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2020年1月15日 (水)

開墾作業は重労働 意味はなくても土いじりは私に必要

祖母の家はシロアリが梁を食い散らかしているため,屋根が波打っています。住むことができなくなった母屋はぼろぼろに傷(いた)み,物置も雨漏りというより屋根が抜けています。当然ながら庭も見知らぬ木が大きく伸びて日当たりが悪くなっています。

正月に帰省したときに,両親から庭とひと続きになっている畑を借りる約束をしました。早速,その次の週末に畑に出かけました。

夏には腰の辺りまで草が伸びるような荒れ地。季節は冬で草の背丈は低いとは言え,根を張っているのは間違いない。20年以上も放置されているのですから。

畑に行く前に開墾道具を買いそろえることにしました。ひとつは唐鍬(とうが)。刃が厚くて狭い打ち鍬です。開墾や根切りに使う道具です。そしてもうひとつが三叉。3本の鉤で掘り起こした草の根などをひっかきます。コメリで買い求めたところ2つで1万円余り。そして重いのなんの。力仕事なんて無縁の私には担(かつ)ぐだけでも重労働。

いざ,開墾作業に取りかかりました。唐鍬を振り下ろすと,その重みと刃先の鋭さでぐさりと土に食い込みます。そこまではいいのですが,引き込むのに力が必要。草の根が深く広くて簡単にはいきません。それでも少しずつ掘り起こす範囲を広げていきます。数メートル土を起こしたら三叉で掘り起こした草を引き出します。

作業をしていると隣に住んでいる甥っ子がやってきました。「おじちゃん,今日は何してるの? すごい格好だね」 確かにこの日の私は白い作業服の上下に幅広の麦わら帽子,ゴム長靴を履いています。いかにも土木作業をやってますって感じ。

30分ほどこの作業を続けたのですが,その間,思い出したように話しかけたり,掘り起こした土の中にいる大きなミミズをつまみ上げたり。いつもはニンテンドーDSで遊んでいるのに,こんなに土と親しむなんてちょっとした驚きでした。

握力がなくなってきたので作業終了。全部で1時間も続きませんでした。掘り起こした面積は2m×4mで8平方メートルぐらいかしら。1日でこれだけしかできないとなると,毎週1回通ったにしても,全部を掘り起こすのに3ヶ月ぐらいはかかりそう。

実家に戻って甥っ子がやってきたことを話すと,私の母が「あの子はすぐに癇癪(かんしゃく)を起こすでしょ。だからイライラしたときには『土を掘ってくる』と言って外で穴掘りをするの。心がおちつくのよ」

私の妻は開墾に大反対。無駄なことはやめろといわんばかり。でも「無駄な時間を使った分だけ,その対象が自分にとってとても重要になるんだ」(サン=テグジュペリ)。愛着とはこうして時間をかけて育(はぐく)むものです。甥っ子もそうしてこの土地に愛着を持ってくれることを期待しています。もちろん私も,妻の声を聞き流しながら,時間をかけて少しずつ畑を耕していくつもりです。それが私にとって必要なことだと思います。

故郷とは生地にあらず「家族」という花ことば持つ花咲くところ(俵万智)

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