「エンザーキー・イーナーホー」の謎が気になって眠れない男
私が大学生活を過ごした京都の町には,「餃子の王将」がたくさんあります。百万遍にも王将があり,少林寺拳法部の稽古で汗を流したあとは,部の仲間達と一緒に王将で晩ご飯を食べるのが定番コースでした。
ある日,仲間の一人が「餃子の王将にいくと,必ず一度は店員が『エンザーキー・イーナーホー』と言ってるんだ。これがどういう意味なのか,最近気になって夜も眠れないんだ」と切り出しました。
そんなことを意識していなかった私は,そんなことを言っているかなと半信半疑。ご飯を食べながら店員の声に注意していると,確かに似たような声を出しています。たまたまお冷やのおかわりに来た女性店員が若くてかわいかったので「エンザーキー・イーナーホーってどういう意味ですか? 私の友人が気になって夜も眠れないんです」と訊ねてみました。
驚いたような表情をみせながら,おどおどと「鶏の,からあげ,ひとつ,お持ち帰り,です」と知られてはいけない秘密をこっそりと打ち明けるように教えてくれました。
詳しく聞くと,王将ではメニューなどに隠語があるとのこと。エンザーキーは鶏の唐揚げ,イーガルコーテーは餃子,ソーハンはチャーハン,ソーメンは焼きそば。
ナーホーはお持ち帰りの意味。イーナーホーはひとつお持ち帰り。リャンナーホーは2つお持ち帰りという具合です。お客さんのオーダーを厨房に伝えるときに使います。このときに「ナーホー」がないと店内で食べる,という意味になります。例えば「ソーハン・イー」(チャーハンひとつ)とか。
王将に毎日のように通って2年は経っていたでしょうか。それまで全然気にならなかった私は注意力が散漫ということなのかも。だからと言って,気になって眠れない友人も相当な変人だとは思いますが。
ところで,エンザーキー・イーナーホーが気になっていた友人は,今では年賀状のやりとりぐらい。10年ぐらい前に東京出張にいったときに一緒にご飯を食べたことがありましたが,なんだか話があわず,それっきり会っていません。人はどんどん変わっていきます。
また,餃子の王将での食事はそれ以上にご無沙汰です。今でも「エンザーキー・イーナーホー」が店内にこだましているんでしょうか?
今日風呂が休みだったというようなことを話していたい毎日(俵万智)
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