2019年8月 8日 (木)

最低賃金を全国一律1500円!? で考える鹿児島での暮らし

日本には最低賃金法という法律があります。雇用者がその最低賃金を下回る賃金で労働者に仕事をさせた場合は罰せられます。簡単にいうといわゆるブラック企業です。

そう考えると最低賃金は労働者を守る素晴らしい制度だと思えますが、リバタリアン(自由至上主義者)は悪法だと非難します。ちょっと考えてみましょう。

現在、時給1000円で10人を雇っていた場合、1日の賃金は8時間×1000円×10人で8万円になります。これを時給1500円にした場合、単純に1.5倍すると12万円の賃金を支払わなくてはなりません。しかし、賃金を上げても売上げ(利益)が変わらない場合、単純に4万円の損失が生じます。そうなると会社からすれば4人を解雇しないといけません。すなわち、最低賃金の引き上げは労働者の総数の減少を招くことになるのです。

話はここで終わりません。日本では労働者を簡単に解雇できない仕組み(最高裁判例など)になっています。となると、次に会社が選ぶ道は新規採用を抑制することです。現に最低賃金が1000円を超えているヨーロッパ(EU)では、若者の失業率が驚異的な高さを記録しています。日本のロストジェネレーションどころの騒ぎではありません。

では政府が補助金をだせばいいではないかという考え方もでてきます。れいわ新撰組の公約でも、最低賃金を全国一律1500円にして不足分は政府が補助する、としています。でもこれは簡単ではありません。

例えば時給1000円で雇われている人が500万人いたとしましょう。差額の500円×8時間×20日×500万人で月に4000億円の補助金が必要になります。1年だと約5兆円です。日本の予算が約100兆円。そのうちの半分は借金の返済(国債償還)ですから、単純に支出の1割が最低賃金の補助に使われることになります。そんなバカな! でしょう。

500万人も対象者がいるはずがないと反論する人もいるかもしれません。しかし、非正規雇用が全労働者の半数近くいると考えるとそんなに馬鹿げた数字ではないとわかるはずです。さらに賃金の補助額が企業の言い値になってしまうと恐ろしいほどの高額になりかねません。制度の実現性は「ゼロ」と断言できます。

仕事の帰り、会社の同僚と最低賃金のニュースの話になりました。「鹿児島も時給1000円になるのかね。今日のニュースじゃまだ800円にも届かないのに」「いやあ、そもそもあの議論は論点がずれてるよ」「そりゃどういうこと?」「最低賃金とは生活コストだよ。そのぐらいの額を確保しないと生活できないって意味。だから東京が1000円というのは1000円ないと暮らせないほど生活コストが高い。逆に鹿児島は生活コストがそれだけ安い。鹿児島県の最低賃金は全国最低でも平均所得は全国で40位以内。この差がつまり生活水準がそれだけ高い、暮らしやすいってことさ」「なるほどね。発想の転換だな」

なにごとも複数の視点から検討する、考えてみるって大事ですよね。鹿児島も最低賃金が低いことをやたら卑屈に考えなくていいんですよ。

満員のスタジアムにてわれは思う三万という自殺者の数(大松達知)

2019年8月 7日 (水)

アミュ地下フードコートの奇妙な人々 電話男の巻

仕事の帰り、バスの待ち時間にしばしばアミュ地下のフードコートに立ち寄ります。ミックスナッツをつまみに缶ビールを開け、喉を潤しながら本を読みます。長くても30分程度ですが、一人で読書をするにはいい空間です。

今年7月2日のブログにも書きましたが、毎日のようにフードコートに立ち寄るといつも見る顔というのがわかってきます。今日もそんな常連客を見かけました。

常連の彼は一見して30代のサラリーマン。いつも半袖のワイシャツにスーツズボン。顔は浅黒く目の下には大きな隈(くま)。ガラケーを耳に当て、空いているもう片方の手はいつも髪の毛をせわしくつまんでいます。視線は常に四方八方に向けてキョロキョロ。そんな彼の存在に気づいたのは数週間前のことです。

