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2022年5月 5日 (木)

「東証市場の区分見直しの展望」を読む

学士會会報(第952号)掲載の小論「東証市場区分見直しの展望」(神田秀樹)を読みました。

論者の神田氏は知る人ぞ知る会社法の大家。そういう人が東京証券取引所の改革を論じていることに軽い驚きがありました。

さて、小論の内容です。

東証株式市場の区分は、以前は「市場第一部」、「市場第二部」、「マザーズ」、「ジャスダック」の4つでした。私の理解では「一部」は一流企業、「二部」は実力はそこそこで知名度が低い企業、「マザーズ」は新興企業、「ジャスダック」は意味不明でした。

神田氏によれば私のこういう理解も当然というもの。そもそも東証市場の区分のコンセプトが曖昧だったため、二部とマザーズ、ジャスダックの位置づけが重複していたようです。また、一部も市場コンセプトが明確でないため、一部への昇格基準が、企業価値向上の動機づけの観点からすれば十分に機能していなかったと批判しています。

私が特に問題と感じたのは東証株価指数(TOPIX)。これはインデックスファンドとして今や多くの投資家から注目されていますが、TOPIXは東証一部の上場企業のすべてから構成されています。これが「グローバルにみても特異」なものになっているのです。

神田氏の話では、東証一部上場企業のなかには、収益、時価総額、流動性、経営体制、情報開示が低水準の企業も多数含まれているのです。TOPIXが一部上場のすべてを対象としているため、これらの低水準企業がインデックスファンドによって実態よりも高く評価される傾向にあるとのこと。これは公平ではありませんよね。

令和4年4月4日から、東証市場は「プライム」、「スタンダード」、「グロース」の3つに区分されて、それぞれが明確なコンセプトに基づいています。良い企業を正当に評価することは資本主義世界では大切なことですね。

私は20年前の金融ビッグバン以来、鹿児島銀行の日経インデックスファンドを毎月1万円購入していました。が、昨年やめました。この間、評価額は投資額の1.4倍となっていて十分に儲かったのですが、私はコロナ禍での株価上昇に納得できなかったのです。

今回の東証改革の恩恵を私は受けることはなさそうです。

塔上の柘榴(ざくろ)熟(う)れるはいつならむガウヂの夢の聖家族教会(サグラダファミリア) (松下鎮)

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