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2019年10月17日 (木)

究極のサバイバル「オデッセイ」 いかにもパイオニアスピリッツ

映画「オデッセイ」を見ました。火星に建設した実験室に滞在していた宇宙飛行士。大嵐が襲来したときに脱出。そのときに死んだと思われた宇宙飛行士の一人が実は生きていて,残された施設で生き延びるストーリーです。

太陽光パネルでエネルギーを補給し,食料のジャガイモを種芋にして育てます。育てるのが実験室のなか。人糞と火星の土を混ぜ合わせて土壌をつくり,水素を燃焼させて水をつくります。実験室は酸素発生器があるというのですが,以前,ナショナルジオグラフィックでも特集されていました。科学技術の進歩はすごいですね。あらゆるアメリカ製の機械を駆使して生き延びます。

火星から地球に向かっていた仲間達が地球に着陸せずに宇宙空間で食料を補給し,そのまま火星へ。ハラハラドキドキの展開を重ねて救出にむかいます。

私が子どもの頃読んだ短編の読み切りマンガに「ザ・サバイバル」(だったと思うけど)があります。著者はたぶん西岸良平だったと思います。昭和30年代をテーマにした「三丁目の夕日」の作者です。ストーリーはばかばかしい。ある日サラリーマンが出勤の途中,改修工事中のトイレに駆け込みます。用を足して出ようとすると工事が始まって戸が開かない。コンクリートで埋められてしまったのです。天井の割れ目から染み出てくる水を飲み,壁に張り付く苔(こけ)を食べ,トイレの穴から魚を捕って生き延びます。トイレの便槽が海とつながっているという設定です。驚きましたねえ。数年間閉じ込められたが,最後はトイレの解体のときに発見されてめでたしめでたし。

このマンガはあきらかに戯(たわむ)れ。荒唐無稽(こうとうむけい)もいいとこ。それでも,幼かった私には非常に印象に残るマンガでした。こんなストーリーって思いつくかなって?

一方のオデッセイは現実の科学技術と近未来をつなぎ合わせて非常にリアリティに富んでいました。近い未来に人類の火星の移住もあり得そう。そう思えてきます。

映画の最後,全員無事に地球に帰還します。火星で1年半のサバイバルを生き抜いた宇宙飛行士は,候補生たちに講義をします。「なにか質問は」と生徒達に呼びかけると,彼を取り囲む数十人の生徒達が全員一斉に手を挙げてエンディングとなります。どんな危難があろうとも決して諦めないフロンティアスピリッツ(開拓者精神)を象徴するシーンを最後にもってくるとは,いかにもアメリカ映画らしい。

でも,この映画,マンガの「ザ・サバイバル」の衝撃には及びませんでした。三つ子の魂百までといいますが,子どもの頃の体験というのは忘れがたいのかも。

プルーンの種のようなる眼(まなこ)して吾子(あこ)が初めて見ている我が家(俵万智)

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