2019年10月14日 (月)

4年間でプレースタイルを変えたスコットランド代表と成長した日本代表

昨夜はラグビーワールドカップ,日本対スコットランドの試合をテレビで観戦しました。

キックオフ直後はスコットランドにトライを奪われて先制されたましが,以後は日本がボールをキープ。左サイドへの展開から福岡のオフロードパスが松島につながり最初のトライ。次は中央でフォワードが突進しながらオフロードパスを連続して最後は稲垣がトライ。さらに前半終了間際,グラウンディングのキックパスを福岡が俊足を飛ばしてキャッチしてそのままトライ。すごい!

スコットランドは後半は完全に戦い方を変えました。まずディフェンス。タックルで相手を倒すのではなく,サンドイッチ状にしてモールに移行。アンプレイアブルでスコットランドボールのスクラムというシーンが何度も見られます。さらに日本のラックに対してスコットランドのフォワードが縦に突進。ラックを崩してターンオーバーというシーンが頻出。すさまじい圧力です。

スコットランドの後半のトライはバックスが両翼に展開して日本ディフェンスを振り回し,最後はフォワードが縦に突進してディフェンスラインを強引に突き破ってトライ。迫力満点でした。

4年前のイングランド大会。日本は南アフリカに大逆転勝利の3日後,スコットランドと対戦しました。このときはスタンドオフのレイドローにやられました。彼の多彩なキック攻撃(ハイパント,ドロップゴール,キックパス)。そしてディフェンスをきりきりまいさせた華麗なステップ,インターセプト。これぞヨーロッパスタイルという見事なプレイで,日本は完敗しました。

それが今回のスコットランドは完全にフォワード型のチーム。ここまでスタイルを変えるとは。

一方の日本も大きくプレースタイルを変えました。日本の伝統的なプレースタイルは,すぐにスクラムからボールを出し,バックス陣が大きく展開。パスは両手と堅実なプレースタイルでした。それがこの試合では,片手のオフロードパスを連発。アングルを変えたり,背面投げをしたり,そっぷを向きながらのトリッキーなパスまで。これが高速で見事に決まりました。ディフェンスも早い飛び出しが目立ち,福岡が相手ボールを奪ってのトライが生まれました。

そして一番の変化がフォワード。体型の小さい日本はフォワードが弱いというのが定評でした。しかし,外国出身選手が大勢入った日本は体格では負けていたものの,スクラムやモールでは負けていませんでした。勝負の行方を左右するのは相手の強みを消すことができるかどうか。そういう意味では日本のフォワードはスコットランドと五分五分に持ち込むだけの実力をつけていました。

テレビを見ながら選手達の動きにあわせて体が動きました。足を踏みならしました。思わず声を上げました。試合終了が近づくにつれて胸が高鳴りました。こんなに興奮したのはいつ以来かしら。

日本は28-21でスコットランドに勝利し,予選全勝で決勝トーナメント進出。最高にしびれました。

ハイパントあげ走りゆく吾の前青きジャージーの敵いるばかり(佐々木幸綱)

2019年10月13日 (日)

新入女性社員の輝きと,表情が失われていく中年男の顔

私の会社はビルの中にあります。エレベーターが設置されていますが私はほとんど階段を利用しています。階段では他の会社のひととすれ違うことも多く,ほとんど見知らぬ人です。

先週の金曜日,いつものように階段を上っていると若い女性とすれ違いました。すれ違いざまに彼女は私のほうをチラ見。踊り場で「はて誰だったかな」と思いつつ振り返ると,彼女も同じように上を見上げていました。

「私に何か用?」と声をかけると,慌てたように「どこかで会ったことがあったかなって思って」「ああ,そういえばこちらの仕事のことでお世話になったかも」と調子を合わせると,彼女は自己紹介を始めました。話をしながら彼女がまぶしいぐらいに輝いて見えることに気付きました。12月に採用されたと聞いて,なるほど納得しました。

私も新入社員と呼ばれる時期がありました。もう20年以上も昔のことですが。私が外回りの仕事をしていると,たまたまその様子を私の親戚が見ていたそうで「颯爽として,光り輝いていた」と周囲の人に話していたそうです。

