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2021年2月11日 (木)

歌コラム的要約千夜一夜物語0005 商人と魔神の物語

いろいろな都市で商売をしている商人がいました。ある日のこと,馬に乗った商人は,とある木陰に腰を下ろして朝食をとりました。食べ終えると商人は残った棗(なつめ)の種を力任せに放り投げました。すると,雲を突くほどの巨大な魔神が現れました。

「こらっ,俺の息子を殺すとは許せない」「どうして私があなたの子どもを殺すことができるでしょうか」「お前が棗を食って捨てた種が息子の胸に当たり,その場で死んだのだ!」「わざとではありません。それはほんの過ちです。どうぞお許しください」「だからどうだというんだ。お前の命を寄こせ」

商人は魔神にこのようにお願いしました。「私には払わなくてはならない借金があります。また,財産について,妻や子どもたちに分け与えなくてはなりません。ひとまず家に帰らせてください。これらのことをやり終えたら,アラーに誓って必ずここに戻ってまいります」魔神は約束した上で,商人をはなしてやりました。

商人は自宅に戻ると,家族にこの出来事を話しました。そして借金を返済し,家族に財産を分け与えると再び,この場所に戻ってきました。自分の身に降りかかった不幸を嘆いていると,一頭のカモシカを連れた老人がやってきました。

「悪霊がでるところにどうして一人でいるのですか?」と老人がたずねると,商人はこれまでのいきさつを詳しく話しました。老人は驚いてこう言いました。「わたしはここにいて,あなたと魔神がどうなるのか,そのいきさつを見届けましょう」 老人は腰を下ろして,この商人に寄り添いました。

しばらくすると2匹の犬を連れた老人がやってきました。「おふたりとも,この悪霊がでる場所になぜいるのですか」と老人がたずねると,商人はこれまでのいきさつを詳しく話しました。

商人が話し終えるとき,今度は美しい栗毛のロバを連れた老人がやってきました。「どうしてこんな場所にいるのですか」と老人がたずねると,商人はこれまでのいきさつを詳しく話しました。

商人と3人の老人が腰を下ろしていると,すさまじい砂嵐が砂漠の真ん中でおこり,やがて雲が避けると,巨大な刀を手にした魔神が現れ,怒りの形相(ぎょうそう)で4人のところに近づいてきました。

「立て! お前の命をもらい受けるぞ」と魔神が大声で叫ぶと,商人は嘆き悲しみ,3人の老人はため息をつき,泣いたり,悲しんだりしました。やがてカモシカを連れた老人が魔神の前に進み出ると,魔神の手にキスをしてお願いしました。

「魔神さま! 私がこれから自分の身の上話と,このカモシカの話をいたします。あなたさまがこの話を不思議だとお思いならば,この商人の血の3分の1を私にいただけないでしょうか?」「いいとも。お前の話が素晴らしいと思ったら,こいつの血を3分の1与えよう」 そこで老人は話し始めました。

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