私がテーブル席でビールを飲んでいるときに視線を上げると、10mほど離れた座席でキョロキョロしている彼(以下、電話男)の存在が目に入りました。ビールを飲む度にこちらを見ている電話男の姿が目に入るのが嫌になり、席を移動して彼に背中を向ける側の席につきました。

5分もしないうちに私の隣の席に一人の男性客がどかっと腰を下ろしました。目障りだったその電話男でした。「なんでここに来るんだよ(怒)」と思わず声を上げたくなりましたが、大人げないので無視してビールを飲み続けました。

電話男は隣の席でタブレット端末上で将棋を始めました。食事も飲み物もなし。「しょっちゅうここに来てただの暇つぶしかよ」と呆(あき)れましたが、だからといって害もないので放置していました。するとまた5分もしないうちに立ち去りました。「ああよかった」と思いながら私はビールを飲み干しました。数分後、バスの出発時刻が迫ってきたのでバス停に向かおうと席を立ったとき、再び彼に気がつきました。そう、電話男は席を数分おきに移動していたのです。

今日も電話男がいました。いつものようにガラケーを耳に当てています。「よくまあそんなに話すことがあるよなあ」と思いながらもなんだか違和感を感じ、今日は彼を観察し続けました。視線があわないように注意して。数分後、やはり彼はたちあがり、ガラケーを耳に当てたまま、フードコートのなかをキョロキョロしながら歩き続けます。私の席のすぐ後ろや前の通路などを何往復も。そして私は違和感の正体に気づきました。彼が一言も発していない、口をまったく動かしていないことに。

そう、彼は電話をしているポーズをとっているだけだったのです! 毎日30分以上も!!

私がここに滞在するのは長くて30分。ひょっとしたら彼はその前後もずっとこのポーズをとったままここに居座っているのかもしれないと思うと、なんだか恐ろしくなってきました。ハンターのように何か獲物を狙っているのでは? と勘ぐりたくなります。

次に見かけたときには彼の後ろに立ってみて、彼の視線を追ってみようかしら。少しは彼の考えを理解できるかも知れません。ちょっと怖いですけど。

「結果として」を上につければわが行動の大方は説明がつく(高瀬一誌)

2019年8月 6日 (火)

カラダにいい!がカラダを壊す そして、薬をやめれば病気は治る

「カラダにいい!がカラダを壊す」(亀田圭一)を読みました。

私の周囲には健康オタクの人たちがたくさんいます。その人たちはそれなりにすごい努力をしているので、それはそれですばらしいとは思います。しかし、どうも私は気乗りがしません。いつも違和感を感じてしまいます。

この本には健康オタクの人が陥りやすい「一点豪華主義」の短所を指摘し、バランスのとれた生活こそが大事であることを強調しています。例えば筋トレ。マシーンをつかった筋トレはその部分の筋肉しか鍛えることができません。ヒトは複数の筋肉を連携して動くわけですから、特定の部位だけ鍛えてもそれはボディビルダーのような見せる筋肉でしかないとのこと。通常の生活やレクレーションとしての運動・スポーツをするのであれば、その目的に応じた筋トレをすれば十分。ジムに通ってバーベルや鉄アレイを持ち上げるようなことは不要であるばかりか害もあるようです。

そして野口体操も取り上げていました。私も整体の野口の著書「風邪の効用」を読んだこともあるので腑に落ちました。人間としての自然快復力を信じ、その力が発揮できるようにカラダを整えることが健康法であるという趣旨です。風邪も悪者扱いせず、風邪をひいたのはカラダにたまった歪(ひず)みを直すためだと理解すれば、対処法もまた変わってきます。

「運動よりも活動」、「ランニングよりもウォーキング」を薦めていましたが、これは私も納得です。ジムには自家用車で通い、会社ではエレベーターを使う健康達人たちの生活ってなにかひっかかります。私は、普段のくらしや通勤では公共交通機関を使うか徒歩です。会社内では階段を利用します。日頃はできるだけカラダを使うようにしています。畑の草刈りも機械は使わずに鎌を使います。別にカラダを鍛えることが目的ではありませんが、過度に便利な暮らしって電気やガソリン無駄遣いと考えちゃうんですよね。

