイングが鋭い。全員がフルスイング。印象的だったのが2アウト2塁の場面でデスパイネがレフト前ヒット。二塁ランナーの栗原がホームでタッチアウトだった場面。レフトを守っていたのはウィーラー。強肩とは言いがたい選手です。それでもアウトになったのは,デスパイネの打球が速すぎたからです。

ヒットがなかった柳田もとにかく強振。9番バッターの甲斐ですらフルスイングするんですから迫力が違います。

それに比べてジャイアンツ打線の貧弱なこと。ジャイアンツはリポーターの情報(追い込まれる前に打つように吉村コーチが指示した)とは裏腹に,とにかく千賀にボールを投げさせました。ストライクゾーンにボールがきたらファール。テレビの解説者は球数を多くさせているのはいい作戦と指摘していましたが本当にそうでしょうか? 私が見る限り,ジャイアンツのバッターは千賀のボールを前に飛ばす力がないように見えました。

この試合を通じて,ジャイアンツの選手でクリーンヒットを打ったのは坂本と丸だけ。どちらも1度ずつ。他のバッターは出塁はしましたが四死球ばかり。外野フライさえ最後のウィーラーの犠牲フライぐらいしか印象にない。これを力負けといわずして何という。

この10年間の日本シリーズで,セリーグが制したのは10年前の1回だけ。なんとパリーグが9年連続で日本一なのです。セパ交流戦でもパリーグの球団が上位にいるように,パリーグがセリーグを上回っていることは明白です。特に昨年の日本シリーズは圧巻でしたね。ジャイアンツはホークスに4連敗ですからね。

最近は地上波でプロ野球の中継を見る機会がありません。私が見る試合はホークス戦だけ。セリーグの球団を見るのは日本シリーズのときぐらいです。セリーグって普段はどういう試合をしているんでしょうか。同じプロなのに。

ちなみに今日の放送は読売系列でした。しかし,球場が京セラドームだったせいか,解説者にジャイアンツOBがいない。これがとてもよかった。ジャイアンツOBの解説者たちは,どうみてもジャイアンツに勝ち目がないのに,勝利するかような不可解なことをいいますからね。おかげで今日は不愉快な思いをすることがありませんでした。でも,吉村コーチの指示についてのリポートは一体なんだったのでしょうか? いってることとやってることがこれだけ違うのに。

秋の空 あれがボールか 円城寺(読み人知らず)

※かつて巨人軍が最強で,日本中に圧倒的なファンがいたときの名句。興味がある人はこの句の背景を検索してみてください。

リボンのカラーはどこまで増えるのだろう ハットの左側にスマイルリボン

会社の先輩から「スマイルリボン」のピンバッジを紹介されました。NPO法人スマイルリボンが販売しているものです。啓発活動のグッズだそうですが,スマイルリボンってそもそも何でしょう。

秋になるとさまざまな「リボン」をつかった啓発活動が行われます。定着した感のあるのが「ピンクリボン」。これは乳がんの検診を勧めるための啓発活動。ほかにもあります。

「レッドリボン」はエイズ(後天性免疫不全症候群)の普及啓発のシンボル。

「オレンジリボン」は児童虐待防止の啓発のシンボル。

「ブルーリボン」は,北朝鮮に拉致された人々を救出しようという啓発のシンボル。

「パープルリボン」は,女性に対する暴力を防止しようという啓発のシンボル。

「グリーンリボン」は,臓器移植を啓発しようというシンボル。

そしてこの「スマイルリボン」は,HTLV-1の啓発のシンボル。HTLV-1とはウイルスの名称です。南九州に感染者が多く,最近は人口流出によってウイルスをもっている人(キャリア)が全国的にも拡散しているとのこと。

このウイルスをもっているだけでは通常は発病しませんが,高齢になって白血病などを発症することがあります。もっとも,キャリアの95%は発症しないということなので,このウイルスが見つかったのも最近のようです。

