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2020年4月

2020年4月29日 (水)

感染への不安を経済不安が上回るとき

自粛という名の周囲からの圧力が「自粛」を「強制」に変えています。

昨日は久しぶりにバスで帰りました。3ヶ月ぶりでしょうか。仕事はまだ残っていたのですが,どうせ29日の祝日も仕事。そう考えるとやる気が起こらず,さっさと帰宅することにしました。

途中,鹿児島中央駅のあたりを散策しました。鹿児島県からの要請で,居酒屋などは午後8時までの営業短縮となっています。どんな状態なのか。気になって西駅一番街とベル通りを歩いてみました。

このとき午後8時30分を少々過ぎていました。ほとんどの居酒屋は閉店しています。「県からの要請で5月6日まで閉店します」という張り紙が入り口に。お客さんのいるお店もありましたが,3店舗ぐらい。これはすべて同じ系列会社なので,中央駅界隈の圧倒的多数の居酒屋は営業短縮・自粛要請を受け入れているようです。

私が昔通っていたバーも閉まっていました。通常は午後7時からの営業なのに,今では正午から午後8時までの営業となっていて,しかもテイクアウト商品オンリー。ここのオーナーも高齢なので新型コロナウイルスに感染するのが怖いんでしょうね。当然と言えば当然でしょう。

そう考えると,営業してた3店舗はどこも若い人ばかり。今回のウイルスは若者には影響がほとんどないことが知られています。経営者が若いと強気でいられるんでしょうね。一方,経営者が年寄りだと身の安全を第一に考えてしまう。閉店しているお店が多いのは,県の要請に従う従順な経営者が多いと言うよりも,高齢の経営者が多いことの証左なのかもしれません。

それにしても,水商売でお酒を売らないなんて経営上は厳しいことが予想されます。ビールなら1杯500円でも原価はその10分の1程度。居酒屋などはこれで稼いでいるのです。

しかし,居酒屋が弁当やテイクアウトに切り替えると原価率はぐっとアップします。しかも,同業者だけでなく,弁当やテイクアウトの専門店も競争相手になるわけで,経営的には採算が取れるとは思えません。ただ,存続していることをアピールするためにやっている,ってことしか意味がないのではないでしょうか。

私は会社勤めでお給料がもらえます。しかし,日銭を稼ぐ人たちは収入の道を閉ざされています。彼らは非常に苦しい思いをしていることでしょう。5月6日までならば辛抱できますが,これ以上続くとなると彼らは破産するしかありません。

現在の緊急事態宣言は感染症問題に端を発していますが,これが長引くと経済不安や治安問題のための非常事態につながりかねない,私はそう考えています。ここまでやる必要性があるんでしょうか? 私には疑問です。

一坪に足らぬ店にて指輪売る東麻布の坂の下にて(大橋栄一)