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2021年8月

2021年8月15日 (日)

盂蘭盆会(お盆)の起源は地獄での「逆さ吊り」の刑にあった

「知れば恐ろしい日本人の習慣」(千葉公慈)を読んでいます。

本の表紙にあった「夜に口笛を吹いてはならないの本当の理由とは」に興味をそそられて衝動買いしたのです。

本を読むと、日本のしきたりが日本神道だけではなく、八百万(やおよろず)の神様の信仰、仏教の影響を強く残していることがわかります。なお、著者は曹洞宗の僧侶であり、東北福祉大学の学長でもある人です。

私も「お盆」が仏教の行事であることは知っていましたが、単純に「ご先祖さまがこの世に帰ってくるとき」という程度のことです。今日がお盆ということであらためて読んでみました。

この本によればお盆は仏教の「仏説盂蘭盆経」が始まりとなっています。このお経によると

ブッダの弟子であるモッガラーナは不思議な呪術のちからをもっていた。あるときモッガラーナはなくなった父母が現在どうしているのかが気になり、呪術の力を用いて死後の世界を映し出した。すると父は天上界で暮らしていたが、母は餓鬼道に落ちていた。餓鬼道とは飢えた鬼に生まれ変わった世界です。

ここで母は別人のようにやせ衰え、悲鳴をあげながら、喉の乾きと激しい飢えに苦しんでいた。しかも母は逆さ吊りにされ、鬼たちから責め苦を受けていた。モッガラーナは母のために食事を差し出すのだが、母が食べようとすると食べ物は燃え上がり口にすることができない。そこでモッガラーナはブッダに救いを求めた。

ブッダは「百日修行が終えた僧侶に食事を提供しなさい。大勢の僧侶による読経(どきょう)の力で必ず母を救うことができるだろう」と教えた。

モッガラーナが食事を器に盛り、供養したところ、たちまち母は安らかな菩薩の姿となって天上の世界へ昇っていったという。

母が苦しんでいた「逆さ吊り」をインドのサンスクリット語で「ウラバンナ」ということから、音訳の「盂蘭盆会(うらぼんえ)」という言葉が生まれた。

なるほどねえ。だから、仏壇にはお盆用の食事を用意するんだなあ。私の祖母は8月13日から15日まで日替わりメニューが決まっていて、必ずそれを仏壇にお供えしていました。今は母がそれをしていますが、肝心のレシピは失われていて見様見真似(みようみまね)でやっています。

ところで、夜の口笛のことですが、この本では諸説を紹介していて、これが決定版という書き方はしていませんでした。確かなのは夜の口笛は「心霊的存在を呼ぶ」ことだったとのこと。これが「親の死に目に会えない」とまで脅かしたのは、それほど軽々とやってはいけない神聖な行為だったというのです。

今でも「夜の口笛」を禁じているんでしょうか? もっとも、私はここ10年以上、口笛を吹く若者を見ることがないので、ひょっとしたらそういう行為自体がすでに現代日本からは消失したのかも。

なつかしの濁世(じょくせ)の雨や涅槃像(ねはんぞう)(阿波野青畝)