当時はお世辞なのかと思っていましたが,そうではないんだなとこの歳になると分かります。新入社員は英語ではフレッシュマン。会社にも新しい風をもたらしてくれます。経験がなくとも夢と希望に満ちた新入社員が入ると,空気が変わります。

階段で出会った女性は背が高く,髪型はショートカットで顔は両側の頬にニキビがいっぱい。真っ赤な顔をしていました。ニキビのせいなのか,恥ずかしがっていたのか。私は「あなたって,はつらつとしているね。光り輝いて見えるよ」と思ったことをそのまま口に出し,オフィスに向かいました。

大宅荘一の名言に「男は40歳にもなったら自分の顔に責任をもたなきゃだめだ。男の顔は履歴書のようなものだ」があります。これは子どもの頃,父から聞いた話でしたが,もともとはリンカーンの言葉だったようです。顔で判断して閣僚の採用を見送ったリンカーン。それを責めた人にリンカーンは「顔が悪すぎる。40歳になったら自分の顔に責任を持て」と切り返したとか。

高校の同窓会に出ると,私が一番若いと言われ,「苦労が足りないからな」と冷やかされます。そうは言われても私は大学生の頃からこの顔です。大学生のときは「年齢不詳」と冷やかされました。一方,私の会社では年をとるにつれて顔から表情が失われていく人が多すぎます。50歳手前の私は「光り輝いて」いなくても,「悪い顔」になっていないことを願います。

少女眠る明日まく花の種子袋(青柳志解樹)

2019年10月10日 (木)

好き嫌いがなくなるときって,偶然の出会いが9割

私が保育園に通っているときは,好き嫌いの激しい子どもでした。当時はアルマイトの弁当箱にご飯をつめて,保育園にある保温器(冷蔵庫のような外見ですが,冷たくするのではなく温かくするのが目的の家電製品)に弁当箱を入れておき,給食の時間には保育園でつくった温食(おんしょく)と持参したご飯を食べるという組み合わせでした。

保育園でだされたおかずが美味しくなく,あまりいい記憶はありません。特にアルマイトのお椀に温かい牛乳を入れた飲み物は苦手。今でも記憶に残っているのは,弁当箱にナスビをまるまる入れて家に帰ったこと。「残さず食べなさい」と先生に言われたのにどうしても食べられなくて,こっそり弁当箱に隠したのでした。

家でも好き嫌いが激しく,鶏肉の手羽元を食べるとき,私は皮だけをたべて肉の部分は残していました。それが許されていたから甘やかされていたのでしょう。

小学校に入学してからもその性行は変わらず,給食がどうしても食べられなくて,お昼休みにも嫌いな食材を前にめそめそしているような1年生でした。

当時,萩原君という丸坊主の男の子がいました。いつものように嫌いな食材を前にメソメソしている私に「嫌いなものを全部一緒に口に入れるといいよ。味が混ざって分からなくなるから」と声をかけてきました。私の記憶はここで途切れています。以後,私が食べ物を前にメソメソした記憶はありません。私が好き嫌いなくご飯が食べられるようになったのは,間違いなく彼のおかげです。

でも,不思議なことに萩原君の記憶はこのときのやりとりだけ。他はまったくありません。おそらく転校して私のクラスに来て,すぐに転校して去っていったのでしょう。まるで私にアドバイスをするためだけに現れたかのように。

似たようなことはもう一つあります。私は小学1年生のときは勉強嫌いでした。宿題のプリントは机の裏に隠してまったくしませんでした。それが親に見つかって怒られ,提出したら担任の先生に睨(にら)まれ,胸が苦しくなった思い出があります。とうぜん成績も中の下でした。

それが2年生になったときに変わりました。担任の先生が病気のため,代替に一度退職した先生が担任になりました。今村先生という表情が柔和な優しい先生でした。この先生は私にいつも微笑んでくれました。勉強もおもしろくなり,成績もよくなりました。今村先生が学校にいたのはこの1年だけ。その後私は勉強が好きになり,学校が楽しくなりました。

運命と言えば大げさですが,出会いの不思議さを思わずにはいられません。人の性行は簡単に変わらないと思いますが,私は人との出会いで性行が劇的に変わるという体験を2度もしています。私にとっては年少のうちに,よい方向に導く人に出会えたことは本当に幸運でした。