感染するのは母子感染(母乳の授乳によるもの),と性行為によるものです。

それにしてもリボンの種類が増えてますね。これだけたくさんのリボンがあると覚えるのも大変だし,知識もごちゃごちゃになっちゃいそう。しかもすべてのリボンの啓発活動が秋から冬にかけて行われるとなると,ますます混在していきます。

すべてのリボンを身につけるとなるとどうなるんでしょう。スーツのフラワーホールに徽章などをつけるのが一般的ですが,これだけのリボンとなると,偉い軍人さんの勲章みたいになってきます。

私はいつも帽子の左側にピンで留めます。最近は毛糸の中折れ帽をかぶっているので,その帯の部分に挿しています。おしゃれでしょ。

さて,スマイルリボンのピンバッジは1000円でした。NPO法人への寄付ですね。

話は違いますが,最近はスーツのフラワーホールにルーレットのような模様に多彩な色をつけたバッジをつけている人をよく目にするようになりました。お客様にそういう方がいたのでお尋ねすると「これはSDGs(エス・ディー・ジーズ)のバッジですよ。17の色はSDGsの17の目標を現しています」とのこと。

やっぱり普及させようと思ったら,多くの人が身につけないといけないですね。ところで赤い羽根の共同募金は有名ですが,赤い羽根を服に挿す人はめったにいません。そう考えると共同募金って賛同していると言うより,お付き合いというか半強制の募金なのかもね。

やさしいね陽のむらさきに透けて咲く去年の秋を知らぬコスモス(俵万智)

2020年11月16日 (月)

「ぜひご一緒させてください!」のメールをどう解釈したらいいのか

先日,アラサーの男女2人の部下と一緒に飲んだときに,わたしのなじみの小料理屋の話になりました。通うようになって20年以上になること,メニューがないこと,先日お店によったときには店の障子貼りを手伝ったことなどを話すと,女性の部下が興味津々。男性の部下はこの店に連れて行ったことがあるので勝手がわかっていて「そうですよね」と相づち。

そのとき,女性の部下が「わたしも行ってみたい」というので気になっていました。

それから2週間後。気になっていた私は彼女にメールしました。「今日はいつものように一人で小料理屋に行きます。この間,興味がありそうだったので声かけしました。気が進まない,都合が悪いときは返信不要です」

数分後に彼女から返信がありました。「今日は都合がわるいので・・・すみません。でも,とても興味があるお店だと思いました。今度はぜひご一緒させてください!」

わくわくした気持ちで一人で飲みに行くところが,仕事が次から次へと舞い込んできて,退社は夜の8時。これじゃあ,あの小料理屋に飲みに行くのは無理。何しろ高齢のおばあちゃんのお店だから深夜になると大変失礼になってしまうのです。

そして,今日。どうやら仕事も定時に終わりそう。先週末の彼女からのメールの最後にあった「!」に期待して,再度メールで誘ってみました。「月曜日ですが行きますか?」

残念ながら返信なし。午後6時半になったので返信のメールが来るのを諦めて帰り支度をしていると,彼女が廊下を一人で歩いていた私のところに近づいてきて「今日は仕事をしたいのですみません」とお詫びを言いにきました。帰り間際に誘いのメールをした私も悪いので「気にしないでいいよ」と自分の非礼をわびました。

それにしても若い女性が私とさしで飲みに行きたいなんて,とても不思議な気持ちがします。彼女は独身ですが,おじさんに媚(こ)びをうるようなところはなく,髪はぼさぼさで白髪交じり,化粧っ気もない。それでいながら恥ずかしがることもなく「ぜひご一緒させてください」と言えるなんて。純粋に食べ歩きが好きなんでしょうね。

私も50歳を目前にして,女性に対してギラギラした態度はなくなったから,女性から警戒されることがなくなったのかも。女性が一緒にいてくれるってうれしいけれど,なんだか寂しさも感じてしまいます。

