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2022年8月24日 (水)

「起承転結」の非常にわかりやすい説明

私が毎月購読している学士会会報には、会員の例会で発表された漢詩も掲載されています。難解な漢字が多くて内容もわかりにくいのでほとんど読むことはないのですが、このコーナーの最後に跋文(ばつぶん:あとがきのこと)に「起承転結」の説明がありました。これが非常にわかりやすいのでそのまま掲載します。

「起承転結」という言葉は、漢詩を作らない人でも「あの人の話(または文章)は起承転結が悪くてわかりにくい」等と日常、使っておられるが、これはもともと漢詩の絶句の構成法を示す言葉なのである。

すなわち、「起承転結」とは、絶句が四句から構成される短い詩なので、その短い中でより効果的に詠うために、締りのある統一された良い詩になるように考え出された構成法なのである。

「漢詩鑑賞事典」(講談社学術文庫)によれば、絶句の各句の役割と構成は、

第1句 「起句」と言われ、詠い起こし

第2句 「承句」と言われ、起句を承(う)けてその場面がより広がりと奥行きを持つよう展開

第3句 「転句」と言われ、場面を転換する。

第4句 「結句」と言われ、転句の変化を受けつつ、全体を締めくくる。

この起承転結の構成法を江戸時代の頼山陽が次のような端唄(はうた)によって弟子に説いている。

(起)大阪本町 糸屋の娘

(承)姉は十六 妹は十四

(転)諸国大名 弓矢で殺す

(結)糸屋の娘は 目で殺す

この端唄の一番言いたいことは、糸屋の娘は「男を目で殺すほど色っぽい」ということなのだが、「殺す」という言葉の連想でなんの関係もない大名と弓矢が登場するのである。起句・承句の関係も承句で起句の糸屋の娘の詳細を詠っていることでよく理解できる。

初心者は「漢詩は結句から作りなさい」と教えられるが、この端唄も起句から作っていたら転句の大名はなかなか思いつかない。結句の「目で殺す」が先に決まれば、「諸国大名」も「弓矢」も即座に思いつき、転句ができあがる。後は、起句・承句で糸屋の娘を紹介すれば詩は完成するというわけである。

なるほどねえ、非常に勉強になります。普段読むことのないコーナーですが、いざ読んでみるとなんらかの刺激があるもんですね。

「まっすぐ」の文字のどれもが持っているカーブが日々にあったっていい(木下達也)

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