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2021年2月23日 (火)

歌コラム的要約千夜一夜物語0007 カモシカを連れた老人の話

商人は仔牛を生け贄にしようとしましたが,仔牛が泣いているのを見て不憫に思い,この仔牛を仲間の牛のところに返すことにしました。

あくる日,私が家にいると牛飼いがやってきまして言いました。「私の娘は,ばあさんから子どものときに魔法を覚えています。きのう,仔牛を連れて帰ると娘が泣いたり笑ったりするんです。どうしたのかと娘にたずねると,娘は『こんな見も知らぬ男を私のところに連れてくるなんてどうしたの』って言うんです。娘の話では,この仔牛は旦那さまの息子だと言うではありませんか。継母(ままはは)の魔法によって母子が牛になったためだと。そして母は旦那様が知らずに殺してしまったと。それを聞いた私は腰を抜かすほど驚きました」

それを聞いた商人は,さっそく牛飼いの家に行って娘に会い,娘の話が本当のことなのかをたずねました。娘はもちろんだとうなづきました。商人は「おまえさんがこの仔牛の魔法を解いてくれるならば,私の牛でも財産でも差し上げよう」ともちかけました。

娘は「私は品物など欲しくはありません。でも条件が2つあります。ひとつは息子さんと結婚させてください。もうひとつは,息子さんに魔法をかけた女に魔法をかけて自由を奪うことです。そうしないと,私もあの女の恨みでひどい目にあうかも知れませんから」

商人がすぐに承知すると,この娘はコップを手にとって水を張り,呪文を唱えて仔牛にふりかけました。仔牛はぶるぶると身を震わせると,たちまち人間の姿になりました。商人はこの娘と息子を結婚させました。そしてこの娘は妻をこのカモシカに変えてしまったのです。

それからしばらくはこの娘と一緒に暮らしましたが,しばらくして亡くなりました。息子もインドへと旅立ちました。私は息子を探そうとこのカモシカを連れてあちこちの町をたずねるようになったのです。

老人の話を聞いた魔神は言いました。「これは実に不思議な話だ。商人の血の3分の1はお前にやろう」

すると,2匹の猟犬を連れた老人が進み出て言いました。「魔神さま,こんどは私があなた様にお話しします。さきほどの話しよりもずっと面白く,不思議だとお思いなら,私にもこの商人の血を3分の1いただけないでしょうか」 魔神は承諾しました。

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