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2019年1月 3日 (木)

人生二毛作のすすめ

「人生二毛作のすすめ」(外山滋比古)を読みました。外山は私が学生の頃、現代文(評論)によく出題された学者です。「思考の整理学」が東京大学でベストセラーになったと評判になったことがあります。私は「思考の整理学」はチラ見しましたが、とっつきにくくいい印象はありませんでした。しかし、この「人生二毛作のすすめ」は非常に共感できる内容です。

外山は20代から40代までは英文学を、その後は日本語を研究。しかも英文学研究時代は雑誌の編集という二足のわらじをはいていました。定年退職後は、朝は皇居の散歩、お昼の前後は図書館で仕事、という生活を送っています。彼自身の財テクもハイリスクハイリターンですが、なによりも多数意見に流されずに、自分で考え、そして行動していく勇気に敬服しました。

先日読んだホリエモンの本(「好きなことだけで生きていく。」)とは似ているようでずいぶん違います。行動の重要性は同じですが、ホリエモンの話題はビジネスのことばかり。一方、外山は仕事だけでなく、生活(家事や自身の健康)など幅が広い。

そして最大の違いは、ホリエモンは目的外のことは一切しない、スマホの検索(情報収集)に代表される効率最優先主義に対し、外山は一見理不尽な「忘れる」ことの効用を説き、「ベータ読み」(典型的なものは論語の素読)を薦めていること。

私は外山派です。私は非言語的、非合理的、非論理的、不可思議な事柄であっても直ちにそれを排除せず、自分の体を通過させることが大事だと思っています。一見無駄だと思えるものが人間としての幅を広げるという思想、いわゆる「無用の用」ですね。

残念ながら私は外山のような才能がないので、ただの変人として扱われますけど。

かたまって生くるさびしさ蝌蚪(かと)も人も (島谷征良)

※蝌蚪(かと)・・・おたまじゃくしのことです。

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