そして同じような考え方の本「薬をやめれば病気は治る」(岡本裕)もあわせて読んでみました。

「長生きしているのは薬をほとんど飲まない人」という著者。薬の副作用の危険性を説き、風邪薬、睡眠薬、胃薬、鎮痛剤、降圧剤などを継続的・日常的に使用する恐ろしさを強調しています。病気が出たときは生活習慣が崩れていることのサインだと意識することが健康長寿の秘訣のようです。規則正しい生活、乳製品や肉を控える、野菜をとる、筋肉と関節を使うなど、健康長寿の共通点を紹介していました。

ただ注意したいのは薬の存在をすべて否定していないこと。特にステロイドは魔法の薬と賞賛していました。必要な薬も存在するんです。なんでも極論に走りがちな健康オタクはここを見落とさないでくださいね。

結局のところ大事なのはバランスのとれた知識、そして自分のカラダの声を自分で素直に感じることではないだろうか、と思いました。

誰が教えているのだろうか右足の一歩の次は左を一歩(俵万智)

2019年8月 5日 (月)

7月の勝ち点「0」のユナイテッド 会心の逆転勝利で連敗脱出

昨夜は鹿児島ユナイテッド対ジェフユナイテッド市原・千葉の試合を見に行きました。

7月は全敗のユナイテッド。しかも大量失点。選手のけがが相次いだとはいえショックの連続でした。今日こそ勝利をと願い、いろいろと験担(げんかつ)ぎをしました。

まず、マゼルバカフェの屋台ではいつものチリドッグをカレードッグに変更。応援グッズはいつものメガホンではなくユナイテッドの「SURVIVE」うちわ。勝利の女神の島美人のお姉さんを見つけ出して彼女から黒の水割りを、屋台で胸元をのぞかせるお色気たっぷりのおねえちゃんからスーパードライを注いでもらいました。準備OK!

前半はユナイテッドが押しまくります。酒本のキーパーと一対一からのシュート、ニウドのミドルシュートは惜しくもセーブされます。藤澤のシュートをニウドがゴール前のワンタッチでゴールを決めたと思いきやこれはオフサイド。惜しい場面が続きます。ところがここで劣勢の千葉が、コーナーキックからセンターフォワードのクレーベがヘディングシュートを決めて0-1。先制されます。

ハーフタイムのときに職場の同僚に会いました。「おいおいこの展開じゃやばいよ」「やばいですよね」。いつもはストーレートヘアの彼女が夏祭りの浴衣姿に似合う髪型にしていて、今夜はやけに色っぽく見えました。あっ、見とれている場合じゃないよな。

後半は完全にユナイテッドペース。ボール保持率は圧倒的。左サイドから左サイドバックの砂森がエンドライン沿いにゴールに向かってドリブルで持ち込み、最後は牛ノ浜の弾丸シュート。これで1-1の同点。その後はまたも左サイドから、今度は右サイドハーフの五領がドリブルで持ち込んでセンタリング。酒本が泥臭く体で押し込み2-1と逆転。

今日はミドルレンジから、ドリブルで切り込んでから、とシュートを浴びせ続けました。千葉の大型ディフェンダー、ゲリアのいるサイドから攻撃をしかけるのがまさかまさかの意外な切り口でした。さらにショートパスだけではなくロングボールを相手ディフェンスの裏に何本も蹴り込んだのもよかった。あれで攻撃のバリエーションが広がりました。

そしてディフェンス。試合後の金監督のコメントにあったように千葉のクレーベをどうやって止めるかが課題でした。ヘディングの強いクレーベに対してやはりヘディングが強いボランチのニウドが競り続けました。そしてもっとよかったのが両サイドバックと両サイドハーフ。千葉にクロスを上げさせないように積極的にブロックしたことが最大の勝因でしょう。

私が期待するアタッカー陣の高速ワンツーも藤澤のドリブルシュートも目立ちませんでしたが、これだけバリエーションが広がると観ていて楽しい。今日は大声を出しすぎて喉がつぶれました。この調子で連勝街道を突き進んでくれよ!

