ストーリー・セラーを読む
「ストーリー・セラー」(有川浩)を読みました。この本は2つの短編から構成されていますが、断然sideーAがよかった。
会社の同僚の女性が小説家としての才能があることを発見し、彼女を応援する彼(しばらくして夫)の目を通して、彼女の活躍と苦しみを描いた作品です。
彼女の才能に嫉妬する、学生時代の友人からの一見もっともらしい批評(第三者から見ればただの誹謗中傷)に苦しむ様子は読んでいて本当につらい。才能がない者にとってはそれしか手段がないのだからと突き放せばいいのに、それができないんでしょうね。
このくだりを読んで、村上春樹のエッセイ(あるいは評伝?)を思い出しました。村上春樹を見い出した編集者が、彼がベストセラーを連発するにつれて攻撃するようになり、その後若くして亡くなったという内容です。この編集者も作家志望(ただし、現実は売れない、評価されない作家)で、彼なりの高尚な観点から村上春樹の作品をけなしていたようです。ちなみに「高尚な観点」とは、私には全く理解できない難解な考え方という意味です。
哀れですね。嫉妬する心にとらわれ、嫉妬する相手への攻撃でうさばらしをする人は。
私の場合、いままで他人の才能(仕事、勉強、運動、出世)に嫉妬することはありません。しかし、女性に、特に私が好意をもつ女性にもてる男性に対しては嫉妬します。こんなときは、まずこの男女から離れます。そして別の関わりのない女性に声をかけ、親しくなるようにしています。これが私に一番適した嫉妬脱出法みたいです。
ふと宿りやがて心の染みとなるユリの花粉のようなジェラシー(俵万智)
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