燃え上がる恋愛と、円満な結婚生活とは別モノ?
私の中学校の同級生に、勉強もできて、運動能力が非常に優れている、まさに文武両道の優等生がいました。私よりもテストの成績はよくて常にトップを争い、スポーツも万能というからもてないはずがありません。高校生の時にはつきあっている女性がいると聞いていました。
高校2年のとき、その同級生が高校中退をするという話がありました。心配になり、夏休みの帰省のとき会いに行きました。話を聞いてみると学校の方針と自分の勉強の向き合い方に大きな隔たりがあったようです。
一流大学の合格者をたくさん出したい高校側は受験対策のテクニック指導に偏り、同級生は純粋に勉強が好きだったのに、肝心の基礎はおざなりにされたり、「なぜ」という本質的に疑問に先生たちは答えてくれない。そういう不満がたまっていたようです。
こういうのは話を聞いたからといってどうなるものではありませんが、この同級生との会話のなかで印象に残ったことがありました。
この同級生は高校のクラスメートとラブラブの関係だったようです。毎晩、お互いが自宅で勉強しているときに、同じ時間にお互いのことを考えようと約束し、実行していたというのです。私は「ロマンチックなことだな」と素直に受け止めたのですが、本人は逆でした。
「なんて、ばかげたことをしていたんだろう。あのメスに振り回された」と自嘲気味に、そして怒りを抑えたように口にしたのです。
ストレスが高まって、好きな人が憎しみの対象になるなんて、非常に不幸なことだと同情しましたが、そういう私の気持ちなんて聞き入れるすき間はなく、その後まもなく彼女と別れたようです。
この同級生は母子家庭でした。そして、本人もひとりっ子。
もう数十年も彼とは会っていませんが、私は彼が恋人を憎んだのは、母子の情が強すぎて、男女の恋愛が素直にできないのではなかったのではないか、と思います。
ちなみにこの同級生は、高校を中退したあと大検に合格して早稲田大学に進学しました。鹿児島県内でも有名な企業に就職したと聞きました。退職していなければ、今ではきっと役員あたりまで出世していることでしょう。
ただ結婚しているかしら。たぶん、いまでも独身なのではないか、と思ってしまうのです。熱烈な恋愛をしていても結ばれないこともあるんですね。
残念ながら私は大恋愛の経験はありません。この人だと思った人とすぐに結婚しました。きっと私は恋愛ベタ。これでいいのでしょうね。
物思へば沢のほたるもわが身よりあくがれいづる魂(たま)かとぞみる(和泉式部)
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