私は運を大事にしてきましたが,人との出会いを大事にしてきただろうか。おざなりにしているとしたら,もったいない時間を過ごしてきたといえるかもしれません。

霧の中声を出さねば霧と化す(藤井亘)

2019年10月 9日 (水)

また始まったノーベル賞騒ぎ 報道価値は「日本人であること」

今夜のニュースでは,吉野彰氏がノーベル化学賞を受賞したことが大きく取り上げられていました。

私のブログでも吉野彰氏をとりあげたことがあります(2018年10月18日)。このときは吉野氏の小論「リチウム電池から未来が見える」についての所感雑感でした。

偉大な研究者だなと思っていましたが,まさかノーベル賞を受賞するとは思ってもみませんでした。ニュースでは吉野氏のほかに2人も受賞しているそうですが,外国人だからか報道されませんでした。ちなみに昨日はノーベル医学賞・生理学賞の発表がありましたが,日本人がいなかったために全く報道されません。ノーベル賞を受賞するほど人類に貢献していても,日本人でなければニュースの価値がないんですね。

最近は日本民族賞賛番組が跋扈(ばっこ)しています。ラグビーワールドカップの報道もプレーの素晴らしさを伝えるものよりも,日本流のおもてなしに外国人選手が感動したとか,日本人の観客を海外メディアが賞賛しているとか,ちょっとした話題ならともかく,こちらの方がラグビーのプレーより大きく取り上げられていることに驚きます。

私も日本人ですから日本のことが褒められるのはうれしい。ですが,日本開催なのにラグビーワールドカップの試合がすべてテレビ中継されているわけではないという事実をつきつけられると,日本人のほとんどはラグビーという競技に関心がないことがみえみえです。

ブラックな言い方をすれば,ラグビーのことに関心がなくとも,ラグビー選手や外国人観客をもてなすことができる日本人がたくさんいるという事実が賞賛すべきことなのかも知れません。

さて,ノーベル賞の話に戻ります。ノーベル賞で特に話題になるのが平和賞と文学賞。とくに文学賞は村上春樹が候補になっているという本当かどうか首をかしげる報道が何年も続いています。こういう報道する人に聞いてみたい。では文学賞の候補者は村上春樹以外に誰がいるのかと。村上春樹以上に候補者となって落選し続ける人が何人いるのかと。

報道をする上で,正確な事実に基づくことは前提条件ですよね。単に日本人を心地よくさせるために,不正確なニュースを流すのは私は不愉快です。かつて北朝鮮の金正日が死去したとき,北朝鮮は間もなく崩壊するとの報道が雨後の竹の子のようにでていました。あれから20年以上経ちますが,北朝鮮は崩壊するどころか原子爆弾や大陸間弾道ミサイルを開発し,経済が崩壊するはずの北朝鮮から大量の難民が日本に押し寄せることもありません。あのときの報道も日本人の気持ちをよくさせる偽情報(トランプに言わせるとフェイクニュース)だったのでしょう。

ここまでくると報道と言うよりエンターテイメントです。村上春樹報道も,さきにあげたように他の候補者に関する情報がまったくないならば,私はフェイクニュース(あるいは日本人向けのエンターテイメントニュース)と考えて間違いないと思います。

にっぽんの処女(おとめ)はいかにおろかにて美(うるわ)しきかなマノン・レスコオ(坪野哲久)

2019年10月 8日 (火)

スーパー台風の接近を千葉県の被災家屋のクローズアップで読み解く

週末の3連休に日本列島に上陸するかもしれない台風19号は,気圧が915ヘクトパスカルと猛烈な台風になりそうです。1ヶ月前の台風15号の影響で被害を受けた千葉県の住宅が夜のNHKニュースで報道されていました。

沖縄県のような台風常襲地域ではこんな被害はないのに千葉県だけどうして被害が大きかったのか不思議です。たぶん台風に対する備えが沖縄や南九州ほど徹底していないんでしょうね。

