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2020年4月

2020年4月29日 (水)

「群盲象をなでる」とはこのこと カール・マルクスの日常

カール・マルクスは私以上の高齢者であれば誰もが知る共産主義の教祖。特に団塊の世代にとっては「資本論」は読んだことはなくても書名ぐらいは知っているはずです。このカール・マルクスの日常についての私のイメージは次のとおりでした。

「資本論を出版するなど著名だったが,普段は静かに執筆活動をして無名の時代を過ごした」「仕事中,息抜きとして趣味の幾何の問題を解いていた」

ところが,現在読んでいる「天才たちの日課」(メイソン・カリー)によれば,こうなります。

「マルクスの生活は毎日の大英博物館通い(博物館の図書閲覧室に朝9時から閉館時間の夜7時まで)と,夜の長時間の執筆で占められていた。また,仕事中は鎮静剤代わりにひっきりなしにタバコを吸っていて,これが彼の健康に悪影響を及ぼしていた」「赤貧の暮らしで周囲から金を借り続けていた」

私の持っていたイメージががらがらと崩れました。どちらが本当なの? と首をかしげてしまいます。

「群盲象をなでる」のことわざがあります。対象の一部しか見えない者がいくら集まっても,本質(全体像)がわからないことの例えです。

カール・マルクスという巨人に対しては,その観察者の眼を通すことによって,異なる一面ばかりがクローズアップされ,ディテールを積み重ねるほど,全体像がぼやけてきます。

新型コロナウイルスも,陰性と陽性を行き来する人,陰性でも体調が急変してなくなる人,そういう極端な例が次々と報道され,国立感染症研究所が示した標準例の信頼性を揺るがしています。でも,それが本当にこの感染症の真の姿を明らかにしているのでしょうか?

かつて「人食いバクテリア(正しくは,劇症型溶血性レンサ球菌感染症)」と呼ばれた恐ろしい感染症がありました。発症すると数日のうちに体中が壊死して死亡します。「かつて」と書きましたが,今でもその有効なワクチンはありません。でもまったく報道されません。なぜなんでしょう? そういう極端な例がごく希(まれ)にしか発生しないからです。今回も同じことだと私は考えています。

私には,このような極端な事例の報道は,政府の緊急事態宣言と知事たちの休業要請によって,日々の糧を得る手段を失っている人々に対して,さらなる出血(営業自粛)を強いるための「善意」をまとったナイフのように思えてなりません。

<世界より私が大事>簡潔にただ率直に本音を言えば(道浦母都子)