フジ三太郎を地で行く私 電話男と対決なんてしなくていいのに
私が小学生の頃,朝日新聞には「フジ三太郎」と「ペエスケ」という4コママンガが連載されていました。特に面白かったのが「フジ三太郎」。中年サラリーマンの日常風景をちょっと斜めからのぞいてみるようなおかしみがありました。
小学生なので,新聞を読むと言ってもテレビ欄,スポーツ欄,そしてこのマンガだけ。だからこそいくつかの作品は印象に残っています。
フジ三太郎が電車に乗っているときのこと。その電車は両側の壁に,それぞれ直列の座席があるタイプの車両です。フジ三太郎のとなりに若い女性が座っています。ミニスカートをはいているのに眠りこけていて,膝が開いた状態。フジ三太郎は目的地の駅に着くと,読んでいた新聞を彼女の太ももの上に広げ,彼女のバックをその新聞紙の押さえにして電車から降ります。向かい側の席に座っていたおじさん達が怒りの表情を見せている。そんな作品がありました。
今日のアミュ地下のフードコート。いつものように缶ビールを片手にむかうと,電話男が座っているのに気付きました。低姿勢で獲物を狙うタヌキのような表情を見せていました。彼の数メートル先には若い女性が一人,向かい合うように座っています。
電話男の背後からその女性の方をみると太もものほとんどが見えているほどの超ミニスカート。そしてスマホの画面に夢中になっています。「ああ,やっぱりな」と思いつつ,私は電話男と若い女性の間の席に腰掛け,缶ビールを開けて,本を読み始めました。
20分ほどで読み終わり,バスの時間も気になったので席を立ちました。その間,テーブルを挟んで私の斜め向かいに座っているミニスカートの女性はスマホの画面から目を離さないまま。私は席を立つついでに,私が腰掛けていた椅子の背もたれが彼女の太ももを隠すようにならべ,バス停に向かいました。
後ろを振り返らなかったのですが,フジ三太郎のマンガにでていた,怒れるおじさん達の表情がふと思い浮かびました。電話男もきっとイラッとしているだろうな。
フジ三太郎のマンガには予言的な作品もありました。例えば高齢ドライバー用の四つ葉マーク。今ではよく見られるようになりましたが,私が小学生のときはありませんでした。そんなとき,フジ三太郎では「初心者(若葉)マーク」に対抗(?)して「枯れ葉マーク」を提案した作品もありました。
今でも彼の作品集を書店で入手できるんでしょうか? もし販売されていたら,当時の時代(男女雇用機会均等法ができる前です)を風刺しているので,けっこう刺激的かも。ちまたのフェミニスト達ならば作品集を読んで「女性差別だ!!!!」と怒り出すかもしれません。
欲望は日に曝(さら)されてコンドームを拾える少年の風船遊び(俵万智)
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