2021年11月10日 (水)

ストリートピアノ演奏旅行(宮崎県)

宮崎県にもあちこちにストリートピアノがあります。宮崎市橘通り、都城市アーケード街、吉都線の京町温泉駅の3か所をめぐりました。

都城市のストリートピアノは、国道10号線沿い、市立図書館の道路向かいにありました。早朝だったこともあって人通りはほとんどなし。設置場所は屋外、いつでも誰でも弾ける状態で、時間制限はないみたいです。ペインティングもほどこされていました。

いつものように戦場のメリークリスマスとケツメイシのさくらを演奏。人はいなくても国道だけあって車の交通量が多いため、走行音がうるさくてピアノの音が聞き取れない。しかも正面がバス停なので、バスが泊まるたびに自動音声やドアの開閉音が聞こえてきます。ちょっと不満。

演奏後、離れて聴いていた妻から「気持ちよく弾いていたね。ピアノの音が大きく響いていたし、よかんたんじゃない」なるほど。距離をおいている人にはピアノの音が聞こえていたようです。

次に向かったのは京町温泉駅(えびの市)。こちらは駅舎の中に黒いアップライトピアノが鎮座していました。ピアノの上には「コロナ対策。演奏はご遠慮ください」の張り紙が。

駅を管理している観光協会のおばちゃんに確認すると、「コロナは収まっていますから弾いてもいいですよ」うれしいですね。JRとは違って融通が利きます。

周囲には誰もいません。国道から離れているので車の音もなく、通過する列車もない。静かな環境でのびのびと演奏することができました。

そして別の日。宮崎市橘通りのストリーピアノです。橘通りは宮崎市最大の繁華街。そのアーケードのどまんなかにあります。「串カツ田中」のお客からガラス越しに見えるなか、2曲をミスを重ねても堂々と演奏しました。曲を弾き終えるごとに拍手がありました。最後に振り返ると10人ほどが私を取り囲むように並んでいてびっくり。

宮崎県の3つのピアノはすばらしいですね。自由に弾ける環境と耳を傾ける地元の人々。残念ですが、この2つは鹿児島のピアノよりも上ですね。

犬はいつもはつらつとしてよろこびにからだふるはす凄(すご)き生きもの(奥村晃作)

2021年11月 9日 (火)

「ユニリーバスタジアム新富」の悲劇

10月17日(日)は、サッカーJ3 鹿児島ユナイテッド対テゲバジャーロ宮崎の試合がありました。この試合は宮崎のホームゲーム。お天気がいいので鹿児島から足を伸ばしてみました。

鹿児島中央駅から特急きりしまで、宮崎駅まで約2時間、普通列車に乗り換えて日向新富駅までさらに30分、駅から歩いて20分のところにテゲバジャーロ宮崎のホームスタジアムがあります。

「宮崎」なのにホームが宮崎市ではないということにショックを受けました。テゲバジャーロ宮崎は「宮崎県」のチームなんですね。

会場周辺は田畑をつぶして造成中。駐車場も未整備。駐車場には入場を待つ人たちが長い列をつくっていました。当日券の販売所がみつからないので、スタジアム近くまで寄ってみると、ハットにサングラスの若い女性(?)がこちらを凝視ししているのに気づきました。なんと会社の同僚でした!

「えっ、あなたも来てたの。ここに来るときのJRの車内でもユナイテッドのユニフォーム着ていた人が多かったけど」「そうですよ。鹿児島がJ2にいたときの柏戦を思い出しますよね。あのときも柏のファンが鹿児島にたくさんきていて、J2ってすごいと思わせてくれましたけど、今日は新参の宮崎に鹿児島のパワーを見せつけないと!」彼女が笑顔で語りだしました。

「当日券はどこで売ってるの?」「当日券がないんですよ。私も前売りでS席しかないのでそれを買ったぐらい。もう前売券も完売ですよ」彼女の話にショックを受けました。

「白波スタジアムだったら当日券も扱っているし、だいたい席も5000はあるでしょう。当日券がないって宮崎のスタジアムってそんなに小さいの?」「そうなんですよ。それに運営最悪ですよ。この列もすごいけど、スタジアムのトイレも少ないし、屋台も炭火焼やチキン南蛮とかトリニクばかり。S席はアウェーのユニフォーム禁止。だからユニフォームはこの服の下に隠して着ているんですよ」

