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2022年4月

2022年4月15日 (金)

マリウポリが「要衝」である理由 ロシアの勝利宣言に不可欠だから

NHKのニュースを見ていて、激戦が続くウクライナの都市マリウポリについて、いつもアナウンサーが「要衝」という枕詞がつけているのが気になっていました。そこで、地図を開き、また、ネット情報を探ったりして調べてみました。

そこで「要衝」であると自分なりにわかったことが次の5点です。

1 ロシア国境とロシアに2014年に併合したクリミア半島とを陸路結ぶ途中にある都市のなかで最大の人口(約40万人)を抱えていること

2 マリウポリは港湾都市であり、交通の主要地であること

3 ロシアが一方的に承認した2つの国「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」。マリウポリは「ドネツク人民共和国」(もともとはウクライナ・ドネツク州)の都市であること

4 マリウポリはロシア軍に頑強に抵抗しているアゾフ大隊(2014年創設時は義勇軍、ネオナチとみなされている)の根拠地であること

5 上記の要素を持ち合わせたマリウポリを占領することは、ロシア国民に「勝利」と報告するに十分な価値があること

です。

NHKのニュースでは、ロシア国民の80パーセント以上がプーチン大統領、すなわちウクライナ侵攻を支持しています。ロシアの国営放送によるプロパガンダの影響とはいえ、すごい支持率ですよね。ロシア人の国家意識がよく現れています。

しかし、大本営発表のように、いつまで嘘をつき続けることはできません。国内向けに「ロシア軍は優勢」で「ウクライナのロシア人たちの支持を得ている」し、ロシアにとって「正義の戦い」である以上、何らかの戦果を国民に示す必要があります。

そこで「アゾフ大隊」です。「アゾフ大隊」は「ネオナチ」とする報道が多数あります。これはロシア国内だけではなく、欧米諸国にも広く知られていて、アゾフ大隊への武器供与にも反対する国もあるようです。

プーチン大統領が「ネオナチに負けない」と何度も発言していることからして、「アゾフ大隊」の殲滅か、「アゾフ大隊」の根拠地であるマリウポリの占領は絶対に譲れないところでしょう。

私には現地の情勢はよくわかりませんが、マリウポリがロシア軍に包囲されているのは確実です。

しかし、この包囲を解くためにウクライナ軍が援軍を差し向けたという報道はありません。マリウポリへの武器空輸も困難。マリウポリには港湾がありますが、アゾフ海は黒海からの入り口にある都市ケルチをロシア軍が掌握しているため、海上輸送も不可。そうなるとマリウポリ陥落は時間の問題です。

アメリカの報道では、ロシアの勝利宣言は5月9日(ナチスドイツが降伏した日)の予定。マリウポリの戦況に関係なく一方的に勝利宣言をすることもあるでしょうが、マリウポリの防衛が今回のウクライナ侵攻の最大の焦点であることは間違いないようです。

プリンぐちゃぐちゃにぐちゃぐちゃにかき混ぜる 桜の過去の君に会いたい(阿波野巧也)