南国鹿児島では大雪が降ると交通事故が多発します。車社会なのにチェーンをつけずに走行しようとするから雪の日はノロノロ運転,スリップ多発。昔は大雪が降ることなんてめったにないことだったのですが,地球温暖化が喧(かまびす)しくなった2000年頃から,2,3年に一度はここ鹿児島にも2,3日は残るほどの雪が降るようになってきました。でも,めったに降らない雪に備えてチェーンを買うなんて気は起こらないらしく,いつになっても同じことの繰り返し。人間の心理がよくわかります。安心・安全よりもコスパが大事。おそらく,千葉県は台風の風の被害がこれまでほとんどなかった地域だったのでしょう。だから住民もインフラも備えが鹿児島に比べて弱かった(安上がりだった)可能性が高いと思います。

青いビニールシートで屋根を覆う家の持ち主は,台風の進路や影響が気が気でないでしょうけど,それをわざわざテレビで報道する理由がよくわからない。どの報道機関も同じ話題(千葉県の被災住宅)というのも芸がないと思いませんか。台風の進路を心配している人は千葉県以外にもいるはずなのに。

大型連休ではかならず数十キロ続く高速道路の渋滞がニュースになります。このニュースは高速道路を利用する人に,警告や計画の変更を促すのでニュースの価値があるのはわかります。でも,今の千葉県の被災住宅をとりあげる理由が私にはよくわかりません。もっと被災住宅の復旧工事を急ぐべきだというメッセージなのでしょうか。

単に千葉県は東京に近いので,東京に本社があるマスコミ各社の取材が安上がりだからという理由だったら,妙に納得できるんですが。安心・安全をやかましくいっていながら,実はコスパが理由だなんて,マスコミは口が裂けても言いませんよね。

<はじめに言葉があった> 幼(おさ)な児が眼みはって嘘をついてる(香川ヒサ)

2019年10月 7日 (月)

高校生に負ける弱いレブナイズ 山田安斗夢よカムバック! 

B3が開幕した9月15日以来,鹿児島レブナイズの試合がありません。どこで何をしているんだろうとレブナイズのホームページを開くと最近のニュースを開いて見ていました。

天皇杯の試合が徳島県で開催され,初戦は完勝したものの次の試合では敗退していました。その相手がなんと高校生。福岡第一高校でした。確かにインターハイで優勝が狙えるほどの実力チームですが,B3のチームは一応プロですよ。大ショックです。

かつて阪神タイガースが弱かった頃,PL学園と試合をしたら負けるんじゃないのかという噂が関西圏で流行していました。まあ,関西風の笑いと言えばそれまでですが,1985年に優勝するまで20年以上経験がなかったわけですから,阪神ファンはPL学園のようになってほしいという願いを込めてのジョーク(笑い)だったと理解しています。

サッカーの天皇杯もアマチュアのチームがJ1のチームと対戦して勝利することもあります。でも,こちらは注意深くスタメンを見てみるとJ1は明らかに控え選手が中心の構成です。週末はJリーグの試合があるため,水曜日に天皇杯の試合が行われるようで,Jリーグを重視するチームはトップ選手を休ませる戦略をとるようです。だからといって控え選手もそれなりに実力はあるわけですから一発勝負は分からないですね。

でもサッカーとバスケットは同じなんでしょうか? ラグビーは日本チームが南アフリカやアイルランドに勝利し番狂わせと大騒ぎになります。それぐらい下位チームが上位チームに勝つのは困難です。しかし,スポーツはたいてい下位チームでもチャンスがあります。例えば野球でも最下位のチームが優勝するチームに勝つこともあります。もちろん勝率は悪いですが優勝チームが全勝することはありません。

ところがバスケットもラグビーと同じように強いチームは負けません。逆に弱いチームは負けてばかり。レブナイズは弱い。だから上位チームに勝つことはまずありません。同レベルのチームであれば勝ったり負けたりということもありますが,ランキングどおりでまず間違いありません。

そのバスケットで高校生相手に負けるレブナイズ。どうなっているの? 選手を温存したの? まさかね,そんな過密日程じゃあるまいし。

レブナイズは山田安斗夢がいなくなって寂しくなりました。ドリブルでゴール下に切り込む山田のプレーは見応えがありました。今のレブナイズにはそんな選手はいません。ポイントガード的な選手がボイキンとは悲しすぎる。ボイキンはリバウンドもよし。ドリブルもよし。3Pシュートもよしのオールマイティ選手ですが,彼に頼り切っててチームのバランスが悪すぎます。

