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2022年2月14日 (月)

ふるさと納税の横行を防ぐ手段は「礼」。では誰が礼を正しくするのか

ふるさと納税という制度がすっかり定着しています。本来であれば住民税として住んでいる県や市町村に納める税金を、自分が選んだ自治体に寄付するという制度です。寄付の額に応じて返礼品があり、それを期待している人がほとんどでしょう。

この制度ができたことで、本来であれば確保できた予算が足りなくなっている自治体も相当数あることが推測できますが、マスコミはふるさと納税を多く集めた自治体を称賛こそすれ、税収が減少となった自治体は取り上げられません。まあ、取り上げるとしても税収をあげる努力が足りないという批判をするためでしょうけど。

しかし、この制度は大きな欠陥を抱えています。自治体の税収は地元住民へサービスするための元手となります。この元手に必要なお金が減少するわけですから、住んでいる人は自分への行政サービスが低下するのも当然です。ほとんどの人はそういう意識がないでしょうけど。

逆に税収の流出を防ぐために、返礼品に力を入れるとなるとこの自治体はどうなるでしょう。本来であれば自由に使えた財源の何割かが物品購入費となってしまいます。つまり、住民へのサービスが個人の財産となってしまうのです。

以上の2つのことから、ふるさと納税が増えれば増えるほど日本全体で自治体が自由に使える財源が減少することになるのです。ただでさえ借金まみれの国と自治体。これでいいとは思っていないはずです。

「春秋左氏伝」に似たような話があります(以下、概略)。

昭公26年、家臣の陳氏が税金を安くする一方で、民への施(ほどこ)しを増やしたので民に人気がありました。それを知った景公がやはり家臣の晏子にそのことを嘆きます。晏子は「このまま続けば、この国は陳氏のものになるでしょう」と答えると、「ではどうすればいいのか」と景公が問いました。

晏子「礼のみがこれを阻止できます。礼にあっていれば、家臣の振る舞いが国中に広まることはありません」

ところが今や、国が率先して地域振興券、10万円の給付金、最近では子ども一人あたり10万円支給などのバラマキをやっています(公明党の主張を自民党が受け入れたものです)。上が乱れれば下もそれにならう。そして政府はいうまでもなく国民が選挙で選んだもの。日本は国民主権ですから、私たちがそういう政治を選んでいるのです。

では国民自身が「礼」をただすことができるか。いや、そんなことはできっこありません。となると、このままじんわりと堕落していくことでしょう。堕落が終わるときは堕落する余裕がなくなるほど社会制度が破滅したときです。

若者たちが将来に期待を持てないというのも、おかしな話ではないのです。

汝(なんじ)に施す徳なくとも、いざ歌いかつ舞わん(中国古詩)

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