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2020年3月

2020年3月22日 (日)

マックス・フォン・シドーと並ぶ俳優は浅野和之よりも嶋田久作では?

朝日新聞に「三谷幸喜のありふれた生活」というコーナーがあります。最近は鹿児島県の地方版の紙面に掲載されるようになりました。和田誠の題字とカットですぐに目に付きます。私は三谷幸喜作品がほどほど好きで,ちょっとばかり目を通します。

3月20日掲載分では,先日90歳で亡くなったマックス・フォン・シドーを取り上げていました。

はて? マックス・フォン・シドーって誰だっけ,と思いながら読み進めてようやく気付きました。「エクソシスト」のメリン神父役だったのか!

しかも,もう一つの驚きが。なんとメリン神父を演じたときのマックス・フォン・シドーの年齢は44歳。メリン神父は今の日本人の感覚だと70歳から80歳ぐらいの老(ふ)け役。三谷幸喜が「とうに二百歳を超えている印象だった」とコメントしているのも頷(うなず)けます。

私が「エクソシスト」を見たのは大学生のとき(公開自体は1973年)。たまたまテレビで放送されていたのを見たのですが,映画のクライマックスで,悪魔に取り憑(つ)かれた少女と悪魔払い師のメリン神父,カラス神父の壮絶な戦いは息つく暇もないほど。メリン神父が倒れ,カラス神父が二階の窓ガラスから身を投げて,自分の命と引き換えに悪魔を退治します。息絶えようとするカラス神父が友人の手を握りしめるシーンは感動的ですらありました。

以来,大学生のときにビデオを借りて5,6回は見ました。世界中で大ブームとなったホラー映画なのですが,私は今でもヒューマンドラマだと思っています。

さて,「ありふれた生活」の最後,「演技力,ルックス共に日本のマックス・フォン・シドーと僕が勝手に思っているのが浅野和之さん」と紹介されていました。残念ながら私は浅野和之という俳優を知りません。見たことはあるかもしれませんが意識したことはなく,どうもピンときません。

私にとって,日本のマックス・フォン・シドーと言えば嶋田久作しかありません。「帝都物語」がデビュー作の嶋田久作は,加藤保憲役(超能力をもつ不気味な軍人)を演じましたが,このときの印象はまさに圧倒的。彼をモデルにした「ストリート・ファイター」のボスキャラ,ベガ(ファミコンソフトのキャラクター)など,強烈な存在感・個性は後世の娯楽作品に多大な影響を与えました。

そして何より顔面の長さ。アゴが突き出ているならアントニオ猪木がいますが,アゴ先から頭頂部までの長さとなるとマックス・フォン・シドーと並ぶ俳優は嶋田久作だけではないでしょうか。

そして作品「帝都物語」の難解さ,大物俳優が多数出演する豪華さ,金をかけたスタジオのセット。私にとっては「エクソシスト」に並ぶインパクトを与えました。

しかし,今では嶋田久作はドラマや映画のちょい役で出演する程度。それがちょっと悔しい。

だれの悪霊なりや吊(つ)られし外套(がいとう)の前すぐるときいきなりさむし(寺山修司)