君眠る傍(かたえ)に雑誌読むときのこの静けさに過ぎてゆくべし(俵万智)

2020年11月15日 (日)

つばめ文庫で絵はがきを大量購入 でも,気になったのは春画本

つばめ文庫という古本屋が鹿児島市武岡にあります。旅をテーマに古書を販売していて,マルヤガーデンや加世田の丁子屋でも出張販売をしているのでご存じの方もいるのでは。

古本屋なのですが,ここには観光地の絵はがきがあります。もちろん古い。ワンセット4~12枚で300円程度という安さ。カラー写真もありますが,モノクロ写真や説明書きが左から右へという,時代を感じさせる絵はがきまであります。

カラー写真であっても昭和中期(高度成長期まで)のものがほとんど。東京などの観光絵はがきもどこか閑散としていて,「いかにも昭和」という匂いが漂っています。

私は海外絵はがき交流サイト「ポストクロッシング」の会員です。月に10~20枚程度の絵はがきを海外の会員に送ります。そうすると,私にも海外各国から絵はがきが届くシステムです。

もともとは切手収集が趣味だったので,海外の珍しい切手を集める手段としてポストクロッシングを始めたのですが,今ではすっかり絵はがきの魅力に取り憑かれました。

さて,つばめ文庫の話。目当ての絵はがきを手に店長が来るのを待っている間,ふと書棚をみると春画の本がありました。春画とは江戸時代のエロ本のこと。性交や女性の裸をのぞく様子を浮世絵にしたものです。ぱらぱらめくりましたが,なんとも男性のちんちんの大きいこと。腕ぐらいの太さです。

当然ながら,ぼかしやモザイク処理はありませんからなんとも生々しい。だから女性器もはっきりと描写されています。出版社は竹書房でした。やっぱりと思いつつも,こういう本を買い求める人ってどんな人なのか気になります。ネットやアダルトビデオで十分なのに,こういう本を買い求めて興奮する人がいるのかしら?

昔読んだマンガに,日本人に対して外国人女性が「オーッ,ウタマロ!」と叫ぶシーンがあったのを思い出しました。ウタマロは浮世絵師の喜多川歌麿のこと。彼の作品は春画が多く,私が立ち読みした作品のように,ペニスが巨大に描かれていました。つまり,日本人男性は巨大なペニスをもっているという意味。

浮世絵がヨーロッパの絵画に影響を与えたことは知られていますが,こういう隠れた影響は意外に知られていないようです。こんなことを書いたところで,私のペニスが大きくなるわけでもないし,女性が喜ぶわけでもありませんけど。

閑話休題。この日は,300円の絵はがきセットを13個購入しました。全部で3900円。家に持ち帰って丁寧に見てみると,戦前のハガキまでありました。合計111枚。1枚当たり35円です。安くてビンテージものばかり。一般の方々には価値がわからないかもしれませんが,私にとっては本当にお買い得です。

きみのいる刑務所とわがアパートを地中でつなぐ古きガス管(寺山修司)

2020年11月14日 (土)

食べ放題を選択したのが失敗でした。 イオンモール鹿児島での夕食

今日は午後から妻に連れられて買い物に出かけました。普段から不精者の私。特に服装については無頓着なので,今度こそはと意気込んで車に乗せられました。

目的地は鹿児島市谷山にあるイオンモール鹿児島店。バカでかい店内に多数のアパレルショップがテナントに入っています。最初に無印良品で必要な雑貨を仕入れた後,私の長袖シャツ,Tシャツ(色違いで4着も),長袖のニットと次々と買いそろえます。

私は面倒なのが嫌なので,セレクトは妻任せ。サイズと着心地だけは注文をつけますが,結果的にすべて妻が最初に選択した服を購入することになりました。なんと人任せな!