10分程度そんな話を続けてから、お昼を食べようと屋台に行こうとすると、入場券がない人は立ち入りできない。おいおい本当かよ。さらにショックを受けました。

しかたなく、駅の方に引き返して鶏ごぼううどんを食べてからスタジアムに再び戻り、観客席の隙間からゲームをのぞき見しました。ピッチの半分は見えない状態ながら、鹿児島ユナイテッドが2−3で負けたことはわかりました。昇格は絶望。大ショックです。

帰宅してこの日のことを妻に話すと「あんた何しにいったの」と冷たい一言。トドメを刺されました。

ほんとうはあなたは無気呼吸症候群おしえないまま隣でねむる(鈴木美紀子)

2021年11月 8日 (月)

「人づきあいが広いですね」の意味

昨夜、昔の会社の男性部下と数年ぶりに飲む機会がありました。

最初は私を含めて4人だったのですが、ひとりが家庭の事情で欠席。たまたまこの日の昼食時間に会った職場の30代の女性を誘ったところ、即答でOKだったので補充(?)しました。

お店に向かうタクシーの中で、彼女が話しかけてきました。「先輩は人づきあいが広いですよね。このあいだも声をかけていただきましたけど、いろんな人が来てましたよね」

「いやいや私はふだん、一人で飲んでいるだけ。誰かと飲む機会があったときに、あなたに声をかけているだけ」謙遜ではなく、本当にそうなんですよね。月に10回飲むとしたら、8,9回は1人のみです。

元部下2人は入社したばかりのとき、私は直属の上司でした。私は細かいことを教えるよりも、どんどん仕事を任せていくタイプ。2人は期待に応えて成果を出していました。

彼らと初めて会った彼女も打ち解けて、身の上話をはじめました。「私は会社の同期3人とごはんを食べに行くぐらい」「会社以外で仕事の人と会うことってほとんどないです」

コロナ禍の影響で、会社の歓迎会や忘年会も中止。私のような多様な職場を経験している人間からすれば、どうってことはなくても、若い人たちには人脈が広がらない、焦りのようなものがありそうです。

彼女は私に顔を合わせるたびに「また誘ってください」と口にするのです。私は社交辞令だろうと思っていたのですが、ひょっとしたら本心かもしれないと思い直しました。若い人がみんなのびのびと楽しんでいるわけではないのですね。狭量な私ですが、そんな若者たちのお役に立てるなら、ちょいちょい飲みに誘いましょうか。

われもまた季節限定品と書いてあるチョコレートに手を伸ばす(杉田菜穂)

2021年11月 7日 (日)

ストリートピアノの演奏旅行(東京都)

仕事の都合で東京に出張しました。ホテルはJR新橋駅近く。ストリートピアノについて検索してみると近辺では、JR両国駅、JR高輪ゲートウェー駅、羽田空港にあるのがわかりました。

仕事を終えてから、帰りの飛行機が出発するまで時間があったので、まずは両国駅に行ってみました。駅に到着してから改札口まで注意しながら歩きましたがピアノが見当たりません。もうひとつの改札口にも形跡なし。改札口をでて駅を一周してみましたがやはりピアノは見当たりません。駅員もおらず早々に断念しました。

次に向かったのがJR高輪ゲートウェイ駅。駅のホームから2階に上がり、改札口に向かう途中に黒いアップライトピアノが設置されていました。昼過ぎでしたがこの駅の乗降客は1回あたり10人程度。当然ながら駅構内も人はまばらでした。

ピアノの近くには若い女性がベンチに一人腰掛けているだけ。ピアノの近くには「演奏できるは10時から17時まで。演奏待ちの人がいるときは演奏は5分程度でお願いします」との掲示板がありましたが、皮肉に思えます。

さっそく戦場のメリークリスマスとケツメイシのさくらを演奏。駅を通過する列車のゴーッという音がひっきりなしに聞こえます。ピアノの音がとても小さく感じられました。しかし、鍵盤から指を離すと鍵盤の戻りがとてもリズミカル。さくらは連打が多い曲ですが、とっても気持ちよく弾くことができました。

最後は羽田空港です。ターミナルビル5階、スターバックスのさらに奥に黒いグランドピアノが設置されていました。山形で弾くことができなかったグランドピアノにとうとう出会えました。うれしい!

