« ロングテールが指し示す将来の苦情処理 攻めているよなあ | メイン | 「私残業(失敗)しないので」「私定時に帰ります」時代を変えるのは? »

2019年5月22日 (水)

金田一耕助の推理に必須のアイテム 相続関係図作成の取り柄

先日、上司から仕事を頼まれました。その仕事とは契約の相手方が死亡して履行が2年近く放置された債権。事務が停滞したまま、当時の担当者は他の営業所に転勤。その後は後任者を含め、誰も手に負えないからと先送りされてきた案件でした。

問題となった話の内容を現在の担当者に聞いてみると、契約の相手方の相続人の代表者として名乗りを上げたのが姪。しかし、本当にその人が相続人の資格があるのかわからないと思い悩んでいたと言うことでした。

民法では、配偶者は必ず相続人になります。そして相続人で最も優先するのが子(直系卑属:孫、ひ孫)。子がいないときは親(直系尊属:祖父、曾祖父)。そして子も親も存在しないときが兄弟。兄弟が死亡しているときはその子、つまり甥、姪が相続人になります。それ以上は相続は広がりません。

引き継いだ書類には戸籍謄本がいくつも入っていました。話を聞くと「戸籍謄本の見方がよくわからなくて・・」との弁。確かに昔の戸籍は手書きなので判読が難しく、また戸籍が改製される度に除籍した人は記載されなくなるので切れ目なく戸籍謄本を取り寄せないと何が何だかわからない。

そういう案件が全部で3件ありました。早速その日のうちに、引き継いだ書類や戸籍謄本を紐解(ひもと)き、夕方には3件とも相続関係図が完成。もちろん、すべての戸籍謄本がそろっているわけではないので完璧ではありませんが、この人とこの人の戸籍謄本が不足しているということを明らかにしておきました。

翌朝、上司に報告。今後の対応方針について了承を得て、必要とする戸籍謄本を取り寄せる手続きを行ったところで、とりあえず一段落。後は戸籍がそろった時点で相続人を確定し、正式に契約履行の手続きをとることになります。2年近く停滞していた案件が、わずか1日で動き出したわけです。

なぜこんなに手際がいいかって? 私は昔、土地登記(相続登記)の仕事をしていました。明治時代の読みにくい筆書きの文字、戸主制度(家督相続)、改性、結婚・離婚、養子縁組、相続放棄などの複雑な問題。そういう戸籍を読み解く経験を積み重ねてきました。

私は行政書士や司法書士ではないので、これを生業(なりわい)にすることはできませんが、金田一耕助のように相続関係図を作成して、謎を解明していく作業をしているときはわくわくします。たぶん私の性格に合っているんでしょうね。

オルゴール芯のいがいが手触りを思いつつ古き旋律(メロディ)聴けり(大塚寅彦)

トラックバック

このページのトラックバックURL:
http://app.synapse-blog.jp/t/trackback/716622/34179724

金田一耕助の推理に必須のアイテム 相続関係図作成の取り柄を参照しているブログ:

コメント

コメントを投稿