レイブズのようにYUU(紫村優羽)ちゃんがいなくなっても,SHIHOちゃんの素敵な笑顔でおつりがでるくらいカバーしているように,いい循環になればいいんですけどね。

「幸せになれよ」で終わる懐かしい声を聞きおり留守番電話(俵万智)

2019年10月 6日 (日)

「野菜にもこぼれ種があるって初めて聞いた」 私は狙っていました

今日の夕方は市民農園に行きました。

かぼちゃがまだ残っていて花を咲かせています。白くて直径10センチぐらいの実が5個ほどついていました。ずいぶん時期が遅れていますが,来週大きくなっていくのか楽しみです。何しろ苗を2本上ながら収穫できたのは3個だけ。うち1個は直径が15センチ程度しかないミニカボチャ。大きく育つことを期待します。

かぼちゃのことを妻に伝えると「土に付いたままだと腐れるよ」と嫌な顔をしていましたが,私の畑は基本的にクローバーが生えているし,春には麦わらを敷き詰めていているので土が露出しているところはありません。妻に大丈夫だと答えておきました。

新しい発見がありました。2週間前に種をまいていた大根が1つ,ロゼッタ状態になっているのを見つけました。嬉しい。20個ぐらい播いて1個だけというのも確率が悪いということも言えますが,たった1個でも収穫できそうと期待が高まるのもまたうれしいのです。

そしてチンゲンサイ。店先で売られているチンゲンサイの苗ぐらいに育っていました。今年は種をまいていません。実はこれ昨年のこぼれ種です。昨年はチンゲンサイの種をまいてたくさん収穫できたのですが,たくさん育ったうちの数本は収穫せずにそのまま花を咲かせました。市役所から「雑草が生えていますので畑をきれいにしてください」という苦情が来たのでやむなく刈り取ったのですが,先に咲いた花が実をつけて畑に飛び散っていたようです。これもまたうれしい。たった1つだけですが,昨年のこぼれ種だと分かっているから望外の喜びです。

妻が「野菜にもこぼれ種があるって初めて聞いた」と妙に感心していました。

市民農園を管理する市役所の職員をはじめ,周囲の借主からは雑草が茂っている畑としか見えない自然農法ですが,土が露出しないように配慮しているからかぼちゃが収穫できるし,薹(とう)がたっても放置して花が咲き,実がなるまで我慢するから新たに野菜の種を買わなくても翌年に収穫できる。

それじゃあ土地生産性が低いだろうって? 確かにそのとおりです。でも費用対効果から考えるとどうでしょう。肥料を買わない。種や苗も少ししか買わない。畑に行くのも週に1回。水を撒いたこともない。草刈りは畑の周囲だけだから作業時間も1回あたり30分以内。野菜はできた分だけ食べて十分。我が家の食卓に彩りを添えてくれます。野菜以外でも,春に収穫した麦はまだたくさん残っていて,いつもご飯にまぜて食べてます。

それにひとつ私は言いたい。周りのひとはたくさん野菜の苗を植えて収穫していますが,そんなにたくさんひとつの種類ばかり作って食べきれるんでしょうか。近所の人にお裾分けするのが目的なんでしょうね。でも私は自家消費分だけつくります。それが目的なんだから。私は農家じゃないんだから市民農園で土地生産性をあげる必要性を感じません。だから,私と市役所の職員とは会話がかみ合いのも当然。ただ,市役所のメンツをつぶしてもいいことはないので,苦情がくればメンツをたてるために草刈りをして「私はあなたに従順です」とアピールするだけです。

帰り道,山の端に沈む夕日が,とっても赤く,そしてとっても大きく見えました。明日も晴れていい日になりそうです。

しずかなるみのりとなりし早稲(わせ)ありて水路の水の光る夕暮れ(板宮清治)

2019年10月 5日 (土)

壊れた試合を見せられたサポーターの気持ちもわかってほしいぞ 赤尾!

