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2021年8月 5日 (木)

「教育」こそが現代の「格差社会」の原因となっている皮肉

「メリトクラシー」を知っていますか? 「能力主義」と訳されているそうですが、ジャパニーズイングリッシュで噛み砕くと「メリット」「クラシー」、「長所による支配」が直訳。意訳すると「知能と努力の成果によって人を採用、評価する社会」となりそうです。

昇進や昇給にあたっては差をつけないと組織は機能しなくなります。そこで「学歴・資格・経験」で評価することになります。これらは本人の努力によって向上できるからです。

つまり、成績が悪いのは本人の努力が足りない、というわけです。逆にいうと、本人が努力すれば成績=知能はいくらでも向上していくということになります。これが「教育神話」です。知能と努力をセットにした「メリット」による評価こそが公正な社会をつくる。このことに異論を唱える人はほとんどいないでしょう。

しかし、このことは「できない人」にとっては残酷な社会です。身分差別のある階級社会であれば、自分が成功できないのは社会制度だと責任転嫁できるのに、メリトクラシーではすべての人に公平に機会が開かれているので、自分が本当に劣っているから地位が低いのだと認めなくてはいけないからです。

橘玲は著書「無理ゲー社会」で、このような残酷な社会を生み出しているのが「メリトクラシー」であるとして、この言葉を生みの親であるマイケル・ヤング(イギリスの社会学者)の著作を紹介しています。

ほとんどの人は気づいているとおり、高学歴の男女の結婚によって高い知能が子どもに遺伝します。知能の遺伝率は年齢ともに上がり、思春期を終える頃には70パーセントを超えます。そしてこの知能の生得的な違いを教育が拡大させているというのです。

先進国は「教育神話」に基づいて教育に莫大な予算を投じ、国民全体の知能指数も上がっていますが、その反面、授業や学校に適応できない子どもにとって高等教育は苦痛でしかありません。実際、アメリカの調査では高校生の66パーセントが毎日の授業に退屈しているとの調査結果があります。

また「大学無償化」はリベラルに人気のある政策ですが、それは非大卒の納税者から取り立てた税金を、大卒の子どもの学費に当てるという、格差の拡大を手助けするかのような仕組みです。

能力主義のアメリカでは、大卒と非大卒の収入格差は1.7〜2.0倍に広がっています。日本は1.3倍程度ですが、10年後の日本はアメリカのように格差が一層拡大していることでしょう。トランプのような政治家が日本に登場するのも時間の問題かもしれません。

メリーゴーランドを止めるスイッチはどこですがそれともありませんか(中澤系)

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