野生動物の鹿児島市内住宅地への進出 報道しないのは常態化の証拠
昨夜も帰宅は午後10時前。いつものようにタクシーに乗ると運転手が話しかけてきました。
「お客さんは貂(てん)をご存じですか?」
「いやあ,話は聞いたことはありますが,実際に見たことはありません。私も田舎の出身なのでイノシシやシカなら目にする機会もありましたけどね」
「最近は自治会館の前でお客さんを待つことが多いんですけどね,自治会館の前を貂が走っていったんですよ。タクシー仲間もよく見かけているみたいですよ。それと日ノ出町から紫原に上がる坂があるでしょう。あそこでイノシシを見かけたとか,宇宿でもイノシシの親子連れを見かけたとか,結構目撃してるんですよ」
「そういえば私の庭を最近ほじくられることがあったんですよ。最初は近所の野良猫が悪さをしているのかと思っていたんですが,この間庭を見たときにタヌキがいたんですよ。どうやらタヌキが土をほじくってエサを探していたらしいです」
「そうでしょう。最近は家庭菜園とかあるでしょう。山は危険がいっぱいだけど,市街地や住宅地だと天敵がいない上にエサも豊富。これじゃあ動物も増えますよ」
「それにしてもそれだけ多く見かけているというのにまったく報道されませんね。つい最近までは市街地でイノシシを見かけたとかサルを見かけたとかいってニュースになっていたのに」
私の庭には小鳥が訪れます。他の家も同じようなものでしょう。しかし,まったくニュースになりません。私の庭には数種類の蝶が訪れます。他の家も同じようなものでしょう。しかし,まったくニュースになりません。私の庭には野良猫がたびたびやってきます。他の家も同じようなものでしょう。しかし,まったくニュースになりません。珍しくないからです。
テレビニュースで野生動物が住宅地に現れたとあれば関心を示す人も,私の庭に何が来ようがどうでもいいことでしょう。それでも私には人生の出来事のひとつひとつ。それぞれに驚きや喜びがあり,逆に嫌な思いをすることもあり,そして自然に対する畏敬の念が起きることもあります。
人によっては「そんな当たり前のことがなんだ」と思うでしょう。テレビで報じられている「大阪モデル」や「東京アラート」,「夏の甲子園大会中止」,「検事の定年延長問題と賭けマージャン辞職」が重大だといっている鹿児島県人が相当います。
私にはそれが理解できません。あなた自身と直接関係ないこと,見たことも会ったこともない人に対して一怒一憂しているなんて。私からすればよほど馬鹿げています。
ある日ふと靴屋の前からなくなりしポストについて誰か語ろう(俵万智)
コメント