そうこうしているうちに,午後6時。イオンモールのレストランで夕食をとることにしました。ひととおりレストラン街を歩いたもののどれも決め手を欠いていてしばし沈黙。たまにはいいかと思い,ブッフェスタイルの「グランブッフェ」を選びました。90分食べ放題。妻が「食べ放題のお店なんてたぶん私は初めてかも」と口にしました。

前に5名のグループがいて,私たち夫婦が2番目に並んでいたのですが,待たせること40分。ようやく名前が呼ばれました。こんなに待たせるなんてすごい人気のあるお店なんだろう,と期待がふくらみます。

店内は思ったとおり大勢の家族連れでごった返しています。バイキングのお皿を手にしたお客さんの間を小学生ぐらいの男の子たちが小走りにすり抜けていきます。通路には空いた皿を回収したワゴンが止めてあり,さらにその横にはベビーカーが止めてあるから狭くて危ないのなんの。ほかのところには,ワゴンもベビーカーもないのにわざわざここに集めて通路を狭くするなんて頭おかしいんじゃないの? と疑問が浮かびます。

そして料理をとろうとするのですが,人が多くてなかなか料理が手に取れない。ようやく空いている中華のコーナーで保温器に入った麻婆豆腐と野菜あんかけ焼きそばをトレイに入れました。スープはないかと探したのですが,チゲスープとポタージュしか見当たらなくて,水がどこにあるかもわからない。こりゃあ困ったよ。

妻はピザやデザートをトレイに入れて席についたのですが,最初の一言が「これじゃあ,ゆっくり話をしながら食べるなんて無理ね」。満席で小さな子どもが多いので目の前にいる妻の言葉もかき消されがち。BGMはジャズ風のクラシックでおしゃれ感を出しているのですが,完全にミスマッチ。これりゃあ参ったよ。

料理を口に入れるなり妻は「まずい。こんなまずい料理は食べたことがないわ。同じ1500円だったら,向かいにある釜飯屋の定食の方がずっとよかったわ」。全く同感です。何しろ私が選んだ麻婆豆腐は冷え切っていてとても人に出せる料理とは思えません。私が家で作る麻婆豆腐が数倍うまい。そのほかの料理も推して知るべし。まともなのはサラダぐらいでした(サラダを料理と呼べるかは疑問ですが)。バイキングだと,料理を食べる度に次は何を食べようかな,とモチベーションが上がるのが普通ですが,この店は逆に食べる料理の種類が増えるほどモチベーションが下がっていきます。こりゃあ最悪だよ。

二度とこの店で食べたくないと思いましたが,この繁盛ぶり。どうなっているんでしょう。私たちの感覚が世間の人からずれているのか? 世間の人たちは味よりも食べ放題で腹一杯になることの方が満足度が高いのか? こりゃあ不思議だね。

うまそうな食事の匂いをつくる人はやはり男の五十代だったな(高瀬一誌)

2020年11月 8日 (日)

スカッとさわやかアーリークロス ユナイテッドファンが待っていた勝利

昨日は鹿児島ユナイテッドがロアッソ熊本に4−1で快勝。ホームゲームでようやく攻撃力を発揮。スカッとしたファンがほとんどだったのではないでしょうか。

過去の試合との大きな違いは先制ゴールのシーンに現れています。ボランチの中原秀人が右サイドに開いてボールを受け,鋭いアーリークロス。これに牛ノ浜がヘディングで合わせた,見事なゴールでした。

これまではサイドでボールをもっても,もたもたしてバックパス。あるいはゴールライン際まで持ち込んでからのマイナスのクロス,というのがユナイテッドのお約束。とにかくゴール前にボールを運ぶまで時間がかかりすぎ。

それがないときは,バックスからのロングボールを放り込むパワープレイ。ヘディングで競り合ってからのセカンドボールを狙うアタッカーがいなくてボールを奪われるお粗末な展開ばかり。