掲示板には「演奏時間は15時から19時まで」となっていました。まだ30分ほど時間があったのでスターバックスでコーヒーを飲みながらブログの原稿を書いて時間を過ごしました。

15時になりましたが、誰もピアノには来ません。どうしてこういう制限があるのか謎ですが、深く考えずにピアノの前に座りました。グランドピアノですが、蓋は閉じたままなので音はそれほど大きく響きません。しかし、戦場のメリークリスマスのイントロを弾くと「カチカチ」と硬い音が出てきます。雪が降るような繊細なイメージ通りの音がでるのでそれだけで大感激。

ピアノの近くには男性が一人座っていましたが、じっとスマホの画面を見つめているだけ。近くのスターバックスは大勢のお客さんで賑わっていてピアノの音も聞こえていたはずですが、なんの反応もなし。

東京の観衆はストリートピアノの演奏について評価が厳しいのか、ピアノに無関心なのか。でもそのおかげで自分の演奏に集中することができました。まだまだほかにもピアノが設置されているので、時間があるときに巡ってみたいですね。

肩並べ新宿駅に向かう時もう少し続け信号の赤(俵万智)

2021年10月10日 (日)

にぎわいが戻ってきた鹿児島市内の飲食店街 フランス家庭料理

ゆうべは妻と二人で鹿児島中央駅界隈にでかけました。

コロナの蔓延防止期間が終了し、飲食店の時短要請もなくなったということで本当によかった。通りには8月9月とはうってかわって歩く人が増えました。

ベル通りにある「がるばんぞう」に入りました。ここはフランス家庭料理のお店。居酒屋やイタリアンがほとんどのこの時代。フランス料理をメインにしているのが気になっていたのです。妻を誘ってみるとOKだったので前から楽しみにしていたのです。

店内はテーブルが3つとカウンターが10席程度。ただし、カウンターは1つおきに使用できないように注意の張り紙がありました。テーブル席も同じ様になっていたのでしょう。となると店内の最大収容人数は10人程度というところでしょうか。

店内にはシェフが一人で切り盛りをしていました。この日の客は私たち2人を含め、全部で8人。シェフは注文をさばくのに大変そうでした。このシェフは30代と思われる女性。髪をカラフルに染めて黒いTシャツを来ているので、一見シェフと言うよりヤンキーって感じでした。が、料理の手際がよく次々とフライパンで調理しては皿に盛り付けていきます。

私たちが注文したのは、きのことベーコンのサラダ、ブイヤベース、ポテトのグラタンの3品。それにテーブルチャージとしてお通し。私はビールを2杯いただきました。

フランス料理ということでブイヤベースを食べたのですが、初めて食べた妻は喜んでいました。最後のポテトグラタンは、これでもか!というぐらいポテトスライスが埋まっていて、お腹を満たしてくれました。

2時間ほど滞在し、妻から職場の不満を聞きながら過ごしました。妻は満足したようです。私も妻のご機嫌がよくなったのでよしとしましょう。

でも、気になったことがありました。

このお店はオープンキッチンだったので、カウンターからは料理の様子を全部見ることができます。感じ方は個人差があるでしょうが、私は落ち着かないですね。

普通の厨房であれば、お客さんに作業場を見せないことで店内の雰囲気を壊すことがありませんが、この店のレイアウトだとそれは難しい。シェフの華麗な手際をみせる試みなんでしょうけど、それよりもオーダー票などの紙などが散らかっていたり、ドリンクを紙パックから注いだりするのを見るのは興ざめでした。

料理はおいしかったので、ちょっと残念でした。ちなみにこのお店の名前は、スペイン語でひよこ豆のこと。シェフが初心忘れずという意味で「ひよこ」にちなんでこの名前を選んだようです。

葡萄牙(ポルトガル)、西班牙(スペイン)に牙あることの詩と真実を話せば長い(藤原龍一郎)

2021年9月20日 (月)

鹿児島県内のストリートピアノ演奏旅行(大隅半島)

この3連休はお天気がよくて気持ちがいい。

土曜日は2回めのコロナワクチン接種。日曜日は副反応が心配でしたが筋肉痛で接種した方の腕があがらないものの発熱等はなし。杞憂に終わりました。

日曜日の午後は暇を持て余したので、妻の運転で大隅半島へドライブにでかけました。目的は志布志市と鹿屋市にあるストリートピアノの演奏です。

最初に向かったのは志布志市。志布志駅の近くにある島津楽器のビルに設置されているとの情報を頼りに探しました。国道220号沿いにある集合ビルにヤマハ音楽教室の看板があるのに気づき、中に入ってみると「ビンゴ!」でした。

このビルには楽器店の他に、イタリアンやカレー屋などのテナントが入っていて、奥にはFM志布志の放送スタジオ(お休み)までありました。ビル1階の中央付近は共有スペースがあり、ピアノが展示されています。そのなかにストリートピアノがありました。黒地に白い字で「HELLO」と書いてあるが目立ちます。

鍵盤に触れると音が大きい。さすがに楽器店の前に設置してるだけのことはあります。手入れもしているのでしょう。周囲には誰もおらず、テナントの従業員がそれぞれいるぐらいの寂しいビルでしたが、さっそく演奏開始!