炭酸水千の光をとぢこめよ(大高翔)

2019年8月 3日 (土)

夏のビール&フードバル 真っ昼間からビールの飲み比べかよ

今日、ブログを書こうとシナプスのページを開くとニュース欄に「夏のビール&フードバル開催」の文字が。妻は朝から宮崎市へ。娘も図書館で夏休みの勉強。お昼はここにしようと決めました。

オープンしたばかりの正午過ぎ。天文館ベルク広場にはビアガーデンのように机と椅子が並んでいます。でもお客さんはばらばらとした状態。城山ブルワリー、麦酒本舗、桷志田ブルワリー、からはな(種子島)、奄美はなはなエール、軽井沢ブルワリーが出店。1000円でクラフトビール3杯飲み比べを購入しました。

最初はカクイダスタウト。黒ビールでアルコール度数が8%超。つまみは何にしようかと迷いましたが、オールウェイズバーガーにしました。注文を受けてからパテを焼き始めたので時間が少々かかります。待っている間にスタウトをちびちび。度数が高いだけになかなかガツンときます。

焼き上がったチーズバーガー(600円)は小ぶりながら高さが10センチはあります。佐世保バーガーのようにまずは手のひらで押し潰してから包み紙を開きました。かぶりつくと香ばしくてなかなかいけてます。マクドナルドのような変な匂いもありません。やっぱりハンバーガーはこうでなくっちゃね。

ビールの2杯目は奄美はなはなエールのパッションフルーツに。文字どおりパッションフルーツの香りがする独特なビールですね。チーズバーガーにかぶりつきながらビールを味わっていると、隣に老夫婦が割り込んできました。ビールを手にして唐揚げをかぶりついています。それにしてもなぜ私の隣なのか? 客のいない長テーブルは他にいくつもあるのに。年寄りなのでしょうがないか。

3杯目は種子島のペールエールにしました。こちらもフルーティーな香りがします。チーズバーガーを食べ終えて、ゆっくりとビールの味を楽しみました。

この3杯飲み比べ。どれも200ccもないぐらいの小さいカップ。たぶん全部飲んでも500ccぐらい、ジョッキ1杯程度でしょうか。これで1000円ではコスパが悪いという人もいるかもしれませんが、私は十分満足できました。

しかし、お客の入りが悪かったですね。老夫婦が数組のほかは女性の1人客や2人連れぐらい。男性のみ、あるいは男性のグループは見当たりません。このイベントを知らない人が多いのか。ビールを昼間から飲むなんて、という道徳的に正しい人が多いのか、飲む人は昼間は外出しないのか。

私は昼間でも気にせずアルコールを飲みます。休日の昼食には、ナッツやサンドイッチと缶ビールなんて日もあるぐらい。そんな休日の過ごし方もいいもんですけどねえ。

あかねさす昼は缶のまま飲むビールひとり暮らしは旅にも似るか(俵万智)

「資格」の魅力 「資格」の拒絶 30年も続ければ差が広がります

私がまだ大学生だった頃。宅建ブームがありました。猫も杓子(しゃくし)も宅建の資格を取ろうとしました。今では何それ? でしょうけどそんな時代がありました。

私はそういう資格マニア(?)が大嫌いでした。必要であれば資格をとることは働く上で当然必要なことでしょうけど、将来役に立つかも知れない、という私にいわせれば曖昧(あいまい)な動機がどうにもよくわかりませんでした。当時は就職氷河期。同世代では焦(あせ)りがあったのかもしれません。天邪鬼(あまのじゃく)の私はそんな周囲の人たちを尻目に、資格を取得することは拒絶し、好きな本を読んだりしていました。いわゆる形のない教養を身につけるというやりかたです。今も昔も、周囲に同調しない反発心だけは一人前でした。

そんな私も資格をとったことはあります。27歳で結婚したのですが、妻が猛烈な勉強主義者でした。新婚の頃、簿記を一緒に勉強しようということになり、私も日商簿記3級を当時の加世田商工会議所で受験しました。見事合格。しかし、それから20年経っても簿記を扱うような仕事をしたことはありません。BSやPLなど基本的な概念は理解できたので、私のサラリーマン人生にとって予備知識として必要だったかも。

