定年延長時代を迎える団塊ジュニア世代とロストジェネレーション
今朝の朝日新聞は、政府の成長戦略の素案で、70歳まで働ける場を確保することを企業の「努力義務」として規定することなどを盛り込んでいると伝えました。年金問題と少子化問題(働き手不足)を解決する手段としては非常に合理的です。ですが、定年を延長するという考え方が安易に思えます。
もともと明治時代に定年退職という概念が生まれたようです。しかし、当時の寿命は60歳も満たないぐらい。文字通り死ぬまで働くことが多かったのではないでしょうか。戦後、平均寿命が延びるにつれて、55歳、60歳と延長し、今では65歳までは再雇用が義務づけられています。それでも老後が長すぎるという幸せすぎる時代なのかもしれません。
私の会社にいる60を過ぎた再雇用の人は、やる気がない人が多い。給料は大幅に下がり、もともと60歳が定年と言うことで働いてきたのに、あと5年も働くのかよ、と精神的に切れてしまうのはとても正直な反応だと思います。同情します。一緒に働く現役世代からすれば迷惑ですけど。
結婚年齢が上昇し、50歳前の私と同じ世代でも、子どもが小学生や保育園児というのはざらにいます。そういう人たちにとっては、退職時にまだ子どもは未成年。大学進学などを考えると定年延長がないと経済的に大変。そういう人たちはモチベーションが維持できるかも知れません。
しかし、ロストジェネレーションの人はどうなるのか。朝日新聞が好きな話題なのに言及がありませんでした。たしかに定年延長で働くのは正規雇用の人だけ。それ以外の人には関係のないことです。結局定年延長の恩恵(?)を受ける人ってどのくらいいるのか気になります。
今やどこでも働き手不足。それでもロストジェネレーションは非正規雇用なので低い給料で暮らしが大変。それが一般的なマスコミ報道です。でもこれってとても矛盾しています。ロスジェネの人たちはスキルがないと就職できないのでしょうか。コンビニは人手不足で困っています。コンビニのバイトにはスキル不要です。時給1000円として8時間勤務で1日8000円。20日勤務で16万円。この給料では家を建てるのは無理でしょう。子どもの大学進学も大変でしょう。
40年前、私の親は似たような苦しい暮らしの中で私や弟らを育ててきました。両親は会社勤めではありません。自営業です。それで大学にも進学させてくれました。決して贅沢な暮らしではありませんでした。しかし、朝日新聞に同情されるような不憫さなど感じたこともありません。
今の時代のロスジェネの問題は、結局お金の稼ぎや年金がどうこうではないんでしょうね。正規と非正規という差別的な雇用慣行の犠牲者というべきでしょう。犠牲にならないためには、そのシステムから離れなければならなかったのに、旧来の「雇われる」ことしか職を得る発想がなかった。フリーターという生活を「強いられた」。他力本願の末です。
定年延長時代。延長をよしとせず、自分の判断で他業種に就職する人、隠遁生活を送る人はどう評価するのでしょうか。正規の退職者が就職する場合は勝ち組、非正規であれば負け組なんでしょうか? 延長して働く人が皆勝ち組なんでしょうか。違いますよね。結局、自分が主体的に生きているかどうかが問題。そう考えるとロスジェネ議論の不思議さが際立ちます。
炎天を行く食わんため生きんため(遠藤若狭男)
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