午前中に実家に戻り父と囲碁を4局打ちました。私が2子置いて3勝1敗。母がもうちょっとゆっくりしたらどうね,という声を聞かずに自宅にとんぼ返り。午後2時から鹿児島ユナイテッド対新潟の試合がDAZNで生中継されているから。

テレビをつけたらキックオフしたばかり。ぎりぎり間に合いました。

4連敗中のユナイテッド。最近8試合はすべて先制されていて,特に前半20分あたりで立て続けに失点するケースが目立ちます。ほとんどはゴールキーパーアンジュンスとボランチのパス交換をインターセプトされての失点。これだけ痛い目に遭っているのに今日もまた同じことをやっていました。

終わってみれば0-6の大敗。7月の大宮戦以来の大量失点です。

ユナイテッドは相手陣内に何度も攻め込むもののクロスやシュートが不正確。一方新潟はワンチャンスで確実にシュートを決める。ばかばかしくなってきます。シュート力以外のことで両者の違いを指摘します。

ひとつは球際。ユナイテッドはパスの受け手の足が止まっています。ボールが来るのを待っています。一方,ボールを奪おうとする相手ディフェンスは走ってくるので当然球際での競り合いでは威力が違います。結果せめぎ合いで負けます。

次がシュートを打つために前線にあがっている選手のポジショニング。アタッカー陣がキーパーとほとんど同じ位置まであがっていること。クロスがあがってもアタッカーは止まったままでシュートを打つことになります。これでは相手ディフェンスも対応が簡単です。

では,ディフェンスが難しいのはどういう場面か。それは自陣ゴールに向かって走りながら相手FWのマークにつくことです。体はゴール方向に向かっているから,ボールをクリアするのは体を反対にひねらなければならず,通常はこんなことはできません。全速力で走っているときはなおさらです。

すなわち全速力で相手キーパーの前に走り込んでシュートを打つか(ニアサイド),ボールがキーパーとディフェンスを飛び越えたきたところでシュートを打つか(ファーサイド),のどちらかを選択したクロスをあげるのがセオリーです。

新潟はそれができていて,鹿児島はそれができていない。鹿児島はニアサイドの選手は足がとまっている。鹿児島のファーサイドには選手がいない。個人の技量の問題ではありません。

ディフェンスも最悪。ユナイテッドは数がそろっているのに新潟のFW1人にシュートを決められるんだからがっかり。3点差がついた後は無残でした。センターバックの赤尾は精神的に切れていたのか,クリアでもたついてシュートを決められ,最後はオウンゴールまでやらかしてしまいました。だめだこりゃ。

こんな試合を見るぐらいなら,実家にもうしばらく残って家族と話でもした方がよかった。せっかくDAZNに加入したのに不愉快な思いばかり。こんな思いをするために金を払っているんだからバカみたい。ユナイテッドの選手達はアウェイでは負けてもいいと思っているのか? アウェイでも試合を見ているユナイテッドサポーターはいるんだぞ,知らないの?

独り言を思わず言ってハッとして気味の悪さにまた一つ言う(夢野久作) 

2019年10月 4日 (金)

「ブレードランナー」と「機動警察パトレイバー」と「アムネジア」

先日,録画しておいた映画「ブレードランナー2049」を見ました。

この作品は,数年前に公開された映画です。私は映画館で見ようと考えていたのですが,鹿児島のアミュプラザに週末見に行ったときには,すでに別の映画に切り替わっていました。

当時は全然噂にもならなかったので,たいしたことはなかったのだと思いつつも,あの名作SF映画「ブレードランナー」の続編ということで,BSを録画しておいたのです。

「ブレードランナー」はSFファンなら誰もが必ず見たことのある映画です。そしてこの映画を見たことのない人も,「ブレードランナー」の世界観に影響を受けた映画,ドラマを必ず見ているはずです。一度も見ていない人はこの映画をみると既視感(デジャブ)を覚えるはずです。

機動警察パトレイバーというアニメがあります。押井守監督の映画が最も有名ですが,少年サンデーに連載された「ゆうきまさみ」のコミックもストーリー展開や会話のやりとりが秀逸。また,オリジナルビデオシリーズやテレビシリーズもいい味をしています。

このシリーズに「その名はアムネジア」という回があります。冒頭,パトレイバーの主要キャラクターの一人である大田巡査が同僚を殺していく夢をみるシーンがあります。この世界こそまさに「ブレードランナー」。ちなみに菊池秀行の小説に「風の名はアムネジア」がありますが,タイトルはこちらから剽窃(ひょうせつ)したのは間違いないでしょう。そういう意味ではパロディづくしですよね。

