« シバン虫大発生の謎 今年の夏は虫たちが変だった | メイン | 「仕方がない」で片付けない ゴール前の攻防を理詰めで考える »

2019年8月25日 (日)

サッカーはチェスのようであり,マージャンのようでもある

昨夜の鹿児島ユナイテッドは横浜FCに1-5の完敗でした。大宮戦(0-6),徳島戦(2-5)とアウェーのゲームでは大量失点が続きます。どうしちゃったんでしょう?

「日本サッカーを強くする観戦力」(清水英斗)を読みました。日本人選手の決定力,ストライカーとしての資質について書かれた本ですが,おもしろい記述がありました。

「オープニングは書物のように,ミドルゲームは奇術師のように,エンドゲームは機械のように」オーストリアのチェス選手,ルドルフ・シュピールマンの言葉です。チェスについての言葉ですが,これがサッカーにも当てはまるといいます。

書物とは定石のこと。チェスの初手から数手までは定石通りに進行します。サッカーもビルドアップでのパス回しはどのチームも大差ありません。もし相手がプレスを掛けてきたら中盤を飛び越えてFWにロングボールを蹴り込みます。

奇術師とは意外な手のこと。チェスでもサッカーでも中盤では,相手に驚きや焦りを与える意外性が必要になります。

そして本書のテーマである終盤。チェスだと終盤はあと何手でチェックメイトできるか,必ず正解があります。それを見逃さずにモノにすることができるかどうかが勝敗の分かれ目です。サッカーで言えばシュート(ゴール)がこれに当たります。ストライカーはいろいろな選択肢を考えるよりも,ある意味で機械。決まりきった結論に向かって淡々とフィニッシュするシンプルさが重要になります。

鹿児島ユナイテッドでこの資質を持つ人がいるだろうか? と考えてしまいます。韓,萱沼,酒本,牛ノ浜,五領,枝本などいずれも角度がないところからでもシュートをどんどん狙うタイプ。特に韓は,東京ベルディ戦では寝転びながらシュートを決めました。こういう泥臭さがあります。

しかしユナイテッドは攻撃はするのに得点力が伸びない。これはなぜなんでしょう?

サッカーはチェスに似ていますが偶然性の要素が高いことを考えると,マージャンのようでもあります。技術や読みは大事ですが,運の要素も必要です。同書にも雀士のコメントがでていました。ただ,私が思うのはこの本とはまったく違います。

「Aクラス麻雀」(阿佐田哲也)では,「満貫に振り込んだ次の局はベタ降りすべし」というセオリーが紹介されていました。マージャンで一番怖いのは「半ツキ」です。もうちょっとで上がれるというときに振り込んでしまう。上がれそうで上がれない。こういうときは大負けします。

ユナイテッドの試合も攻撃に人数をかけて押しているのに,カウンターを浴びたり,不用意にパスをカットされて失点するケースが目立ちます。しかも最近は連続して失点する傾向が顕著です。こういうゲームが私に言わせると「半ツキ」状態です。

これを脱するためには「ベタ降りすべし」です。不用意に失点した直後は,ボールを保持しないという選択もありではないでしょうか? ロングボールを蹴り込んで相手にボールを渡し,プレスをかけて奪いに行くことをゲーム運びの約束にするのです。今まではボールを奪われて慌てていましたが,あらかじめボールを渡す作戦だとわかっていれば慌てません。そして時間を決めて作戦をもとのポゼッションスタイルに戻すのです。

ユナイテッドの決定力不足はもうひとつ,ゴール前でのポジショニングの問題もあると思いますが,今日は文章が長すぎるのでここまでにしました。次回をとっておきます。

こんなよい月を一人で見て寝る(尾崎放哉)

トラックバック

このページのトラックバックURL:
http://app.synapse-blog.jp/t/trackback/716622/34188875

サッカーはチェスのようであり,マージャンのようでもあるを参照しているブログ:

コメント

コメントを投稿