音響が大きいので、つい緊張してしまい、指先がふるえます。その緊張感がピアノの音に現れて、どうにもまずい。「戦場のメリークリスマス」を弾き終えたときにはどっと疲れがでました。緊張すると心臓がばくばくしてカロリーを通常の倍以上消費するのでしょうね。

次に向かったのは「リナシティかのや」。

1階のエスカレータの横にストリートピアノが設置されています。外見はぼろぼろで志布志のピアノを見た後だけに相当見劣りします。では演奏開始!

「戦場のメリークリスマス」のイントロ部分の右手のパートで音がでないキーがあります。「ありゃりゃ、これは困った」と思いつつも主旋律になると、今度は左手のパートに音がでないキーがあります。一番盛り上がるパートになるとまたもや音がでないキーがあって、スカスカの演奏になっている!

音が小さくて音色が悪いのはストリートピアノなのでやむを得ないとは思います。が、音がでないキーがこれだけあると、聴いている人はがっかりしちゃうでしょうね。

次に練習中のケツメイシの「さくら」を弾きましたが、これもまた左手パートで音がでないキーがあり、肝心のベース部分に空白が何度も生じました。あまりの酷さに途中でピアノを弾くのをやめました。

「リナシティかのや」は行政がお金をかけて建設したのでしょう。とても豪華な建物です。しかし、あたりは閑散としていました。そばを流れる肝属川の向かいではおじいさんたちがギターを演奏していました。こちらは5人ほどの聴衆が聴き入っていました。彼らは私のピアノに無関心だったようです。

帰りに「竹亭」でとんかつ定食を食べました。「竹亭」はすごい繁盛ぶり。まだ宵の入りだったのですが行列ができていました。テイクアウトのお客さんも多く、厨房やレジでは店員があわただしく動き回っています。

ピアノと「竹亭」のギャップに驚いてしました。さすが「まん延防止措置期間」だけのことはあります。一般大衆は正直ですね。

ちなみに竹亭のとんかつ定食はとてもおいしかった。キャベツの千切りがとてもとんかつにマッチしていてドレッシングなしでも十分いけます。久しぶりにおなかいっぱいになりました。竹亭がリナシティかのやのテナントになればにぎわいもできるでしょうに。この世の矛盾を実感します。

音楽を降らしめよ夥(おびただ)しき蝶に(藤田湘子)

2021年8月17日 (火)

コロナ感染爆発の今こそプレニアムフライデーだ

数年前にプレニアムフライデーという,意味のよくわからない官製イベント(?)がありました。毎月最終金曜日ははやく退社しようという社会運動(?)みたいなものです。

ウィキペディアによると提唱者は国(経済産業省)と経済界。目的は個人消費喚起です。

2017年2月24日からスタート。その年の6月にプレニアムフライデー推進協議会が発表した意識調査の結果では,「普段の週末にはできない過ごし方ができた」と4割が回答し,認知率は9割,賛成は5割弱となっていました。

ところが、コロナの影響で2020年からはPRをやめているようです。最近耳にしなくなったのもうなずけます。

さて、ウィキペディアにはプレミアムフライデーの成功例として「串カツ田中」が紹介されていました。毎月最終金曜日は串カツ全品を108円で提供していると。へーっ、それは知らなかった。

鹿児島中央駅前のライカ1920には「串カツ田中」がテナントに入っています。鹿児島もまん延防止措置の指定を受けたのでアルコールの提供はないとしても,きっと串カツは提供していることでしょう。楽しみですね。

ところで昨日発表された日本の4~6月のGDPの伸び率はプラスになったものの,「ワクチン接種が進んでいる国々がコロナ感染拡大前の水準に戻っているのに日本は遅れている。個人消費が伸びないからだ」とNHKは報じていました。

