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2021年2月 6日 (土)

歌コラム的要約千夜一夜物語0003 牝牛(めうし)とロバの話

大臣は娘のシャーラザッドに牝牛とロバの話を始めました。

昔,大金持ちの男がいた。その男はおおぜいの召使いを雇い,牛などを飼っていた。その男は動物の言葉がわかる能力をアラーの神から授けられていたが,そのことを他人に話すと命を失うとアラーに脅されていたので誰にも秘密にしていた。

ある日,この男は牛舎のそばで子どもたちと遊んでいると,牛舎にいた牝牛とロバが話をしているのが聞こえた。

牝牛「ロバよ。あんたはいいな。住まいもきれいに掃除されているし,食事の面倒もいい。ご主人をのせて町にでかけることもできる。それに比べて私はこの汚い牛舎でまずい餌を食わせられ,朝から夜まで畑で鋤(すき)や軛(くびき)をつけて働かされる。あんまりだ」

ロバ「牝牛よ。ではいいことを教えてあげよう。明日は鋤や軛をつけられそうになったら抵抗して横になるんだ。どんなに殴られても起きちゃいけない。そして餌も絶対に食べちゃいけない。それを3日も続ければ,ご主人も心配して大切に面倒を見てくれるよ」

それを聞いた牝牛はロバにお礼を言い,さっそく実行した。牛飼いに殴られても軛をつけずに横になり,餌も口にせず,牛舎の中で仰向けになって寝転んで。心配した牛飼いは,主人である大金持ちの男にこのことを報告した。

大金持ちの男はロバと牝牛の会話を聞いていたので,そのことだなと察し,牛飼いにこう命じた。「牛のかわりにロバを使え。ロバに軛をつけて朝から夜まで畑仕事をさせればいい」

それを聞いた牛飼いはロバを畑に引っ張り出し,いうことを聞かないときは棒で殴りつけた。こうしてロバは朝から夜まで働きづめ。寝床に戻ったときにはへとへとの状態になっていた。そうとは知らない牝牛はロバに対して,「ありがとう。あなたのおかげで楽ちんな一日だったよ。あなたも神の幸いがありますように」と言うもんだから,ロバは悔しいやら情けないやら。牝牛に入れ知恵をしたことを後悔した。

話を終えると大臣は娘のシェーラザッドに言いました。「お前がシャーリアル王に嫁ぐというが,そんなことをしたら,お前はこのロバと同じ目にあうぞ」 それでもシェーラザッドは王に嫁ぐと言って聞きません。「これ以上さからう気なら,私はこの話の大金持ちの男が自分の妻をこらしめたようにこらしめるぞ」と言って話を続けました。

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