アムネジアとは英語で記憶喪失のこと。大田巡査が記憶を失い,自分を殺人犯と信じて苦悩しながら町をさまよい歩くストーリーなのですが,最後のどんでん返しを知らない視聴者は心配しながら見守るような展開です。押井守の真骨頂発揮というところでしょうか。

ところで,「風の名はアムネジア」は全世界の人々が同時に記憶喪失になったという設定です。記憶を失った人々は文明の機器を使用することができず,言語も失ったためにコミュニケーションをとることもできず,世界は大混乱。そんな世界で,ひとりの少年がアメリカを旅し,ニューオーリンズの町でガラクタをもって音楽を演奏する人々を見つめ,未来が少しづつ明るくなっていることを感じさせるシーンで終わります。私が中学生のときに読んだ小説ですが,「アムネジア」という語感が新鮮で,今でも記憶に残っています。

そして「ブレードランナー2049」。主人公の男性はレプリカント(人造人間)のため,子どもの頃の記憶がありません。そして彼のもっている記憶の正体を追求することがこの映画のキーとなります。さきにあげたような,私がこれまで体験したアニメ,小説の世界が入り交じっているようで,静かな驚きを覚えました。映画のラストを見終えたとき,しばらくは席から立てない不思議な迫力がありました。

ひっそりと世の片隅に生きるぼく。なぜかクローンともう知れていて(松宮静雄)

2019年10月 3日 (木)

映画「ブライトンの奇跡」ってラグビーの映画だったんだ

家ではDAZNを見ています。ラグビーワールドカップが日本開催と言うことで,日本以外の試合も見れるのかと期待していましたが,半分程度はテレビ放送がありません。DAZNがあれば大丈夫だと思っていましたが,実はハイライトの配信。これじゃ生中継の興奮が味わえません。しかもハイライト編集は試合終了から6時間後。これじゃあ翌日に見るしかないよなあ。

そんなハイライト集にまじって「ブライトンの奇跡」という番組がありました。なんだろうと思って見てみると映画でした。

ブライトンとはイギリスの都市。ラグビーワールドカップ2015はイングランドで開催。そのとき日本は初戦で当時世界3位の南アフリカと対戦し,世紀の番狂わせといわれる大逆転勝利をつかみます。この試合が行われた場所がブライトン。日本の勝利は「ブライトンの奇跡」と呼ばれているそうです。

映画のストーリーは単純です。弱小ラグビー国の日本が監督にエディ・ジョーンズを招聘し,キャプテンには外国人のリーチ・マイケルを指名。これまで日本人中心だったチームが外国人の混成チームになります。そしてエディは日本代表に猛特訓を課します。選手達は反発し,練習をボイコットしようとしますが,リーチマイケル,五郎丸らが「負けたくない。そのためには練習しかない」とチームを引っ張ります。150日間に及ぶ強化合宿を終え,日本代表は勝つべくして南アフリカに勝った,そんなストーリーでした。

久しぶりに見ました。スポ根ものを。練習に次ぐ練習,手を抜こうとしたらエディから叱責,罵倒される。それをバネにして選手達はさらに練習に励む。でも,このシーンが本当にしょぼい。ハードなトレーニングって絵が撮れていない。伝わってこない。

これ,一応映画なんですが,役者の演技は下手。役者は本人に似せてメイクをしているんでしょうけどほとんど似ていない。役者の発声が悪くてセリフがよく聞き取れない。

「インビクタス 負けざる者たち」(クリント・イーストウッド監督)というラグビー映画あります。こちらの主人公は南アフリカのスプリングボクスの選手とマンデラ大統領(モーガン・フリーマンが演じています)。実話をもとに制作されているのですが,すごい迫力でラグビーというスポーツの素晴らしさが伝わってきます。そして黒人と白人の融和を呼びかけるネルソン・マンデラを演じたモーガンフリーマンは本物そっくり。すごい映画でした。

二つの映画を比べるのは酷ですね。でも,「ブライトンの奇跡」なんて映画よりも,実際の日本対南アフリカの試合と,関係者のインタビューで構成するドキュメンタリーの方がずっとよかったですよ。役者の再現ドラマははっきりいって蛇足もいいとこでした。やっぱり,本物にはかなわないってことですね。

香を焚きあなたを待てど我が部屋は図書館みたいと言われてしまう(俵万智)