こうなったら経済産業省がもう一度、大々的なプレニアムフライデーキャンペーンを開始するしかないですね。飽きやすい日本人のほとんどはプレミアムフライデーを「古くさい」といって相手にしないでしょう。しかし,無駄だとわかっていても0.001パーセントでも効果があると思われるかもしれない。であれば,国は「やっている感」「がんばっている感」を国民に見せつけるチャンスですよね。

なにしろ感染拡大防止にはまったく効果のない、無症状者に対する無差別PCR検査を主要空港では無料(検査代は税金)で大々的にやってるぐらいです。非科学的な政策でウイルスに勝てるはずがありません。要するに「ヒト(有権者)」対策です。それならプレミアムフライデーのほうが、予算のかからないだけましでしょ。狂うならとことん狂え日本の夏。

間違えてみどりに塗ったしまうまが夏のすべてを支配している(荻原裕幸)

2021年8月15日 (日)

盂蘭盆会(お盆)の起源は地獄での「逆さ吊り」の刑にあった

「知れば恐ろしい日本人の習慣」(千葉公慈)を読んでいます。

本の表紙にあった「夜に口笛を吹いてはならないの本当の理由とは」に興味をそそられて衝動買いしたのです。

本を読むと、日本のしきたりが日本神道だけではなく、八百万(やおよろず)の神様の信仰、仏教の影響を強く残していることがわかります。なお、著者は曹洞宗の僧侶であり、東北福祉大学の学長でもある人です。

私も「お盆」が仏教の行事であることは知っていましたが、単純に「ご先祖さまがこの世に帰ってくるとき」という程度のことです。今日がお盆ということであらためて読んでみました。

この本によればお盆は仏教の「仏説盂蘭盆経」が始まりとなっています。このお経によると

ブッダの弟子であるモッガラーナは不思議な呪術のちからをもっていた。あるときモッガラーナはなくなった父母が現在どうしているのかが気になり、呪術の力を用いて死後の世界を映し出した。すると父は天上界で暮らしていたが、母は餓鬼道に落ちていた。餓鬼道とは飢えた鬼に生まれ変わった世界です。

ここで母は別人のようにやせ衰え、悲鳴をあげながら、喉の乾きと激しい飢えに苦しんでいた。しかも母は逆さ吊りにされ、鬼たちから責め苦を受けていた。モッガラーナは母のために食事を差し出すのだが、母が食べようとすると食べ物は燃え上がり口にすることができない。そこでモッガラーナはブッダに救いを求めた。

ブッダは「百日修行が終えた僧侶に食事を提供しなさい。大勢の僧侶による読経(どきょう)の力で必ず母を救うことができるだろう」と教えた。

モッガラーナが食事を器に盛り、供養したところ、たちまち母は安らかな菩薩の姿となって天上の世界へ昇っていったという。

母が苦しんでいた「逆さ吊り」をインドのサンスクリット語で「ウラバンナ」ということから、音訳の「盂蘭盆会(うらぼんえ)」という言葉が生まれた。

なるほどねえ。だから、仏壇にはお盆用の食事を用意するんだなあ。私の祖母は8月13日から15日まで日替わりメニューが決まっていて、必ずそれを仏壇にお供えしていました。今は母がそれをしていますが、肝心のレシピは失われていて見様見真似(みようみまね)でやっています。

ところで、夜の口笛のことですが、この本では諸説を紹介していて、これが決定版という書き方はしていませんでした。確かなのは夜の口笛は「心霊的存在を呼ぶ」ことだったとのこと。これが「親の死に目に会えない」とまで脅かしたのは、それほど軽々とやってはいけない神聖な行為だったというのです。

今でも「夜の口笛」を禁じているんでしょうか? もっとも、私はここ10年以上、口笛を吹く若者を見ることがないので、ひょっとしたらそういう行為自体がすでに現代日本からは消失したのかも。

なつかしの濁世(じょくせ)の雨や涅槃像(ねはんぞう)(阿波野青畝)

日本政府は「外出の自粛を要請します」と発表した(世界の日本人ジョーク)

コロナ禍において、世界各国の政府が国民に外出を控えるよう求めることになった。

アメリカ政府は「外出は正義に反する」と発表。アメリカ国民は外出しなくなった。

イギリス政府は「外出は紳士的ではない」と発表。イギリス国民は外出しなくなった。

中国政府は「外出したら拘束する」と発表。中国国民は外出しなくなった。

フランス政府は「外出しろ」と発表。フランス国民は外出しなくなった。

日本政府は「外出の自粛を要請します」と発表。日本国民は外出しなくなった。

これは、「世界の日本人ジョーク集 令和編」(早坂隆)に掲載されている世界各国の国民性をジョークにしたもので、様々なバージョンがあります。新型コロナウイルスが世界のジョークのネタになって久しいですね。

