« 「イギリス政治に見る野党観」を読む | メイン | 東大卒の落語家春風亭昇吉の講演録「落語家その知られざる世界」を読む »

2022年9月19日 (月)

「日本経済の長期低迷と家計に見られる変化」を読む

小論「日本経済の長期低迷と家計に見られる変化」(村田啓子)を読みました。

小論の内容は、

バブル崩壊後、余剰人員を抱えた企業は、人件費削減のために従業員の賃金を抑制するとともに新規採用を絞るようになった。(これは私がこれまで勤めた会社にぴったり当てはまります)

このとき、正規雇用を抑えたことによって非正規雇用は増加していきます。この結果、実質賃金上昇率は1990年代後半にマイナスに転じました。基本給も下落します。

さらに顕著な変化として女性の就業率が上昇します。増加したのは非正規雇用者。共働き世帯が専業主婦世帯を上回るようになったのも1990年代です。共働き世帯はその後急速に増加し、2018年には専業主婦世帯の2倍を上回るようになります。

そして、長寿化、晩婚化、少子高齢化により、高齢世帯や単身世帯が増加します。

この3つの変化により、家計の1世帯当たり消費支出は、日本経済がバブルを終えた直後の1992年をピークに緩やかに減少していきました。

世帯主年齢階級別にみると、30歳代以下の世帯で世帯主収入減が大きくなっていて、配偶者収入はどの年齢層でも増加していることがわかります。とはいえ、世帯主収入に対する配偶右車収入の比率は2019年には20%弱。これでも伸びてきているんです。

日本の家計消費に占める高齢世帯の割合は上昇し、世帯主が65歳以上の高齢世帯の消費額は2000年には2割弱だったのが、2021年には4割弱にまで上昇しています。高齢世帯や単身世帯は世帯あたりの消費水準は低くても、数が多いために存在感が増しているのです。

高齢世帯の消費水準は年齢が高くなるほど低下します。自分の平均余命までに総資産を使い切るがくを基準とすると、60歳後半ではその7割、70歳半ばでは5割に満たないのです。長寿や病気への備え、遺産動機、住宅資産が流動化されにくいことなどが原因と思われます。

以下は私の意見です。

日本経済の消費低迷は、ずばり高齢世帯の増加です。団塊の世代は1945年から1950年に生まれた人たち。現在、70歳代の人たちです。あと10年は生きるでしょうから、景気低迷はまだ10年は続きそうです。

10年後に団塊世代が世を去り、住宅資産等がだぶついてくるでしょう。空き家問題がより一層深刻化しそう。この空き家こそビッグチャンスだと思うのです。相続関係図作成が得意な私にとっては、ビジネスチャンスなのかもしれません。

祖父逝けり一人の妻と五人の子、九人の孫と二人のひ孫(俵万智)

トラックバック

このページのトラックバックURL:
http://app.synapse-blog.jp/t/trackback/716622/34253037

「日本経済の長期低迷と家計に見られる変化」を読むを参照しているブログ:

コメント

コメントを投稿