それが中原のアーリークロス。熊本の度肝を抜きましたね。あせった熊本の背後を突いて米澤が2点目。3点目はPK。4点目はフリーキックからの水本のヘディングシュートの好循環。熊本の攻撃はミドルシュートばかりでコーナーキックもショートコーナーばかり。ユナイテッドは助かりましたね。

この1か月間,下位のチームとの対戦ばかりだったのに勝利がなかったのはユナイテッドにとって本当に痛い。ここからどれだけ挽回できるかは,この試合の中原のような多彩な(意外な)チャンスメイクが必要です。

そう考えると大胆なポジションチェンジが今後の成績の鍵になるかも。

物語始まっている途中下車前途無効の切符を持って(俵万智)

2020年11月 7日 (土)

アメリカに分断をもたらしたのはトランプなのか?

アメリカ大統領選挙の開票が予想されたとおり混乱してます。即日開票が当たり前の日本では考えられない事態ですが,これぞアメリカンデモクラシーなんでしょう。

さて,トランプ大統領の4年間について,マスコミ各社はアメリカに分断をもたらした元凶と非難しています。

マスコミに対して「フェイクニュース」と罵っては批判を受け,メキシコとの国境に壁をつくり,その費用はメキシコに請求するといっては人権保護派から批判を受け,二酸化炭素排出削減のパリ協定から脱退しては環境保護派から批判を受け,WTOから脱退するといってはグローバル経済推進派だけではなく,便乗した評論家(TPPは日本を滅ぼすためのアメリカの罠だ,と主張した中野氏など)の面目を失わせてきました。

これらの一連の騒動がアメリカ国民に深刻な分断をもたらしたトランプ大統領。しかし,大接戦を繰り広げている選挙開票状況をみてわかるとおり,国民の半数近くがトランプを根強く支持している現実が「フェイク」ではないことを証明しています。

私は,トランプがアメリカに深刻な分断をもたらしたとするマスコミの主張にはどうしても賛同できません。そもそもトランプは,既に「分断されていたアメリカの現実」を顕在化させただけではないのでしょうか。

トランプが登場するまで,反グローバル化を心に抱いていた国民は実際にそこにいたのに,マスコミは取り上げなかった,あるいは無視し続けていたのだと思います。それにしても,日本のマスコミは毎日長時間,大統領選挙開票をニュースにし続けています。よほど日本ではニュースがない(あるいは,マスコミが何かを隠そうとしている)のでしょうね。

全然関係ありませんが,どうしてアメリカ大統領選挙の選挙速報は得票数ではなく,得票率なんでしょうか。得票数だったら,あと何票で逆転というイメージが湧きますが,得票率(例えば48.3%と47.1%で争っています)だと,どの程度の差があるのか見当もつきません。ましてや,双方の割合を合計しても100%にならないということはどういうことなのか,意味不明です。残りは無効票ということなんでしょうか?

ちなみにネットニュースでは,バイデン候補の全米の得票数が過去最高であることを報じています。

変ですね。どうして開票が終了していないのに,アメリカ全土の得票数が過去最高と断言できるのか。全米の得票数がわかるなら,各州の得票数を表示してもいいはずでは,と思うのが普通ではないでしょうか。謎です。これこそ,フェイクニュースでは?

あなたは勝つものとおもつてゐましたかと老いたる妻のさびしげにいふ(土岐善麿)

2020年11月 3日 (火)

合コンなんて流行らない? 男女の出会いってこんなもの?

先週,かつて私の部下だった男性と近所のお店でばったり出くわしました。話を聞くと,赴任先の佐賀県から先月鹿児島に戻ってきたばかりだとか。新型コロナウイルスの影響でいろいろとあったらしいのですが,このご時世,会社の歓迎会もないとか。

それではと,私が当時の部下たちに声をかけて,こじんまりとした歓迎会を一席もとうと段取りをしてみました。ところが,残念ながらまったく集まらない。誰も彼も「都合が悪いです」。ついてないときはこんなものですかね。

