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2020年12月

2020年12月27日 (日)

クリスマスはカップルで過ごす日なの?

私が大学生だったのは,1990年前後の頃。バブルが崩壊し,就職氷河期と呼ばれた時期です。不景気と言われていましたが,今のコロナ禍と比べればずいぶん異なります。この当時はクリスマスとなると京都市の四条河原町は多くの人手で賑わっていました。

バブルの頃,都会のシティホテルはクリスマスイブは予約で満杯。カップルが予約していたのです。あらゆるメディアが恋愛至上主義に染まっていました。

もてる女性は複数の男性からティファニーの装飾品を貢がせているとまことしやかに喧伝されていました。すべて同じ宝飾品です。不思議でしょう?

宝飾品のひとつを身につけていれば,どの男性にも「あなたがプレゼントしたネックレスはこれよ」と言えば,男性は喜んでくれます。残りの同製品はすべて質屋に入れたり,他人にあげたりして現金に換えたり,恩を売ったりしたわけです。すごい時代でしたよね。

鹿児島市天文館の林田ホテルも当時はカップルの宿泊でいっぱいだったとか。まあ,クリスマスではなくても,ラブホテル代わりに使われていると噂されるほどでしたけど。それが今は更地の駐車場ですからね。今どきの若者たちには想像もつかないでしょう。

さて,大学生の私は彼女がいない。そこで男友達と四条河原町に繰り出しました。

「カップルで過ごさないとかっこ悪いんじゃないの?」と訊ねると,さそった男友達は「いいや,そんなことないって。カップルばかりっていうのはマスコミだけ」

実際,四条河原町はカップルよりも同性のグループで飲みに来ているグループばかり。カップルはどこ?っていう感覚でした。

あれから30年。私はクリスマスの夜,一人静かに居酒屋にいます。焼酎「木挽ブルー」のお湯割りと「とんこつ」。隣の席には女子大生のグループがしょうもない,くだらない話で盛り上がっています。その隣には若い男女のカップルが静かに食事をしていました。それ以外は空席。そう,この日,居酒屋にいたのはこの3組だけです。

さびしいよなあ。若者たちよ,これでいいのか?

「最近は,どう」と言われて「うん,まあ」と答える貝の身をはずしつつ(俵万智)