当時はほかにTOEICも受検してみました。結果は440点。ひどい。とてもじゃないけど時間が足りなくて半分程度しか問題を解けず、残りはヤマカンで適当にマーク。そしてヒアリングはさっぱりわからずでこちらは全滅。語学は向いてないですね。

30代後半は法律関係の仕事をしていたので司法試験に挑戦しました。3年間、朝4時から6時まで毎日過去問を解いたりして勉強しました。4年連続で受験しました。が、1次試験を一度もパスできず。転職して仕事が忙しくなったので断念しました。司法試験に合格することは無理だとわかっていたのでショックはありませんでしたが、一次試験ぐらいはパスしたかったというのが正直なところ。このときの法律の知識は今でも役立つことがあります。勉強量全体からすれば0.1%程度ですけど。

次が漢検2級と英検準1級。これは子ども達(高校生)が検定試験を受けるときに、お父さんも頑張ってみたら、というライバル関係で勉強する環境をつくろうというもの。簿記のときと同じですね。このときは漢検は合格しましたが、英検は不合格。特にヒアリングは全滅でした。漢字は日常生活の中で役立っているとは思いますが、英語はさっぱり。当時はビジネスで英語を使う機会がありましたがまったく刃が立ちませんでした。やっぱり英語は向いていないですね。

妻は学生時代には教員免許、社会人になってからも資格試験の勉強を続け、簿記は1級、中国語は3級を取得。自分の仕事にも役立てているようです。今日は「整理収納アドバイザー1級」の試験を受けるために宮崎市へ出かけていきました。普段のテストでも合格レベルを十分超えているので合格は確実でしょう。この資格も仕事に役立つようです。

一方の私は仕事を転々としていてスキルは身につかず、資格試験の勉強や雑多な読書がずばり役立ったという成功体験もありません。この20年で妻とはずいぶん差がついてしまったようです。

でも私は「無用の用」を信じています。といっても、第三者からすれば意固地とか「哀(あわ)れ」とか言うだろうなあ。

軟水にバラ洗われていたりけり批判書一つ書かんあかつき(佐藤通雅)

2019年8月 1日 (木)

映画「グローリー」指揮官の射撃練習とユナイテッドのシュート練習

30年ぐらい前の映画に「グローリー」があります。時代はアメリカの南北戦争のころ。北軍の白人指揮官が全員黒人兵士の部隊を鍛え上げて、北軍の勝利のために戦う物語です。

この映画で印象に残るシーンがあります。黒人兵士が射撃の練習をしているとき、ある兵士が抜群の腕前を見せて的を撃ち抜きます。周囲の黒人兵士達もそれをほめたたえてくれ、本人も得意げな顔を見せます。そのときにこの白人指揮官が現れます。

指揮官はもう一度その黒人兵士に射撃練習を命じます。そしてこの兵士が撃とうとするそのすぐそばで指揮官は拳銃を連続でぶっ放します。黒人兵士は驚きと恐怖で筋肉がこわばり、射撃どころではありません。一度も的に当たることはありませんでした。指揮官は「訓練に厳しさが足りない」と黒人の副長を叱責します。

戦場の緊迫した状況において普段どおりの力がだせるかというとそうではありません。だからこそ本番を想定した訓練が必要になってくるんですよね。

同じような話をラグビー選手がしていました。彼はペナルティーキックの練習をするときは、大観衆が見守っているシーンを想像し、そういう緊張感の中でキックをするのだと。そういう練習は一日に10本も蹴れないそうです。体力ではなく精神力がかなり疲弊するとのこと。それとは逆に何も考えずにバカスカ蹴ってもいざ本番となったときには役に立たない。そういう緊張感のない練習は時間の無駄ってことになりかねません。

そしてもう一つ。阪神の剛速球投手だった江夏豊。彼の球種は直球とカーブしかありませんでした。彼がもう一段レベルアップするために練習したのがコントロール。部屋の中でゴミを捨てるときですらゴミ箱に入るようにコントロールに集中したとのこと。当時は王ボール、長島ボールというぐらい巨人びいきの審判がいるなかで、江夏ストライクというほどのコントロールを身につけて対抗したのです。「プロ野球大辞典」(玉木正之)より。

