うつ病の原因は長時間労働ではなく,自分の能力を超えた仕事にある
「働き方2.0vs4.0」(橘玲)を再び読みました。1年ぐらい前に読んでいたのですが,もう一度読みたくなりました。最近,社長のやり方に対する不満が募(つの)るばかり。「もう会社を辞めたい」と思う日が続きます。そんなときだから,私のビジネスの師である橘玲の著作が読みたくなったのです。
いうまでもなく,心の病は長時間働くからではありません。嫌なことを延々とやらされるから苦しくなるのです。好きなことであれば長時間やっても苦にならないでしょ。私も本を読み出したら面白くて途中でやめられず,徹夜で読んだことが何度もありました。例えば「モンテクリスト伯」。例えば「赤い雪(連合赤軍事件のルポタージュ)」。話がそれました。
橘玲が言うには,「いやなこと」は大きく3つに分類されます。
1つ目は何の意味があるのかわからない仕事。いわゆる「ブルシットジョブ」です。
2つ目は人間関係。パワハラ上司や,仲の悪い同僚,言うことを聞かない部下がいたら,職場にいたくないでしょ。
3つ目が自分の能力を超える仕事の責任を負わされること。あらゆる仕事で高い専門性が求められるなかで,「ゼネラリスト」としての経験しかないサラリーマンが,必要な知識やスキルを獲得できないまま年功序列で役職に就く。誰にも不安を言い出せないまま,ひらすら無事に過ごすことを祈るだけ。これはつらいよ。
橘玲はこの解決策として「フリーエージェント化」を提示しています。現在,アメリカ社会に広がりつつある新しい仕事のやり方です。雇用者としてではなく,事業者として会社と契約して業務を請け負うというスタイル。イメージとしては「SOHO」に近い。
そして「フリーエージェント化」して成功する鍵は,「個人としてよい評判をもっていること」。よい評判を得る方法は,ズバリ,「自分の人脈や知識を惜しげもなくギブ(提供)すること」。
会社に属しているときも常に「フリーエージェント」として仕事をしていると考え,会社のブランドに依存するのではなく,自分自身のよい評判を増やしていく人こそ未来社会を生き延びる,と締めくくっていました。
私は多種多様な業界を転々として,まさしく「ゼネラリスト」的な生き方をしてきました。そのときそのときで,一生懸命仕事に取り組んできましたが専門的な蓄積はありません。「つぶしが効く」ことが重宝された時代はすでに過去のことになっています。私も当然ながら過去の価値観に染まっています。現代の情報化社会は一般の人の知識量が大幅に増大していて,クレーマーの知識の方が私より数倍あることも,数倍早く入手していることも珍しくありません。
私はこういう情報化社会からドロップアウトして,自給自足に近い生き方をしたいと思っているのですが,橘玲はそれとはまったく正反対のことを主張していました。
人付き合いの悪い私の人脈なんてたかがしれてます。雑駁(ざっぱく)な知識は人並み以上と自信がありますが「ネット検索」には負けます。私の「ギブ」は,仕事を除けばこのブログぐらいですが,この「ギブ」を意識して,とにかく積み上げていきますか。
明日に残すけふの仕事を数へしのちとほき逆光の富士を見てゐる (藤井常世)
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