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2020年5月16日 (土)

仕事の悩みのほとんどは上司との関係 悩みを受け止めるには?

もう20年以上昔の頃,私も新入社員の時代がありました。自分の仕事に自信がもてず,私自身,何が問題なのかをはっきり認識できていないので他者にもうまく相談できない,そんな日々が続きました。

しばらくして非常に仕事に厳しい上司の下につくことになりました。文書を書くにしても一言一句チェックされては間違いを指摘され,なぜこれをするのか,という目的や根拠が曖昧(あいまい)な企画書にはダメ出し。毎日が憂鬱でした。

当時は毎朝この上司と顔を合わせるのが気が重くてなりませんでした。だからこそ,「今日はあの上司と喧嘩してやる」と気分を無理やり戦闘モードにして,当時通勤で利用していたJRの列車に乗り込んだものです。

さて,昨日の夕方,退社しようとロッカーで上着に袖を通そうとすると,30代半ばの女性社員が私に「帰ってしまってすみませんでした」話しかけてきました。

おとといは午後10時を過ぎてから,急遽仕事を誰かにお願いしないといけないことになり,退社しようとしていた彼女にお願いしたのでした。彼女はそれを断ったことを気にしていたようです。

「とんでもない。こちらこそ,帰ろうとしていたところを引き留めてごめん。あなたが謝ることじゃないよ。こんなときは「もう帰る時間です。失礼します」と言い返すぐらいの気持ちがいいんじゃない」と冗談めかして返事をしたのですが,彼女の目が潤んでいたことに気づき,「ちょっと外にでようか」と慌てて彼女と二人で廊下に出ました。

様子がおかしいので訳をたずねると「私の上司が細かい指導をするので,ちょっとした企画書を見てもらうのでもすごいプレッシャーなんです。今取り組んでいる契約についても,どうしていいか分からないので相談したら,『担当はあなたなんだから,あなたがちゃんと調べてから持ってきてよ』と言われて。相談すらできないのかと・・・ どうしたらいんでしょう・・」

そう説明しながら,彼女の体が小刻みに震えているのが分かりました。私は彼女の右腕を強くつかみ,周りに聞こえないように静かな声で語り始めました。「あなたがそんなに苦しんでいるなんて気付かなかった。あなたの上司は優秀でプライドが高い。だからこそ,要求するレベルが高いんだね」

続けて,20年前の厳しい上司との関係を話しました。毎日喧嘩するぐらいの気持ちで出勤していたと。そしてあなたには,あなたと同じ仕事をしてきた先輩たちがこの会社にはいっぱいいることを教えました。私はあなたの悩みに直接応えることはできないかもしれないけれど,あなたと同じ悩みを乗り越えてきた人たちはいる。そんな先輩たちならきっと相談にのってもらえると。

わたしは彼女を目をみつめながら,そしてゆっくりと落ち着いた声で彼女に含み聞かせました。しばらくすると彼女の震えがとまり,二の腕の強(こわ)ばりがとれて筋肉がやわらかくなったのが私の左手に伝わりました。私は左手を緩め,彼女の腕からゆっくりと離しました。

ここが会社でなければ,私は彼女を抱きしめていただしょう。それぐらい,彼女の切実な声をしっかりと受け止めたい気持ちでした。ただ彼女には「私とあなたは男と女。あまり近しいことになってはだめだよ」と勘違いしないように言っておきました。当然ながら,私は彼女に対して恋愛感情はありません。

唇をよせて言葉を放てどもわたしとあなたはわたしとあなた(阿木津英)

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