そしてサッカー。神様ジーコは鹿島アントラーズのシュート練習では「ボールをゴールの隅に置け」とアドバイス。なんでもかんでも力一杯足を振り抜くのではなく、キーパーの手の届かないゴールの隅に蹴り込むコントロールこそが大事だということ。「蹴れ」ではなく「置け」という表現がツボをついています。

最後に鹿児島ユナイテッドFC。昨日は徳島に2-5と大敗。大宮の0-6もひどかったけど今回も半端ない負け方でした。結果しか知らないのでプレーの批評はしません。ただ、最近のユナイテッドは守備にばかりに批判がいきますが、私からすればシュートの精度が悪すぎるのが問題です。今シーズンの試合前練習では1~2ヶ月前からはシュート練習をするようになりました。いいことだなと思っていたのですが、最近は「やる気あるの?」って野次をとばしたいぐらい、緊張感がまったく感じられません。普段からあんなシュート練習をしているんでしょうか。何も考えずにバカスカ蹴っても時間を無駄にするばかり。勝利がどんどん遠ざかるだけですよ。

落ち込んでいるひまもなく子を風呂に入れおりどうってことはなかりき(俵万智)

2019年7月30日 (火)

「天気の子」を天パラで観る 夏休みなのに観客10人子どもゼロ

今日は会社は休み。どう過ごそうかと昨日から考えていたのですが、結局いつものように映画を見て、献血をすることにしました。

休みだからといって朝から家でだらだらするのももったいない。それに普段通勤するときのバスに乗ったらいつもの20代の女性とバス停で会えるかもしれない、天文館にでるならバス定期券も使えるし、という不純(?)な動機でいつもの通勤バスを利用することにしました。

うれしいことにバス停では彼女と一緒になり、今日は休みであること、映画を見に行くことなどを話すことができました。彼女は「いいですね、私はお盆に2日ぐらい休めるかな」とのこと。どうでもいいような会話ですが、朝にこういう話ができると気分が明るくなります。

天文館パラダイス(天パラ)に行くのは何年ぶりでしょうか。たしか前回天パラで見た映画は「神様メール」。ストーリーが非常にシュールなフランス映画でした。

でも今日は違います。新海誠監督の「天気の子」。数日前の朝日新聞に特集記事が出ていました。この記事を書いた記者は、「エンディングがディストピア(ユートピアの反対)、しかし、映画を見た若者達は主人公らの未来は明るいと感じた」とのこと。この違いがどう映画で表現されているのか興味がわきました。それになにより「君の名は」はエンディングで涙がでそうになったぐらい感動したので、次回作は当然気になっちゃいます。

画像の出来は「君の名は」以上といってもいいくらい精密で実写のよう。でもストーリー展開がねえ。登場人物も少なく、私には一本調子に思えていまひとつ。ハラハラドキドキが前作に比べてありませんでした。

映画を見終えて、私はディストピアという印象は受けませんでした。記事にあった若者のように、二人の未来は明るいという印象を受けました。世界はどうあろうとも私たちは私たちの幸福(愛、恋人)を選択するという強い意志を感じました。それはエゴ(自己利益)丸出しという意味ではありません。これまでの映画や小説などにありがちな、世界の誰に知られることがなくても命をかけて世界を救うんだという使命感よりも、自分にとって大事な人、身近な人こそ救うべき、というメッセージを感じました。そういうところは「君の名は」とはちょっと視点が違いますね。

見えないところで世界を救う物語というと「カエル君世界を救う」(村上春樹)を思い出します。おそらくこの映画の観て感動する若者達は村上春樹の短編小説を理解できないでしょうね。

ところで残念なことをひとつ。朝9時スタートだったということもあるかもしれませんが、観客は10人ぐらいの寂しさ。しかも子どもは見当たりませんでした。「天気の子」はアニメですよ。アニメと言えば子どもですよ。子どもと言えば夏休みですよ。どうなってるの?