私とこの男性の二人でサシ飲みするのもいいのですが,30歳を過ぎているこの男性。未だに独身。彼女がいるという話は聞いたことがありません。大学時代はいたそうですが,会社に入ってからは職場の女性たちからは相手にされない(?)みたい。話はおもしろいし,多趣味で博識。人にも親切なので誰からも愛されるキャラクターなんですが,彼氏や結婚相手となるとどうも違うのかも。

そういうわけで,私の職場にいる、彼と同じ歳の女性に声をかけてみました。オシャレに無頓着で色気がなく,華奢(きゃしゃ)な体つきで話し声もボソボソ。でも,私は彼女のことが気に入っているのです。「しょうもないお願いなんだけど。佐賀県から帰ってくる30歳ぐらいの男性と明日飲むことにしてるんだけど,あなたもどうね?」うれしいのかおかしいのか笑いをこらえた顔で「いいですよ」と了解してくれました。

飲み会の当日。初対面の男女でしたが,特に私に遠慮をすることもなく,自然と話ができているようです。私がトイレに外したときも二人で歓談し,お勘定で私が外に出たときも,二人でLINEの登録などで盛り上がっていました。若いっていいなあ。

私が入社した頃は,合コンに何度か参加しました。それで彼女ができたことはありませんが,男女の出会いの場って,段取り好きな先輩が用意してくれたものです。それがこの20年で大きく様変わりしました。彼ら(彼女)にはそういう段取り上手な先輩がいない。そもそも飲み会に先輩が誘うという文化が完全に廃れました。私生活に干渉されたくないという現代の若者にとってはそれが望ましいのかもしれませんが,男女の出会いって楽しいものですよね。

お開きにしてから,帰る方向が一緒の彼女と30分近く一緒に歩き,仕事とのことなどを話していたところ,彼女から「どうして今日は私を誘ったんですか? 同じ職場にはほかにも性格がとても優しい人もいるのに」と訊ねられました。

「あなたはマンガが好きだって聞いていたから,たぶん彼と話が合うだろうと思って」と答えると彼女はちょっと笑い,不思議そうな顔をしていました。おそらく,彼女が想定していた答えではなかったんでしょう。

途中で彼女と別れ,タクシーに乗りました。あのとき「私があなたとデートしたかったから」と答えたら,彼女はどんな顔をしただろうか? なんて,おじさんらしい妄想に耽(ふけ)りながら自宅に帰りました。少しは私も若返ったかな。

陽に濡れて駅まで歩く吾と君の近づきすぎて遠ざかるもの(俵万智)

「独ソ戦 絶滅戦争の惨禍」を読む

久しぶりに鹿児島中央駅のアミュプラザにある紀伊國屋に立ち寄りました。ぶらりと新書コーナーを眺めているときに「独ソ戦」(大木毅)を見つけました。「2020新書大賞第1位」の帯がかかっていて,「そういえばこの本,朝日新聞の書評にでていたなあ」と手に取ってそのままレジに運びました。

私が学生時代なのでもう30年前のこと,「ヒトラーの戦い」(全10巻,児島襄)という長編のノンフィクションが文庫本で出版されていて,当時暇だった私は全巻を読破しました。

このときに独ソ戦というのは,ドイツ国防軍は善戦したがヒトラーが国防軍に細かく指示を出したために,作戦の柔軟性,優秀性が失われ,物量に勝るソ連がドイツ軍を圧倒した,というように理解していました。というのは,この本の視点が完全にドイツ国防軍側に立っていたから。ドイツの悪事はすべてナチス(ヒトラー)が原因。また,ソ連軍は作戦は素人同然で大量の戦死者を出しながらも物量でドイツ軍を圧倒したという描写があちこちに出てくるからです。

今回読んだ「独ソ戦」はまったく違います。ヒトラーの指揮とドイツ国防軍との見解に相違があったことは事実ではありますが,これによってドイツ軍の勝利が失われたとするのは見当外れもいいところです。なにより,ドイツ軍の勝利は何をすれば勝利できたのか,という最終目標がはっきり存在しないことを明らかにしています。