さて、日本全国で新規感染者が急増し、鹿児島県でも連日100人を超えています。しかし、鹿児島中央駅に先週で向いたところ、若者が多くで歩いていました。また、バスに乗ると20人ぐらいの乗客がいてそのほとんどは65歳以上と思われる高齢者ばかり。

一方、私が贔屓(ひいき)にしている居酒屋の「朔や」は、知事の時短要請を受け入れて午後7時にアルコールの提供停止。午後8時に閉店でした。私がのれんをくぐったのは午後6時半でしたが、客は私のほかは2名だけ。ここの料理は美味しくて、メニューも豊富。その分ダメージも大きいことでしょう。

知事は県民に対して「外出自粛」と飲食店の「営業自粛」を要請しました。権力に従順な鹿児島県民に対してどれだけ効果があるかはわかりませんが、飲食店のダメージは相当でしょう。自粛要請に従わない飲食店は、「自粛警察」に監視され、悪評をたてられたり、行政へのチクられたりと憂き目にあうことになります。自粛は法令違反でもないのに罰せられるのです。法令に基づかないで自由を束縛される社会はいうまでもなく全体主義国家です。おそろしい。

また、反戦平和を旗印とするマスコミは、この「自粛」によって引き起こされているさまざまな問題を無視し、コロナ対策の本質とはかけ離れた行政の瑣細(ささい)な失敗を取り上げます。例えば、公務員が4人以上で会食(しかも昼食)したことは大々的に批判し、公務員でなければ会食によってクラスターが発生しても事実だけ報じて批判を一切しない。

マスコミの姿勢は、いったい何が正しい行為なのかを理解しにくい状況を創り出しています。しかし、周囲の人たちはこれらの矛盾に疑問を持たず、自分たちはひとごとのように行動しています。

この矛盾を続けていったさきはどうなるのか? ジョークならどうやって笑いとばせるかしら。

卑怯なる傍観者にはあらざりきとわが五年(いつとせ)をせめてはと思う(柴生田稔)

今日はお盆 だから「肉惣菜盛り合わせ」と「手巻き寿司」

妻が仕事から戻ってきてから、近くのスーパーに1週間分の食材を買うたためにでかけました。強い雨が断続的に降り続く中、このスーパーも駐車場の埋まり具合は半分程度。やっぱりお盆だと人出も少ないのかなと思いつつ店内に入りました。

魚売り場を見てびっくり。お刺身の盛り合わせ、手巻き寿司の盛り合わせ、にぎり寿司の豪華盛り合わせと普段以上に充実。さらに惣菜売り場でも「ローストチキン、ゴテヤキ、・・・・」などの肉料理のオードブルが棚に山積みになっていました。

今日はお盆。ご先祖様を家に迎え入れる日です。私が子供の頃までは精進料理を食べるのが当たり前でした。野菜の天ぷら、野菜のお煮しめ、さしみこんにゃく、しいたけの出汁に浸したそうめん、などなど。

私が高校生のときは寮生活でこの時期しか実家に戻ることができなかったこともあり、私の父は「子どもたちにはステーキを食べさせろ」という方針でしたが、そういう家庭は少数派でした。

それが今では精進料理なんて誰も食べないんでしょうね。惣菜売り場には「精進料理」やそれを連想させるものは一切なし。かろうじて「天ぷら盛り合わせ」が野菜天のようでした。日本人は「お盆」とは何かを忘れてしまったのでしょうか?

かくいう私もこの大雨とコロナによる外出自粛要請を受けて、実家に戻ることはなく自宅で過ごしています。例年ならば実家に戻り、墓掃除をするところなんですけど。

それはともかく、スーパーでは「天ぷら盛り合わせ2人前」を買い、妻と二人でお昼にうどんと一緒にいただきました。ところが天ぷらにはなんと海老とアジが入っていました。サービスなんでしょうけど、なんだかオー・ヘンリの短編小説に登場する、お客の買い求めたパンに勝手にバターを塗った婦人のようですね。お腹がはちきれそうです。夜はお茶漬けでいいかも。

こころよりうどんを食えばあぶらげの甘く煮たるは慈悲のごとしも(小池光)