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2022年9月18日 (日)

「イギリス政治に見る野党観」を読む

小論「イギリス政治に見る野党観」(近藤康史)を読みました。

イギリスが2大政党制をとっているのは有名ですね。日本が細川内閣のときに小選挙区制を導入したときは大変な議論になりましたが、そのお手本であるのはイギリスであり、アメリカといったアングロサクソン系の政治制度でした。

この小選挙区制を導入したときに政党助成金という制度が生まれました。国会議員の数や得票数で正当に税金が配分される制度です。最近はNHK党がこの制度を悪用して、政党助成金をNHK受信料不払い訴訟に充てるというバカバカしい選挙を展開していたのは記憶に新しいところです。

さて、ではシャドーキャビネット(影の内閣)など、日本が参考にしているイギリスでは政党助成金はあるのでしょうか。そこに両国の野党の存在感を切り口に論じているのが、標題の小論です。

小論を要約すると以下のとおりです。

イギリスでは「ショートマネー」と呼ばれる、野党のみに配分される公的資金がある。イギリスでは日本やドイツのような政党交付金制度はなく、野党のみ公的資金が配分される点に特徴がある。

ショートマネーの使徒は、1 議会での用務、2 旅費、3 野党党首事務所の運営費、の3つに限定されていて、日本のように選挙活動に使うことはできない。(もちろん、NHK受信料不払い訴訟に使うこともできません)

イギリスでは、大臣以外の議員は官僚との接触が禁じられています。そうなると官僚機構を利用できる与党に比べ、野党は政策立案などで不利です。野党がその不利を克服して議会での役割を果たすためには、野党への支援が必要という理由で導入が検討されました。

イギリスでは与党と野党の間での政権交代可能性を前提とした競争的関係が基礎にあります。与野党の競争こそ、有権者の意向にあう効果的な政治運営・政策形成につながるという見方です。

なんとイギリスの下院では、「野党の日」もあります。1会期につき20日が「野党の日」として割り当てられ、野党が選択した議題について議論が行われます。(これだと安倍元総理の国葬をめぐる国会での与野党の駆け引きがバカバカしくなりますね)

以下は私の意見です。

日本が自由民主党が圧倒的に強く、健全な野党はいまだに存在しません。小選挙区制度によって政権交代の可能性は高く、細川内閣だけではなく、民主党政権が誕生したのもあながち日本にとって悪かったとばかりは言えないでしょう。

しかし、残念ながら、民主党政権は迷走を重ねすぎました。子ども手当、高速料金無料化などなど、国民へのバラマキばかり。「2位じゃだめなんですか」という事業仕分けも遠い記憶の彼方へと飛んでいきました。最大の汚点は普天間基地移転の迷走と尖閣諸島問題による日中関係の悪化です。外交をここまでこじらせた責任はあまりにも重い。(菅総理による東日本大震災・原発対応は偶発的なので、そこまで民主党の責任にするつもりはありませんが)

その結果、NHK党や参政党など、わけのわからない政党が多数登場し、逮捕されるかもしれないと国外に脱出して国会に出席する見込みがない暴露系ユーチューバーのガーシーが当選する事態となっています。もっとも自民党では生稲晃子も当選しているのではどっちもどっちですが。

結果としては、日本国民は政治的な運営失敗のつけを負います。当然ですね。生稲晃子に投票したバカやガーシーに投票したバカがいるわけですから。イギリスでは格差社会が広がっていて貧困層が増えていると聞きます。イギリス貧困層はやっぱりこういうバカな候補者に投票をしているんでしょうか。

太陽光パネルのついている家もいっしょになってすすむ夕暮れ(阿波野巧也)

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