論点ずらしと問題のすりかえ どっちもどっち
厚生労働省の統計調査に問題があるとして、野党が安倍内閣を追及しています。週末のNHKニュースでは「給料が上がったように統計調査を意図的に操作し、アベノミクスが順調であるように偽装したのではないか」と野党の国会議員が足並みをそろえて発言していました。
でもちょっと待って。そもそも先月に問題が発覚した時は、1.厚生労働省は全数調査すべきところを抽出調査にしていた。2.抽出(サンプル)が不十分だったために給与統計額が実際より低く算出された。3.給与統計額を基準にして雇用保険が支払われるが、2により支払額が少なくなった。4.そのため、閣議決定後に来年度予算を増額修正する異例の事態となった。と記憶しています。
このとき野党の追及は「消えた年金ならぬ、消えた雇用保険」だったはず。それが今になってなぜ正反対の統計操作をしたとの主張になるの? それとも今問題となっている統計調査は、1月に問題となった統計調査とは別の給与統計調査のことなんでしょうか? 意味がわからん。
残念ながら、こんな私の疑問を解いてくれる明快なニュース解説を目にしません。新聞もテレビも野党の発言を垂れ流して国会が荒れていることを報じ、その影響を解説しているだけです。
結局、統計調査の中身よりも政局(与野党の対決)にニュースの価値があるという判断なんでしょうね。簡単にいうと面白いから。
橋本内閣のとき消費税率が3%から5%に引き上げられました。この結果GNPがわずかながらマイナスとなり、橋本内閣退陣の遠因になりました。その後、この統計は誤りで実はプラスだったと判明(速報値と確報値の違いだったと記憶しています)。当時、宮沢大蔵大臣が「あのとき(GNPマイナスと発表)の議論はなんだったのか」とコメント。しかし、マスコミは問題視しませんでした。野党側にプラスにならない、国会が混乱せず政局にならない問題は価値がないんですよね。
というわけで、遅ればせながら私も統計問題への関心を失いました。安倍首相の答弁は論点をずらしているとマスコミは批判しますが、マスコミも問題の本質をすり替えて報道しているんですよ。世間の人が求めているからという正論まがいを言い訳にするだけに質(たち)が悪いのでは?
まっすぐな棒を一本刺してくれ脳のだるさにねじれる僕に(俵万智)
コメント