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2019年11月19日 (火)

香港の学生運動は暴徒化の一途 2年前に旅行したときの香港はどこに?

香港の動乱が続きます。今夜のニュースでは大学に立て籠もった学生400人が逮捕されたとか。

私と娘が香港に旅行に行ったのは2年前の夏休みでした。格安航空会社の香港エクスプレスで鹿児島空港からひとっとび。香港空港で市内の公共交通機関乗り放題のチケットを購入し,HISで予約したネイザンロード近くのホテルに3泊しました。

1日目はクーロン半島側の屋台の並ぶ通りを練り歩き,2日目は高速船でマカオに渡り,路線バスでマカオ市内の世界遺産を巡って,夜はビクトリアピークで香港の夜景を楽しみ,3日目は香港島のシティースーパーなどでショッピング。あらかじめガイドブックで目星をつけていた値段の安い大衆食堂をあちこち寄って,点心や麺類,サンドイッチにエッグタルトなどを食べました。

当時,娘は高校1年生。父親との2人旅でお互いに話が弾むわけでもなかったのですが,本人はそれなりに感じるところがあったようです。今でも「香港はよかった」と言っているぐらいですから。

そんな娘が最近の香港の様子を見て嘆いていました。「あのときはあんなにのんびりしていたのにどうしてこんなに変わっちゃったんだろうね。私の彼氏の話では,香港に行く日本人観光客は8割減らしいよ。香港から逃げ出す人もたくさんいるみたいだよ」

「ひょっとしたら,あのときの香港に戻ることはもう無理かも知れないね」「えっ,どうして」「これを機会に中国共産党が香港の活動家を弾圧するかもしれない。そうなると後戻りはできなくなるからね」

意外そうな顔をする娘に,歴史上の事実を伝えました。「日本が中国で戦争をしたときの死者よりも,中国共産党が殺した中国人の方が多いんだよ。今でもチベットや内モンゴルで強制収容所に入れられる人がいるでしょ。共産党は恐ろしいからね」

日中戦争での中国人の死「傷」者数は3500万人です。これは1995年(!)に中国共産党書記長の江沢民が発表した数字ですから,もうこれ以上大きく変わることはないでしょう。

日中戦争後に国民党と共産党の内戦があります(死傷者の正確な数字は未公表)が,戦争は除くとして,中国共産党の支配が確立した後,「大躍進政策」により大量の餓死者が発生します。中国の公式な人口統計でも1600万人の人口減少。中国共産党は自分に不利なことは発表しないので諸説ありますが数千万人(3千万~7千万人)の中国人が悪政により餓死しました。

その後も「文化大革命」が発生します。自分に不利なことは公言しない中国共産党が認めているだけでも死者400万人,被害者1億人(!)。

中国共産党が中国を支配していて,言論の自由などを制限していることは明白ですが,日本の教科書ではそういう教え方はしませんよね。私は自虐史観批判はしませんが,歴史は事実をさまざまな観点でとらえ,考えていくことが大事だと思います。これらのことで日本の中国侵略を正当化する考えは毛頭ありませんが,中国のいいなりになるのではなく,世界や歴史を相対化して見つめ直すことも必要なことだと思います。

ところで今回の香港の動乱。客観的に見て,学生運動家に勝利の目はありません。引き際を間違えると中国共産党を利するのみ。早く解散して平穏になることを望みます。不正義の平和で妥協してもらえないでしょうか。もし,正義を貫いて戦い続け,中国共産党が倒れるときがあるとすれば,それは過去に中国共産党が殺してきた自国民の数を上回る動乱が発生することを覚悟すべきでは? まあ,そんなことはないとは思いますが。

物言わぬ民の無数の死の上に解放戦のひとつ今やむ(近藤芳美)

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