例えばドイツ軍がモスクワに迫った1941年のオペレーションタイフーン。その前の秋にヒトラーの指示による包囲戦によって時間を浪費したために,冬将軍の到来によって作戦の終了を余儀なくされたという伝説があります。まっすぐにモスクワを目指せば攻略できたと。

しかし,二重の意味で誤りがあると「独ソ戦」は指摘します。まず,当時のドイツ軍は補給が完全に滞っていて速攻は不可能であったこと。仮にモスクワを攻略したとしても,それがドイツの勝利を決定づけるものではないということです。ドイツ国防軍はモスクワの占領によってこの戦いが終わるかのような幻想を振りまいていますが,スターリンがモスクワを奪われたから降伏したかとなるとまったくの別問題です。

このほかにも,マンシュタインのことも取り上げられています。マンシュタインがドイツ陸軍においてきっての名将であることは間違いありませんが,彼がヒトラーの横やりを退けて思う存分に才能を発揮したとしても,ソ連軍の「作戦術」という独自の軍事ドクトリンには敗れていたとする記述は印象的です。

ドイツ軍の高性能機関銃の一斉射撃にバタバタと倒れても,なお無表情で圧倒的多数のソ連軍兵士が押し寄せてくるというゾンビ映画のような展開ではなかったのです。

なるほど,新書大賞を受賞するだけの本だと得心(とくしん)しました。

暴王ネロ柘榴(ざくろ)を食ひて死にたりと異説のあらば美しきかな(葛原妙子)

2020年10月22日 (木)

土鍋の使いみち あれこれ 

「今夜は鍋にするからね」という妻の話を真に受けて,帰宅早々,鍋に白菜,にんじん,しいたけ,豚肉,豆腐をいれて,昆布だしをふりかけ,酒を注いでひと煮立ち。

準備を済ませたものの,妻は仕事からなかなか帰ってこない。暇を持て余してテレビをボーッとながめて待つこと2時間弱。ようやく妻が帰ってきました。

私はポン酢,妻はごまだれ。アツアツの鍋を2人して向かい合って食べたものの,お互い中国ドラマを見たままで特段の会話もなし。子どもたちが巣立ってからは夫婦二人の夕食ですが,これまた寂しい夕食です。そもそも4人用の鍋に2人分の具材しか入っていないので,明らかに鍋がすかすか状態。これもまた寂しさを引き立てます。

ところでこの鍋はセラミック製です。私と妻がつきあって間もない頃,妻の職場の同僚が私を居酒屋に招待してくれたことがありました。そのときにいただいたのがこの鍋。なんとも生活感あふれる贈り物です。

夫婦2人にこんなでかい鍋をどうするの? って突っ込む暇もなく,子どもが生まれ,家族4人で鍋を囲むのにちょうどいい大きさとなりました。みんな将来の家族構成が分かっていたのかな,と思うぐらいのピッタリ感でした。

以来,20年以上この鍋をつかいつづけてきました。

5,6年前に炊飯器が壊れたときには,この鍋をつかってご飯を炊いたことがありました。おこげができていい香りがする,美味しいご飯ができたのに,娘たちには不評でした。おこげが美味しいと思うのは昭和世代なのかもしれません。

鍋とはいっても例外があります。それがすき焼き。すき焼きは鍋料理とはいえ,名前の通り「焼く」料理です。牛肉やネギ,白菜を炒めて割り出しと砂糖醤油で食べるという方が感覚的に近い。そういうわけで,我が家ではフライパンですき焼きを食べていました。それでも十分美味しかったんですよね。

さて,このセラミック製の鍋。このまま,使わずに過ごすのはなんだかもったいない。鍋を使ったいろいろな料理にチャレンジしてみようかな。

ささやかな小道具として買う土鍋「今年はチゲが流行るらしいよ」(俵万智)