« 補助金の効果ってなんだろう 「まちづくり幻想」の失敗例 | メイン | 日本はコロナPCR検査もワクチン接種も先進国で最低だ を疑う »

2021年6月19日 (土)

7時27分の恋人半井小絵と軍事アナリスト小川和久が共演!?

とある人の紹介で令和3年5月29日、九州防衛局主催の「第40回防衛問題セミナー」に参加しました。このときのテーマは防災。講師は半井小絵と小川和久という異色の組み合わせでした。

半井小絵は10年ほど前にNHKのニュース7のお天気コーナーを担当。当時は週刊誌などで「7時27分の恋人」と呼ばれ、おじさんたちから人気がありました。講演の最初に彼女のプロフイールが紹介されたのですが、驚きました。なんと気象予報士になる前は銀行員。そして今は女優として北朝鮮の拉致被害者をテーマにした舞台劇に出演しているとのこと。衆議院議員として活躍した後シャンソン歌手になった女性問題評論家の田嶋陽子みたいな驚きの身の振り方にびっくり。

一方、小川和久は軍事アナリストとして有名です。30年前の湾岸戦争のとき、軍事評論家の江畑謙介のようにもてはやされてはいませんでしたが、毎日放送の深夜番組「板東英二のわがままミッドナイト」に出演し、「湾岸戦争は3日で終わる」と予言し、見事的中。その筋の関係者に衝撃を与えた凄腕のアナリストです。

小川和久の講演は簡単にまとめると「日本の防災対策は国際基準に達していない。国際基準に達することが最低限度しなければならないレベル。今の体制ではだめだ」という手厳しさ。

アメリカの防災訓練施設では、瓦礫の山などがあり、そこで訓練ができるようになっています。日本の防災担当者は頻繁にこの施設を視察しているそうですが、日本国内には類似の訓練施設はいまだに1つもない。視察が物見遊山(ものみゆさん)に終わっていると厳しく批判していました。

軍事アナリストらしく「自衛隊は日米安保条約によって合同訓練をするため、世界最高レベルのアメリカ軍と共同作戦を遂行する能力を身に着けて軍事レベルを維持している。しかし、防災は日本国に閉じこもって海外の優れた施設等から何も学ばない」と、自衛隊の危機管理能力と比較して批判していました。

確かに、日本の警察や消防は海外経験が乏しい。しかし、犯罪や災害は文字どおりグローバルに発生しています。ガラパゴス化しているのは日本の産業だけでなく、このような危機管理部門も同じだとするとずいぶんお寒いですね。

象徴的なのが阪神大震災における消防ヘリの問題です。神戸の街が火の海になって消防車とうによる消火活動が麻痺したとき、日本のヘリは消防活動を一切しませんでした。当時の防災関係者は「火災による上昇気流によって操縦が難しい」とか、「ヘリから水を落とすと下にいる被災者に水圧がかかって怪我をさせかねない」とか、「消火剤を振りかけると被災者に中毒症状が起きる」などと抵抗したためです。

しかし、実際には操縦が困難という事実はなく、日本ではそういう訓練をしたことがないというだけ(他国では消防ヘリが活躍していました)。また、ヘリから水をおとしても地上にいる人にとってはシャワーどころか「じょうろ」の水を浴びる程度しか水圧はなく、消火剤はすべて人体に無害であることが明白になりました。つまり、危機管理の官僚たちは事実ではないことを屁理屈にして反対していたのです。

防災関係の官僚(国、都道府県)や(市町村等の)消防などの組織は既存ルーチンを打ち壊されることに抵抗します。そこには防災に対する目的合理性はありません。

やるべきことはなにか、世界に広く学ぶチャンスはあるにもかかわらず、それを怠っています。彼らは一日千秋のごとく、前例の繰り返し。これで本当に「安全・安心」な社会を実現しようとしているんでしょうか? 

いやあ、小川和久氏にはしびれました。また、機会があればまた講演をお聞きしたいです。

許可車両のみの高速道路からわれが捨てゆく東北を見つ(大口玲子)

トラックバック

このページのトラックバックURL:
http://app.synapse-blog.jp/t/trackback/716622/34232920

7時27分の恋人半井小絵と軍事アナリスト小川和久が共演!?を参照しているブログ:

コメント

コメントを投稿