リチウム電池から未来が見える
吉野彰氏の「リチウムイオン電池 現在・過去・未来」という小論を読みました。
90年代後半、リチウムイオン電池はIT社会の到来とともに世界中で活発に研究開発されるようになり、市場規模は一気に拡大しました。その研究開発の歴史を自らの体験を交えて語っています。
リチウム電池の本格普及が遅れている自動車分野に関して、無人自動運転車(AGV)が紹介されていました。AIの運転学習には15年かかると想定されているので、2025年を目標にグーグルとアップルが自動運転技術をAIに学習させているとのこと。
そして小論の最後は、将来、無人運転と電気自動車の両方が実現すると、マイカー保有が激減し、無人タクシーが普及。この結果、画期的な価格破壊が達成され、自動車産業と損害保険会社が大打撃を受けるが、このコスト削減分を新産業にまわすことで新たな産業・雇用が生まれるだろうという予言で締めくくっていました。
すごい世界が間近なんだなあと感心しつつ、氏の略歴を見てびっくり! 氏は旭化成の顧問! 繊維メーカーが電池の開発とは!
旭化成の戦略は、①東芝との合弁会社、②材料事業を単独事業化、③単独でのライセンス事業推進、の3つ。これらを同時に進めた結果、①は競合他社に敗れ撤退したものの、②は旭化成の稼ぎ頭。③も成功とのこと。
既成概念にとらわれないって、こういうことなんですね。
ちなみに氏は私が生まれる前に大学を卒業。発想の豊かさは実年齢ではないと痛感させられます。そして夢をあきらめずに実現してきたパワーに脱帽。くさっている暇なんてないですね。
熱燗(あつかん)の夫(つま)にも捨てし夢あらむ (西村和子)
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