映画を観た後、献血ルームで成分献血をして、近くの定食屋でお昼にしました。午後2時ぐらいのバスで帰りましたが、天文館で出会った小中学生はほんの数人。通行人のほとんどはお年寄りか中国人でした。子どもたちは塾や宿題で忙しいんでしょうか? それとも家でぐうたらしてるんでしょうか? アミュプラザで映画を観てるんでしょうか? 最後が一番ありえそう。

死後のことしっちゃあいねえや夏旺(さか)ん (和田耕三郎) 

2019年7月29日 (月)

いい畑ってどんな畑なんでしょうか? 昆虫が棲みつく畑はいい畑?

今朝は筋肉痛です。腰から太ももの裏側にかけて筋肉がこわばっています。昨日は2週間ぶり晴れたので市民農園へ行き、畑の周囲(隣の畑との境界)の草刈りをしたからです。30分程度のことなんですがね。この軟弱な体は情けないねえ。

私の畑のほとんどはクローバーが覆っています。その中にかぼちゃを2苗、キュウリを2苗植えているのですが、この蔓(ツル)の伸び方がすごい。かぼちゃは5m程度も伸びています。畑のヘリに沿って伸び、うち一本は隣の畑に1mほど飛び出ていました。また苦情が来るのは嫌なので、引き剥がして私の畑に戻しておきました。茎の太さは1円玉の直径ぐらいあります。ずいぶん頑丈そうです。

一部の葉が10枚ほど茶色になってしおれていました。それも連続して。病気がでたのかなあとも思いましたが、あえて放置しておきました。私の自然農法がこの病気に打ち勝つことができるのか興味津々です。

かぼちゃはいくつか白い実が膨らんでいました。ひょうたんのような形をしています。一番大きいもので私の握りこぶし程度。もうそろそろ収穫の時期を考えていいかもしれません。

それにしてもカボチャとキュウリが2本ずつしかないのに、畑の半分を覆うなんて思いもしませんでした。私はいわゆるやぐらは組んでいないので、周りの畑のカボチャやキュウリのように上に伸びていません。地面を(正確にはクローバーの上を)這っています。

今日はたまたま通路を挟んだところにある畑の借主と話をしました。このおじさんもカボチャを植えていたそうですが、葉のほとんどを虫に食われたために薬を撒いたところ、全部枯れてしまったとか。それでまたカボチャの苗を買ってきてこれから植えるとのこと。このおじさんの畑は半分は土にしょぼしょぼと雑草が生えていて、それをマンノウで耕していました。大変そうです。

私は苗を植えたときは直径10センチ程度の穴を移植ごてでほっただけ。この畑を借りて1年近くなりますが、一度も耕したことはありません。おじさんにそれをいうと嫌みになるので黙っていました。もしそういう話をしたとしても、どうしてこんなに野菜が繁殖するのか不思議でしょうね。ちなみに肥料や薬をまいたこともありません。水やりをしたのは苗を植えた日にその根元にだけです。あとはすべて成り行き任せ。自然農法ですから。

それでもやっぱり陸稲(ハッピーヒル)やゴマが発芽しなかったのが残念でなりません。陸稲がたわわに実ってこそ自然農法の成功だと思っていたのに。次回はいろんなバリエーション(種まき前に水につけるかそのままか、直まきするか穴に種をまくか、麦わらで覆うか露地か)で試してみたいですね。

ところで私の畑ではコオロギが大発生しています。さらに今日は大きなショウヨウバッタも姿を見せていました。地蜘蛛は相変わらず大量に飛び跳ねています。周囲の畑はきれいに草取りをして土を露わにしているので乾燥している上にこの暑さ。昆虫たちはクロ-バーで湿り気や日陰がある私の畑に避難しているんだろうなと想像しました。昆虫たちの居心地がよければ植物にとってもいい環境だと思っているのですが我田引水でしょうか?

