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2019年3月

2019年3月29日 (金)

高い致死率の感染症 エボラ出血熱への特効薬アビガンとは?

小論「パンデミック対策用インフル薬『アビガン錠』開発までの道のり」(白木公康)を読みました。

アビガンとは、死亡率が30~50%の新型インフルエンザが世界的に流行した場合に、その治療薬として承認された薬です。現在は死亡率20%の重症熱性血小板減少症(SFTS)の治療に国内で使われています。

私は医療や化学には疎(うと)いので、内容の大半は理解できませんでしたが、このアビガンが注目を浴びたのがエボラ出血熱の治療薬として効果を上げたからだとの経緯に興味がわき、読んでみました。

2014年に西アフリカでエボラ出血熱が大流行。このとき死亡率は30~50%だったようです。エボラ出血熱は、飛び散った目に見えない程度の血液に触れるだけで感染し、強い肝機能障害を引き起こして血小板が減少、その結果、出血しやすくなります。肝機能障害が軽いうちは回復可能ですが、肝機能障害が進行すると手遅れとなります。

エボラウイルスの感染実験では感染後6日目までにアビガンを投与した場合はすべて生存し、8日目以降に投与した場合はすべて死亡したとのこと。しかし、この大流行の時には感染日数にかかわらず、全患者にアビガンを投与したそうです。

アビガンはこのように強烈な薬剤であるため、関係者の間では薬としては使えないという評価があり、長く日陰の存在だったようです。しかし、今や致死性の重症感染症にも有効であるとの評価が高まり、2015年には台湾で新型インフルエンザ対策用に備蓄が決まり、日本国内でも2017年3月に200万人分の国内備蓄が決まったとのこと。論より証拠とはこのことですね。

この小論には専門用語が多用されているので、かなり端折(はしょ)りましたが、医学に関心のある方には一読をお勧めします。

それにしてもタミフルはあんなに騒がれたのに、アビガンを知ったのは今回が初めて。やっぱり有名になるためには人体に有害でないといけないんでしょうか?(もちろん、皮肉をこめて書いてます。)

冷蔵庫に貼られておりぬ奥尻島救援TELの番号のメモ(俵万智)