電話男の背後の席に座って見えてきたもの
アミュ地下でいつもキョロキョロしている男性がいます。携帯電話を耳に当てながらまったく会話をしていない不思議な色黒の中年男性で,私は「電話男」とあだ名をつけています。(2019年8月7日ブログ参照)
先週のこと。混み合う夕方のアミュ地下のフードコート。私はたまたま中央付近に空席を見つけたので,そこに腰掛け,ナッツをつまみに缶ビールを飲んでいました。20分もすると私の周りの席にいた高校生らのグループが次々に席を立ち,空席が目立つようになりました。
やれやれ静かになってよかったと思ったのもつかの間,電話男が私の前の列に向かい合わせになるように座りました。今日は電話はせずにタブレットを机の上におき,俯(うつむ)いたまましきりに画面を操作しています。
ああ,今日は視線があわずにすみそうだな,と彼の様子をぼんやりみていると,思わずぞっとして背筋が寒くなりました。俯いた顔から眼球が下に飛び出ていて,黒目がこちらの方を睨(にら)んでいたからです。恐ろしくてとっさに目を背けました。
このとき私の右側の席と後ろはすべて空席。左隣に青いタイトスカートの制服を着た短大生が向かい合わせで座っているだけ。彼女たちはフライドポテト食べながら談笑していました。ひょっとして彼女たちが目当てなのかと勘ぐりましたが,この席にずっといるのも気味が悪いので,さっさとビールを飲み干してバス停に向かいました。
そして今日の夕方。アミュ地下のフードコートは珍しく閑散としていました。7割以上の席が空席だったのですが,青いタイトスカートの短大生のグループが数組いて,それぞれおしゃべりをしていました。そして今日も電話男が座っていました。
今日は彼の視線を浴びずに済むよう,彼の真後ろの席に座りました。そして電話男の背中越しに短大生3人がこちらを向いて座っていたのを見て,先週の疑惑が確信に変わりました。「この男はミニスカートの女性と向かい合わせになる席を選んで座ってるんだ」と。
若い女性のスカートの中をのぞく楽しみがわからないでもありません。痴漢行為でもないでしょうけど,執拗に視線を周囲に向けながら,あちこち移動するのはやめてほしいなあ。
それにしても不思議です。男の私が彼の顔を見ると不愉快になるのに,彼と正面向いに座る女性達は気にならないのかしら。先週と同様,今日の短大生達も楽しそうに談じていました。私が過剰なんでしょうか。この日はそんなことを思いながら2,3分もしないうちに私は席を立ち,アミュ地下を後にしました。やっぱり居心地が悪いよなあ。
九時間は乗る鈍行の席に着きさてと見回す美人やいずこ(岩田正)
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