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2020年2月

2020年2月29日 (土)

トイレットペーパーを買い占める「善良」な人々

今朝の朝日新聞に「トイレットペーパーなくなる デマに注意」という記事がありました。

内容を読むと「主にSNSで「マスクとトイレットペーパーの原料は同じ」「新型肺炎の影響でトイレットペーパーが今後なくなる」といったデマが拡散したことが品薄を招いているようだ」とのこと。

もちろんマスクとトイレットペーパーは原材料は違います。だから,マスクを増産したからといってトイレットペーパーの生産量が落ちるはずがありません。でも,そんな簡単なことがもっともらしい偽情報によって見えなくなるんですね。

私はSNSを見ない(スマホを持っていない)のでこの騒ぎを知りませんでした。たとえ知ったとしても私はこういう行動はとりません。私はこういう群集心理(みんなするから私もする,人に遅れをとったら大変)がもっとも嫌いなので,絶対に仲間になりたくないのです。

オイルショックのとき(1973~1974年)のときもトイレットペーパー騒動がありました。生産量も在庫量も十分だったにもかかわらず,買い占めが発生し,ひどいときはどこにでもいるような主婦らが箱単位でトイレットペーパーを買う始末。その結果,本当に在庫がなくなり,品不足が発生しました。

このときは大東亜戦争時代とその後の品不足を経験した人が多かったこと,中東戦争などがあったこと,メディアがその騒ぎを広げていたこと,などなどが原因だと言われていますが,今はSNSとは時代を感じますね。

こういう個人からの情報発信デマとなると,佐賀銀行の取り付け騒ぎ(2003年)が思い出されます。知り合いから「佐賀銀行がつぶれるらしい」という話を真に受けた(これも本当かどうかよくわかりませんが)20代の女性が,これは大変と「善意」でその情報を26人に一斉に緊急メール送信。これが契機となって情報が瞬(またた)く間に広がり,数日のうちに佐賀銀行から500億円以上の預金が流失しました。

こういう群集心理(パニック)は恐ろしいものです。何しろ常識が,真実が,彼らには通用しません。彼らなりの「真実」と「善意」に基づいた行動ですからね。「真実」と「善意」が支配した世界では,それに反することは「偽(いつわ)り」「悪意」です。

こういう群集心理に巻き込まれないときはどうするのか? 私はあえて不安に駆られた人たちの行動を逆の行動をとります。品不足になったらどうするか? ふだんから一定量を備蓄しているのです。非常食なり,日用品は。特売の時があるでしょ。そういうときに備えておくのです。品がないなら買わないだけのことです。

人の噂も七十五日。煽(あお)られた「善意」だから,しばらくすれば醒(さ)めるでしょ。

人のいく裏に道あり花の山 いずれをいくも散らぬ間にいけ(投資界の格言)