開け放つ虫かごよりぞ十方にいきもののがれしたたるみどり (玉井清弘)

2019年7月28日 (日)

1ヶ月ぶりにベストメンバーがそろったのに ユナイテッド完敗

今日は鹿児島ユナイテッドFCはVファーレン長崎と対戦。前回の対戦では0-0の引き分け。先週の雨でユナイテッドは十分に休養がとれたはず。

会場に到着して座席を確保してからユナイテッドのユニフォームTシャツを購入。そのまま着てチリドッグと生ビールで試合前の腹ごしらえ。ビールを飲み干した後の空いたカップに島美人の振る舞い酒を満タンにして試合開始を待ちます。

それにしてもVファーレン長崎の応援はすごい。人数も1000人を越えていましたが、もっとすごいのは声援。声が大きすぎて鹿児島ユナイテッドサポーターの声援はほとんど聞きとれません。さすが順位が9位だと熱いぜ。降格圏のユナイテッドとは違います。

ユナイテッドは久しぶりに牛ノ浜、藤澤、ニウドがスタメンに戻ってきました。期待できるぞと思ったのもつかの間、試合は完全にVファーレンペースでした。

ユナイテッドは自陣で相手選手にパス。そのままセンタリングを上げられてヘディングシュートで失点。前半終了間際には中盤でボールを奪われてカウンター。GKアンジュンスがはじいたボールを押し込まれて2点目を奪われます。Vファーレンの選手のゴール前のツメが早い。ユナイテッドは戻りが遅すぎる。

そして後半開始から20分は完全にVファーレンがボールを支配。何しろ高い位置からボールを奪いに来るのにユナイテッドの選手は突っ立ったままパスを受けようとしているのだから奪われて当然。ここまで一方的だと応援するのが嫌になってきます。

残り20分はユナイテッドペースになり、ボールをキープしたときも、Vファーレンのディフェンスは8人がゴール前に4-4のラインをそろえて完全にスペースを消してブロック。後半終了間際にPKで1点返したものの反撃はここまで。点差こそ1点でしたが内容は完敗でした。

試合終了直後、私の前の席に陣取っていた中学生4人は「レベルが違う。選手層の厚さが違うからね」と一人前に批評家のような捨てゼリフを吐いて帰って行きました。これでユナイテッドは5連敗。悔しいなんてもんじゃないよ。中学生にまでなめられて。

今日のユナイテッドはパスミスが多すぎる。また、中盤でパスを受ける方も動かずに立ったままもらおうとするからボールを奪われる。アタッカー陣がサイドをドリブルで前進してもフォローがいないから孤立してボールを奪われる。

ゴール前の攻撃も悲劇的でした。度々ゴール前にあがるクロスに選手らはかすりもしない。ゴール前のワン・ツーもワンの縦パスを出した選手が走り出さないから、パスの受け手(ポスト)がツーのパスを出さずにそのまま振り返ってシュートするとディフェンスも予測できるので対応できている。ああ、これじゃあゴールは遠いはず。

試合前日のこのブログで「攻守のメリハリをつけ、中盤でボールを奪い、インサイドハーフ突撃で決まり」と書きましたが、これを実践したのは相手チーム、Vファーレンの方でした。ユナイテッドディフェンスは足が遅くてスルーパスが出ると追いつけない! 見ていてこちらが恥ずかしくなります。 

韓が牛ノ浜とのワンツーからキーパー越えの浮かしたシュートを放ったり、平川のミドルシュートがクロスバーを直撃したり、枝本が相手DF3人の隙間からシュートしたりと惜しい場面も見られました。でも枠内にボールがいかないと勝てません。

次は31日水曜日。徳島ヴォルティスが相手です。前回は4-3の激しい打ち合いを制しました。次の試合こそはボランチや両サイドバックからガンガンミドルシュートを打ち、FWとMFのアタッカー陣は高速ワンツーでどんどんシュートを放つ。ディフェンスは相手にボールを奪われたときにはまずは相手のドリブルを封じてスピードを止め、素早く4バックのラインを敷く。質が悪いなら量でカバーするしなかないだろう。「下手な鉄砲数撃ちゃ当たる」でいいからとにかく勝て!

待つことの始まり示す色をして今日も直立不動のポスト(俵万智)