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2021年6月15日 (火)

学生酒場「ひげ船長」で一緒に一杯飲んだのは職場の20代独身女性

会社では人間関係のもつれが問題になります。私も管理職となって営業でどうやって売上を伸ばすか、利益を出すかというよりも、人間関係で社員の力が十分に発揮できていない、社員が仕事を辞めてしまうという問題に直面することがしばしば。

これまでも上司との軋轢(あつれき)に悩み、私のところに相談に来る女性社員がいましたが、中年男性の私にとって20代、30代の女性、特に独身女性からの相談にはどうしても慎重になります。

もう20年以上の昔のことですが、私は観光関係の会社で働いていました。この会社には私に親切な先輩の男性社員がいました。5歳ほど年上でしたが、仕事でも私が失敗しても怒るようなことはなく、普段は神経質な顔をしていましたが、休み時間には一緒に囲碁を打ってくれたり、よく冗談を言っては笑顔を見せてくれました。

しばらくして同じ部署に私より5つぐらい年下の独身女性が入社してきました。大学を卒業したばかりの社会人1年生。顔が小さくてスタイルもほっそり。かわいい顔をしていました。ただ、職場では踵(かかと)のないミュールを履いて服装もキャミソールなどの薄着、男性に媚びるのが上手で、年上のおじさん社員たちからちやほやされては周囲の女性に「どや顔」をするところがあり、私は生理的に嫌いでした。

何を勘違いしたのか、私の先輩がその女性に好意を抱いてしまい、彼女を飲みに誘ったり、自宅まで車で送ったり、携帯電話で「お前のことが好きでたまらんのや」と伝えてきたりしたそうです(退職後にたまたま当時の会社の上司と出会い、そんなことがあったことを教えてくれました)。

そういうセクハラ行為の末、先輩とその女性は口も聞かない仲に。数カ月後に彼女はプライベートで知り合った年下の男性と結婚して寿退社。彼女は社員全員に結婚式の招待状を送ったようで、彼女が大嫌いな私はしぶしぶ義理で参加しましたが、先輩は欠席でした。当然ですが。

そして今、中年男性の上司から二人だけで飲みに行こうとしつこく誘われて困っている20代の女性社員がいます。彼女は、友人と一緒ならとやんわり断っていたようですが、いつになっても止まないため私に相談してきました。

今日の仕事帰り、私は彼女に話をしたいと伝えるとOKだったので近くのコーヒー屋に。ところがすでに閉店。近くに赤ちょうちんが見えたので立ち寄りました。鹿児島市内では学生向けの居酒屋として長年親しまれている「ひげ船長」でした。

彼女のオーダーで鶏の唐揚げ、卵焼き、私はしいたけとピーマンの串焼きを注文。2人でそれらをつまみながら私は彼女の話を聞きました。これまでにその上司から受けた数々の性的な言動、ひとつひとつは些細なことでもそれが毎日のように続くとボディーブローのように彼女の元気さを奪っていくのですね。

雨が降る中、彼女を自宅まで送ってかずっと、冒頭の観光関係の会社のことを思い出していました。私は彼女の結婚式に出席してからすぐにその会社を辞めましたが、先輩男性は結婚式から1カ月後にうつ病を発症し、現在は行方知れず。彼女の方も結婚から2年もしないうちに離婚。その後彼女は当時仲が良かった社員たちとの連絡を完全に絶ち、消息不明。なぜそうなったのか、どちらも原因はわかりません。

人生は時代劇「水戸黄門」のように勧善懲悪で理解できるものではありません。こういうとき、私は、心の問題を解決する鍵は物語の中にあるのではと考えています。

今夜「ひげ船長」でビールを飲みながら、私は自分の学生時代のばかばかしい思い出や、社会人としての人間関係上の経験を話しました。その中に彼女にとって必要な(心に届く)言葉があったかはわかりませんが、彼女は私の物語を静かに聞いてました。

彼女と上司の仲がもとに戻ることはないでしょう。でもこのことが2人にとって20年余り前のような悲劇の始まりとならないことを願っています。

あっ、この店は焼き鳥屋なのに焼き鳥を一本も注文してないわ。このブログを書いてて思い出しました。こんなことに気づかないなんてお店に対して配慮が欠けていました。私も緊張していたのかな。ちなみにこの日のお勘定は合計3000円。安い。学生御用達(ごようたし)だけのことはあります。もちろん私が全部払いました。

傷つきし心の癒(い)ゆるしくみなど知るよしもなく吾は眠りぬ(大島史洋)

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